以下のページでは、2019年度(2019.4-2020.3) に作成した論文を以下に掲載しています。引き続きご検討をいただけましたら幸いです。
現在、新しいGoogle Siteに変換中です。(2021.5.1)
お詫び:新しいGoogle Siteへの移行への移行の過程で、各ページの論文へのリンクが解除されていました。少しずつ再設定を行っていますのでご了承ください。(2021.6.2)
以下は、2019年度の論文一覧です。【論文】をクリックするとファイルが開きます。
73. 2020.3.12. 米日での投資信託とETF、最新動向(1)アメリカを中心として 【論文】
72. 2020.2.12. 世界と中国のファブレス・ファウンドリー:最新の動向 【論文】
71. 2020.1.21. 蔡英文総統の再選とTSMC型企業にみる対中経済自立の可能性 【論文】
70. 2019.12.29 顔認証企業をめぐるグローバル競争: 最新中国企業分析シリーズ、第8回 【論文】
69. 2019.12.4 書評 李宇衍論文(書評:李栄薫編著『反日種族主義』その3) 【論文】
68. 2019.11.18. 書評:李栄薫編著『反日種族主義』その1 落星垈経済研究所の経済学者などによる批判 【論文】
67. 2019.11.5 中国インターネット企業と投資家の役割(最新中国企業分析(7)) 【論文】
66. 2019.10.14 フィンテック企業、有力企業と投資家の役割 【論文】
65. 2019.9.16 書評 朱益鍾『大軍の斥候 韓国経済発展の起源』(書評:李栄薫編著『反日種族主義』その2)【論文】
64. 2019.8.30 香港とタックス・ヘイブン、中国企業にとって不可欠な役割 【論文】
63. 2019.8.19 Asia300 Power Performers Ranking 2019 ランキング 【論文】
62. 2019.8.1. 書評 遊川和郎『香港 返還20年の相克』 【論文】
61. 2019.7.22. 日本企業上位50社のコーポレート・ガバナンス 【論文】
60. 2019.6.24. 研究開発費によるグローバル企業1000社調査:調査の全貌と注目の11社 【論文】
59. 2019.5.28. 第2次世界大戦中の日本の貿易 【論文】
58. 2019.5.8. 書評「Marcel Boldorf、岡崎哲二編『占領下の経済』の紹介」 【論文】
57. 2019.4.20. 梶谷懐氏の中国イノベーション論と中国企業の現状 【論文】
以下では、論文毎に詳しい説明があります。
論文「米日での投資信託とETF、最新動向(1)アメリカを中心として (Current Trends on US and Japanese Mutual Funds and ETFs: (1) On the Trends in the United States) 」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.3.12)
本論文の表7の単位の表記に誤りがありました。表の内容には変更はありません。ご利用いただいた方にはお詫び申し上げ、訂正した論文を掲載いたします。(2019.3.15)
2019年末に、中国の武漢で発生した新型コロナ・ウイルスが、しだいに世界にまん延しつつあり、発生地中国は言うまでもなく世界の経済活動は一定の期間停滞することが予想される。2020年2月24日からの週以降に、比較的落ち着いていたアメリカの株式市場を含め、世界の株式市場ではリーマンショックの時期を上回る暴落が起こった。3月中旬現在その終息の見込みは立っていない。
ところで、私の論文「米日でのインデックスファンドとETFの発展」(2016年12月)は、米日の投資信託とETFの歴史的な発展を概観した。その検討を踏まえ、アメリカと世界を中心に検討する本論文と、日本について検討する次に予定する論文で、米日の投資信託とETFの最新動向を検討したい。日本では、いわゆる老後2000万円不足問題で、この資産運用問題を真剣に取り上げられることが求められている。
1では、先の論文で示した投資信託とETFの歴史的な発展過程を概観し、2ではアメリカの投資信託、3ではETFについて最新動向を明らかにしたい。
論文「世界と中国のファブレス・ファウンドリー:最新の動向 (Global and Chinese Fabless and Foundry: Latest Trend) 」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.2.12)
2019年末に、中国の武漢で発生した新型コロナ・ウイルスが、世界にまん延しつつあり、発生地中国は言うまでもなく世界の経済活動は一定の期間停滞することが予想されている。中国経済は、米中経済対立に引き続いて大きな打撃を受けつつある。
本論文は、2020年代はじめの経済をけん引すると予想される半導体産業の現状をまとめてみる。特にこれから大きな役割を担うとみられている中国の半導体産業について、ファブレスとファウンドリーそれぞれについて、特に詳しく検討してみたい。半導体産業もコロナ・ウイルスの拡がりで一時的には停滞に陥るだろうが、その幅広い需要によって再び勢いを取り戻すだろう。
本論文1では半導体産業全般を、2では世界と中国のファブレスとファウンドリーを別々に取り上げ、3では中国の半導体産業の特徴を、各国と比較しながら、その特徴をまとめてみた。
論文「蔡英文総統の再選とTSMC型企業にみる対中経済自立の可能性(Independent Taiwanese Economy from China Found in TSMC type Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.1.21)
2019年1月11日の台湾総統選で、現職の蔡英文(ツァイ・インウェン)氏が圧勝で再選された。また、総統選と同時に投開票された立法委員選は、与党・民主進歩党(民進党)が過半数を上回り、勝利した。
香港での中国による民主化運動への弾圧を機に、台湾の民主主義の危機を受け止めた人々による、蔡英文氏と民主進歩党への支持は拡がった。今後、蔡政権が台湾の中国からの政治的な自立を高めるだけではなく、経済的な自立を高めることができるかどうかが試されている。
1は台湾の貿易と直接投資における対中経済関係を整理し、対外直接投資に今後の台湾の行方を捉える。2は台湾の主要企業における対中依存の現状を明らかにする。現在の台湾を代表する5つの企業を取り上げ、その中でもTSMCに代表される、中国での生産に依存しないTSMC型企業に台湾経済の自立の可能性をみる。
論文「顔認証企業をめぐるグローバル競争(Global Competition for Face Recognition Companies): 最新中国企業分析シリーズ、第8回」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.12.29)
2019年12月15日に発動予定のアメリカによる関税の引き上げは見送られ、米中貿易戦争は小康状態となった。しかし、その合意内容は曖昧なばかりか、アメリカによる中国の政府主導の経済システムや、中国国内の人権侵害に対する批判は、新たな段階に入ろうとしている。
2019年10月に、アメリカでは新たなエンティティ・リストが公表され、28の中国の公安局と、顔認証関連のユニコーン企業を含む注目の企業群がその対象として加えられた。これらの企業群は、政府や有力企業の資金的支援と、「超管理社会」化の過程で急速な成長を遂げた。
本論文の検討順序は以下の通りである。1は、Hurun Global Unicorn List 2019を用いて、世界のAI分野のユニコーン企業に注目する。2は、アメリカの新たなエンティティ・リストの対象とされた、中国の顔認証分野のユニコーン企業や、監視カメラ製造の有力企業などの特徴を明らかにする。3は、顔認証分野での中国ユニコーン企業と、顔認証では有力な日本企業との対比を試みる。4では、中国のベンチャー投資の後退と上海証券取引所科創板の現状から、中国ユニコーン企業の基盤の弱さも指摘する。
「書評 李宇衍論文、書評:李栄薫編著『反日種族主義』その3」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.12.4)
私の論文「書評:李栄薫編著『反日種族主義』その1 落星垈経済研究所の経済学者などによる批判」冒頭で、「今後、同書の注目すべき内容と、それを裏付ける研究を順次紹介したい。」としたが、本書評では、著者の一人である李宇衍(イ・ウヨン)氏の最近の日本語論文「戦時期日本へ労務動員された朝鮮人鉱夫(石炭、金属)の賃金と民族間の格差」を紹介したい。同論文は、現在日韓間で重要な課題となっている徴用工問題について、戦間期から戦時期にかけての、日本の鉱業での朝鮮人と日本人の賃金格差を具体的に明らかにし、「強制動員」や「強制労働」などの虚構を批判している。
「書評:李栄薫編著『反日種族主義』その1 落星垈経済研究所の経済学者などによる批判」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.11.18)
李栄薫編著『反日種族主義』が刊行された。韓国で刊行された書籍の日本語版である。韓国ではベストセラーになったが、日本語版の刊行は、わずか4か月後である。同書は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権を支える思想と思想家に対する包括的な批判に取り組んでいる。
私は、すでに同書の著者の一人である朱益鐘『大軍の斥候』の書評を試み、著者達の見解の一部を紹介している。同書が取り組んでいる課題は幅広いので、まず本書評では同書の簡単な紹介と、核心部分のひとつを取り上げたい。今後、同書の注目すべき内容と、それを裏付ける研究を順次紹介したい。
論文「中国インターネット企業と投資家の役割 (Chinese Internet Companies and Role of Investors)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.11.5)
2019年10月に発表した私の論文「フィンテック企業、有力企業と投資家の役割」は、South China Morning Postが作成したChina Internet Report 2019にもとづいて、フィンテック企業を含む中国の代表的なインターネット企業を紹介した。しかし、その紹介は、同論文の中心的な課題ではなかったため、一部に止まっていたので、本論文でより詳しく紹介し、検討したい。
China Internet Report 2019は、その成長性の高さから、すでに世界の有力企業と肩を並べている中国を代表するTencent HoldingsやAlibaba Groupなどを掲載している。また、同調査は、代表的な企業とともに、未公開のユニコーン企業を幅広く紹介している。今や、ユニコーン企業のなかでも、中国企業がアメリカ企業とともに非常に重要な位置を占めている。これらの中国インターネット企業の正確な実態を把握することが、本論文第1節の課題である。
第2節では、中国インターネット企業に投資している投資家、機関投資家やプライベート・エクィティ、ベンチャー・キャピタルを、やはりChina Internet Report 2019によって明らかにする。これまで、投資家は将来の発展の可能性が大きな企業を見つけ出し、リスクを恐れず育てることが課題であった。しかし、今ではそれらの企業の一部は巨大化し、社会や市場への影響が大きくなっている。中国の巨大インターネット企業が、インターネットを管理する政府との緊密な関係を築いて、急速な成長とともに、社会や市場での自由な活動に否定的な影響を与えつつあることも事実である。
論文「フィンテック企業、有力企業と投資家の役割 (Leading Fintech Companies and Role of Investors)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.10.14)
フィンテックはますます進化している。IT分野での持続的な技術革新が、新たな金融サービスの登場を促している。本論文は、フィンテックの発展の各段階と現在の状況を簡単にまとめることから始める。次に、この過程を推進している企業を幅広く紹介する。前半の1と2では、IDCのデータに基づいてアメリカを中心とし、日欧を含む代表的なフィンテック企業を紹介する。後半の3と4では、KPMGやSCMPなどのデータに基づいて、中国企業を中心とするスタートアップ企業を紹介する。
フィンテック企業には、様々な分野の個人の金融情報が集積・統合される。統合された金融情報がどのように利用されるか、すべての国できわめて重要な課題となっている。投資家がフィンテック企業に集積し、国家に利用される恐れがある個人情報にどう対応するかにも注目したい。
「書評 朱益鍾『大軍の斥候 韓国経済発展の起源』」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.9.16)
韓国の文在寅政権による継続的かつ徹底した反日政策に対して、ようやく韓国内の研究者が包括的に批判した著作が刊行された。李榮薫ソウル大学名誉教授らが著した『反日種族主義』(2019年)である。同書には、李榮薫氏とともに、金洛年、金容三、朱益鐘、鄭安基、李宇衍の諸氏が論文を載せている。
この著作についての紹介と書評は、日本語版刊行後にしたいが、本書評は、上記書の共著者の一人の朱益鍾氏が2008年に刊行された『大軍の斥候 韓国経済発展の起源』を取り上げる。同書は、第2次世界大戦中の朝鮮(韓国) で、朝鮮人による代表的な企業として活動した京城紡織に焦点を合わせ、それが戦後の韓国経済の発展の「後ろに迫る大軍の斥候」であることを明らかにしようとした、画期的な著作である。
論文の副題に「書評:李栄薫編著『反日種族主義』その2」と追記しました。(2019.12.4)
論文「香港とタックス・ヘイブン、中国企業にとって不可欠な役割」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.8.30)
香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に対する、香港の人々による反対運動は、今では普通選挙の実施を含む重要な改革課題を掲げて、さらに拡がりを見せている。こうした動きの中で、香港の将来像についても活発な議論が行われようとしている。
この課題の検討に当たっては、何よりも香港経済の実態を理解することが必要である。そのためには、香港と中国の経済的な相互依存関係を明らかにしなければならない。本論文は、香港と中国の貿易と直接投資、中国企業のグローバルな企業内ネットワークの情報を検討して、両者の相互依存関係、とりわけ香港とタックス・ヘイブンが中国企業にとって不可欠な役割を果たしていることを解明したい。GDPや貿易を見ると、確かに中国にとって香港の役割は小さくなっている。しかし、直接投資と中国企業のグローバルな企業内ネットワークに眼を向けると、中国経済と代表的な中国企業にとって、香港はきわめて重要な役割を果たし続けており、香港という国際金融の拠点を抜きにして今後の中国企業の成長は難しくなることも、事実のもう一面である。
論文「Asia300 Power Performers Ranking 2019 ランキング」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.8.19)
Nikkei Asian ReviewがAsia300 Power Performers Rankingを発表して4年目になる。本論文は2019年7月に公表された2019年版の特徴を確認し、過去2年間との比較を試みる。
中国は急速な経済発展にともない、政治的・軍事的な支配力を拡大している。南シナ海への進出や、一国二制度が保証されていた香港、そして台湾に中国は直接的な影響力を行使しようとしており、当該国・地域との対立が深まっている。
しかし今、急速な発展を遂げてきた中国経済は、米中貿易戦争で非常に難しい局面に入りつつある。米中の対立は、貿易から経営資源の移転問題まで幅広い領域に及んでいる。この動きは、世界とアジア、特に中国経済の停滞を招く恐れが高まっている。
世界とアジア経済に忍び寄る後退の影響は、まだ上記調査の結果には及んでいないが、これまでの動向を確認しながら、今後の影響を注視していきたい。
「書評 遊川和郎『香港 返還20年の相克』」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.8.1)
2019年の後半に入って、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に対する香港の人々の反対運動はいちだんと拡がってきた。一方でマフィア組織「三合会」などによる反対運動への襲撃もあり、対立は深刻になってきた。
こうした香港の現状について包括的に明らかにする研究も、ようやく少しずつ増えてきた。遊川和郎『香港 返還20年の相克』は、香港の歴史と現在、経済と政治、現在の民主化運動などの基本的な問題を、多様な資料にもとづきわかりやすく理解することができる最も適切な書籍のひとつである。
本書評では、まず本書を詳しく紹介する。その上で、香港が中国から経済的・政治的に自立し、民主主義を実現するためには何が必要か、金融市場と企業の側面を中心に若干の補足を試みる。
ところで、香港の民主主義と自由がどうなるかは東アジア全体に大きな影響を与える。日本が東アジアの民主主義と自由を主導するためには、この問題への積極的な関与が不可欠である。
論文「日本企業上位50社のコーポレート・ガバナンス(Corporate Governance in Top 50 Japanese Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.7.22)
2018年度の決算とその内容を検討する日本企業の株主総会がほぼ終わった。日本企業の決算は、米中貿易対立を含む世界経済の将来についての不確実性の高まりによって、しばらく続いていた好調な業績が悪化に転じたことを明らかにした。
日本企業の株価は、世界経済の発展を背景にした好調な業績だけではなく、コーポレート・ガバナンス改革の進展、配当利回りの向上や自社株買いの増加によって、ここ数年順調に上昇してきたが、2018年から2019年前半にかけて不安定化と停滞に陥っている。
このように新たな転機を迎えている日本企業について、本論文ではそのコーポレート・ガバナンス改革の最新の状況について検討してみたい。1では、日本企業の時価総額上位50位までの企業について、そのコーポレート・ガバナンス、機関設計がどのような状態かをまとめてみる。2では、日本のコーポレート・ガバナンス改革の簡単な歴史を振り返る。まず2003年に、現在では指名委員会等設置会社と呼ばれる委員会等設置会社が導入された。しかしその後、この機関設計を導入する企業はあまり増加せず、2015年に監査等委員会設置会社が導入された。この2つの機関設計の主なねらいをまとめる。3では、この2つの機関設計と、これまで支配的であった監査役会設置会社について、改めてより詳しく相互比較を試みる。最後に4では、新たに指名委員会等設置会社に移行した日産について、新旧の体制比較を試みる。
論文「研究開発費によるグローバル企業1000社調査:調査の全貌と注目の11社(PwC’s The 2018 Global Innovation 1000 study: Details and 11 Noteworthy Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.6.24)
PwC社が最新のThe 2018 Global Innovation 1000 study: Investigating trends at the world’s 1000 largest corporate R&D spendersを発表した。グローバル企業をどのように評価するかについては、長い変遷の歴史がある。最初は売上高基準が一般的で、企業はその規模によって評価された。その後広く受け入れられたのが、株式時価総額基準である。それは、今でも有効ではあるが、それを補うものとして注目されつつあるのが、研究開発費(研究集約度)基準である。The 2018 Global Innovation 1000 studyは、この基準に焦点をあわせ、グローバル企業1000社の7年間のデータを収集した。
1では、PwC社調査の1000社を、国別、産業(産業部門、産業集団、産業)等の基準で集計した。2では、この結果から特に注目される企業11社を選んで、それらの産業全体の動向とともに、特徴を検出した。選出に当たっては、注目すべき国の企業という基準もあわせて用いた。11社は、通信機器のZTE Corporation、Nokia Corporation、Telefonaktiebolaget LM Ericsson (publ)の3社、SoftwareなどのSAP SE、VMware, Inc.、MediaTek Inc.の3社、HealthcareのCelgene Corporation、Regeneron Pharmaceuticals, Inc.、Allergan plc、Teva Pharmaceutical Industries Limited、Daiichi Sankyo Company, Limitedの5社である。
・論文「第2次世界大戦中の日本の貿易(Japanese Trade in the Second World War)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.5.28)
2015年に刊行された、Marcel Boldorf, Tetsuji Okazaki eds., Economies under Occupation: The Hegemony of Nazi Germany and Imperial Japan in World War IIは、戦間期のドイツと日本の対外経済関係を包括的に比較した初めての本格的な研究書である。第2次世界大戦後70年を経て、戦間期の独日の対外経済関係が、ようやく客観的な研究対象となってきた。
この研究のなかで、編者の一人である岡崎哲二教授は、日本の1943年の貿易を詳しく検討した、きわめて重要な論文を同書に掲載した。私は、これまで世界の直接投資と各国企業の発展史を研究し、特に戦間期については、Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Editionで、幅広く日本の対外経済関係を検討した。しかし、第2次世界大戦期の1943年については、対外経済関係全体を検討するのが困難なため取り上げていなかったので、本論文で1943年の貿易を、岡崎論文よりもやや詳しく検討してみた。
・書評「Marcel Boldorf、岡崎哲二編『占領下の経済』の紹介 (Book review of Marcel Boldorf and Tetsuji Okazaki eds., Economies under Occupation)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.5.8)
Marcel Boldorf, Tetsuji Okazaki eds., Economies under Occupation: The Hegemony of Nazi Germany and Imperial Japan in World War IIが2015年に出版された。
戦間期のドイツと日本は、両国周辺の広大な地域に進出し占領した。その支配圏は、 Greater Economic Sphere (Grosswirtschaftsraum, 広域経済圏)と、Grater East Asian Co-Prosperity Sphere(大東亜共栄圏)と呼ばれている。本書の課題は、二つの影響圏、拡大と搾取戦略の異なった様式が明確に区別される、二つの占領体制を比較することである。第2次世界大戦が終了して70年以上も経過し、客観的な研究の条件が整い、ようやくこの課題について本格的な研究が始まったと言えるだろう。また、本書は次節で詳細を示すが、編者二人の総括的な研究とともに、編者を含む20名の研究者による、経済圏の各地域の個別研究から成っている。その幅広さが本研究のもうひとつの特徴となっている。
ところで私は、これまで世界の直接投資と各国企業の発展史を研究してきた。特に戦間期については、Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition、Historical Development of Japanese Companies: Corporate Governance and Foreign Investment: Expanded and Revised Second Editionの二つの英語版と、『日米コーポレート・ガバナンスの歴史的展開』をまとめたが、これらの研究を踏まえて、本書について詳しく紹介したい。
・2019年度最初の論文「梶谷懐氏の中国イノベーション論と中国企業の現状 (Prof. Kajitani's Theory of Chinese Innovation and the Current Situation of Chinese Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.4.20)
キーワード (Key Words):イノベーション、三つの層が補完し合うシステム、海外直接投資、国家資本主義、大衆資本主義
米中の経済対立が厳しさを増している。アメリカはHuawei、ZTEをはじめ、Hikvision、DahuaとHyteraなどの企業からの調達を禁止し、さらには半導体関連の一部企業との取引中止にまで進もうとしている。その理由は、これらの中国企業が、アメリカ企業の技術や情報を盗用していると判断しているからだが、ある意味では、そこまで中国企業の技術は進みつつある。
中国のイノベーションはなぜ急速に進展したのかについて、梶谷懐氏は「三つの層が補完し合うシステム」の存在を指摘した。中国経済の停滞や崩壊を中心に検討してきた従来の中国経済論がやや軽視した分野について、梶谷氏は新たな問題提起を投げかけたとして、今注目を集めている。
本論文は、1で梶谷氏のイノベーション論を紹介し、3は、これまでの私の論文をもとに、中国先端産業の代表的企業の具体的な分析を通じて梶谷氏の理論を検討する。また、現代の後発国のイノベーションに不可欠な海外直接投資の役割を2で、4では、3で取り上げた中国企業に強い影響力を行使している、国家と共産党の役割について検討したい。