(前置きが長くなってしまったので興味のない方は*まで飛んでください)
フリースタイルダンジョン
テレ朝火曜深夜25:26〜25:56枠で昨年9月から放送されている番組である。
まあ要するにフリースタイル(即興)のラップバトルをする番組なのだが、瞬く間に爆発的人気となり今や日本語ラップ史上最大といってもいいブームが到来している。
かく言う筆者も例に漏れずどハマりしてしまい、思いついた韻をメモしているのだが既に10スクロールほど溜まっている始末である。
しかしこのフリースタイルラップ、下にリンクを掲載した、MCバトル草分け的存在であるKREVA(B-Boy Park 1999-2001三連続優勝)のモノと、最近のものを比較するとその進化は歴然である。約15年でここまでの成長を遂げるコンテンツ、やはり奥が深い。
そして、このフリースタイルダンジョンで最強とされているラッパーが”R指定”である。
YouTubeでフリースタイルラップバトルの動画を見ると、コメント欄には必ずといっていいほど「R指定の方が上手い」という旨のコメントを残す所謂”R厨”が現れ、それに対して昔からのHIP HOPファンが”ダンジョン新規乙”と返すまでが定番の流れとなっている。
しかし、確かに”R厨”の大半がフリースタイルダンジョン新規であることは認めるが、実際にR指定はライム、フロー、声質、貫禄どれをとっても申し分ないスキルを持ち合わせ、UMB(フリースタイル最大の大会)3連覇の快挙を成し遂げており、名実共に現時点における日本No.1のラッパーであることはほぼ間違いない。これに関してはライムスター宇多丸を筆頭に、晋平太、ERONEなど錚々たるメンツが太鼓判を押している。
つまり、「好きな〇〇は何か」との問いに対し、最も有名なもの、No.1のもの、を答えることに躊躇してしまう場合が往々にしてあるけれど、No.1にはNo.1である歴とした理由があるわけであり、自分の”好き”に対して自信を持って”好き”と言う勇気を持つべきである。
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そんなわけで今回紹介するラーメンは、当サイト創立以来5年間に渡って何故か取り上げられなかった悲劇の名店、左京区No.1ラーメンこと福仙楼である。
白川今出川から北へ徒歩5分、所謂「北白川」と呼ばれるエリアにあるこちらの店。赤提灯が目印だ。
同系列の「東龍」と店を隣り合わせている。東龍は昼営業もしているが、福仙楼は夜のみの営業である。
「寒いですね。」
約束を取り付けていた農学研究科O先輩と店の前で会う。時刻は午後10時半。京の秋風が冷たい。
夜遅いこともあり客はまばら。二人はすぐにカウンターに案内された。
今宵は屋台そば(並)+スジ肉御飯 920円を注文。
先日学会を終えたばかりのO先輩の苦労談を拝聴したり、、最早お馴染みの議題となったハロプロ研究会の行く末について脊髄反射的な言葉のやり取りをしたり、、
などしていると着丼。
到着したラーメンを覗き込み思わず息を呑む。古伊万里を連想させる極彩色のスープの上には優雅に旋回する迦陵頻伽が想像できる。「食は見た目から」とは言い得て妙なり。
山吹色のスープに、緑色のネギ、もやし、細切れ肉がふんだんに盛り付けられる。そして仕上げに散らされた辣油の赤。
食の三原色ここに揃いたり。
スープを一口。香り良し。味良し。
続けて一口。適度に効いたニンニクが全身に快感物質を放出する。
麺は中程度の太さでコシがしっかりしている。スープとの絡み加減も満点だ。
17世紀ブルボン朝にラーメンがあったとするならば太陽王ルイのお口に合うのはきっとこんなラーメンであろう。
サイドメニューのスジ肉御飯がこれまた美味。ホロホロになったスジ肉を白米と共にかっこむ。チェイサーとしてラーメンのスープを投入。
「……ッ!!!!」(ここで前前前世が流れる)
うますぎる。
僕らはアウストラロピテクスの頃からこの味を捜し求めて来たのである。
この境地に達したラーメンには余計な美辞麗句はかえって邪魔になろう。
ただ一言、うまいのである。
「ごちそうさま」
店主にそう告げ外に出る。時刻は23時。京の秋風は相変わらず冷たい。しかし、二人の心は誰よりも暖かくなっていたのであった。
(文責:ごとー 2016/10/18)