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熱変形研削形状シミュレーションプログラム(TGSP)は,縦型平面研削盤を用いて,図1.1に示すように砥石を傾斜させてインフィード研削する場合において,砥石の試料への切込深さや砥石の摩耗形状,試料の研削形状の変化過程を,チャックの熱変形を考慮してシミュレートするプログラムです.

試料が研削され,砥石が摩耗してゆく過程は,分割座標点毎に以下の仮定のもとで計算され,切込分布,および試料・砥石形状として表示されます.

最初の切込深さは砥石が傾斜した位置で試料に接触した位置から始まります


(1) 砥石摩耗は研削走行距離に比例する

(2) 試料の研削量は,砥石切込量と砥石逃げ量の差に依存する.

(3) 砥石逃げ量は砥石端のループ剛性に依存する傾斜量に依存する.

(4) 砥粒は剛体とする.

(5) 試料は剛体とする.

(6) 砥石と試料は面接触する.

(7) 砥石は垂直研削抵抗により比例的に傾斜する.

(8) 切込は試料1回転毎に1回行われ,その深さは[60 / 試料回転速度 * 切り込み速度]で計算される.

(9) 砥石先端は試料中心位置にセットされる.

(10) チャック積層体は熱膨張率の異なる3層構造体とし,材料力学で解析できる熱変形を生じる.

(11) チャック(ポーラス部と実部)とその下部にある積層体は厚さ方向に比例的な熱分布をもつ.

(12) 積層体は熱を蓄積せず,研削熱は研削液により一部除去された後,チャック下部から放熱される.


その特長は,以下に記述するとおりです.

(1) 砥石の外半径,砥石幅,試料半径,砥石・試料位置,砥石傾斜回転位置は任意.

(2) 砥石・試料回転速度は任意.

(3) 切込速度,切込時間は任意で,5つの研削工程を設定できる.

(4) 積層体の力学的,熱的材料特性は任意.

(5) チャック傾斜は任意.

(6) 理想状態における計算では砥石傾斜は任意に設定できる.一方,砥石摩耗時には垂直研削抵抗とねじり剛性から自動的に計算される.

(7) 試料,砥石形状を半径の関数として入力できるので,前加工で生じた試料,砥石形状が試料形状にどのように影響するかの研削過程もシミュレート可能.

(8) 試料研削形状を三次元図で格子線描画可能.

(9) 研削に伴う試料形状,砥石形状,切込分布等の変化過程を表示できる.

(10) 試料に最良平坦度が得られる砥石傾斜を表示できる.