2020年度の論文

以下のページでは、2020年度(2020.4-2021.3) に作成した論文を以下に掲載します。引き続きご検討をいただけましたら幸いです。

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以下は、2020年度の論文一覧です。【論文】をクリックするとファイルが開きます。

92. 2021.3.23. 書評 エッカート『日本帝国の申し子』論文

91. 2021.3.12. コロナ下の2020年(3):半導体4分野における中国企業論文

90. 2021.2.21. コロナ下の2020年(2):直接投資とクロス・ボーダーM&Aの後退論文

89. 2021.1.31. コロナ下の2020年、グローバル企業の激変論文

88. 2021.1.14. 書評 『毛沢東の大飢饉』論文

87. 2020.12.28. 戦間期後半の日本の対中投資と日中間のCollaboration(Japanese Companies in East Asia: History and Prospects Expanded and Revised Second Editionの第3章の簡略版)【論文

86. 2020.12.12. 戦間期日本の対中投資と日中企業間競争(Japanese Companies in East Asia: History and Prospects Expanded and Revised Second Editionの第1章の簡略版)【論文

85. 2020.11.24. 緊迫する台中関係の下での、台湾EMSと半導体企業【論文

84. 2020.11.2. 書評:マークR.レヴィン『失われた報道の自由』【論文

83. 2020.10.11. フーヴァーの思想と経済・外交政策 論文

82. 2020.9.27. 書評 ネイマーク『スターリンのジェノサイド』論文

81. 2020.9.13. 書評 新川健三郎『ニューディール』論文

80. 2020.8.24. 書評 富士川游『日本疾病史』(1912)論文

79. 2020.8.7. 中国インターネット企業の急成長とグローバル化の条件 論文

78. 2020.7.12. 中国の強権的な内外政策と世界の投資家の役割:香港国家安全維持法案の成立を契機に論文

77. 2020.6.28. 世界と日本の製薬・バイオ企業、2020年【論文

76. 2020.5.26. 新型コロナウイルス感染拡大からの各国の出口戦略【論文

75. 2020.5.26. 書評論文「スペイン・インフルエンザに関する3つの基本文献の紹介【論文

74. 2020.4.9. 米日での投資信託とETF、2020年(2)日本を中心として 【論文

以下では、論文毎に詳しい説明があります。

「書評 エッカート『日本帝国の申し子 』(Book Review: Carter J. Eckert, Offspring of Empire) 」本ページ最下段に掲載しました。(2021年3月23日)

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本書評論文で取り上げるのは、カーター・J・エッカート『日本帝国の申し子―高敞の金一族と韓国資本主義の植民地起源1876-1945』、草思社、2004年(Carter J. Eckert, Offspring of Empire: The Koch'ang Kims and the Colonial Origins of Korean Capitalism 1876-1945, University of Washington Press, 1991)である。

上記の通り、日本語の翻訳までに13年、韓国語版はさらに遅れて、朱益鍾の翻訳で『帝国の後裔』(2008年)として、原書が出版されてから17年も経って出版された。エッカートによる本書は、先進各国では影響力がすでに失われたにも関わらず、韓国や北朝鮮では未だに影響力を持ち続けている民族資本論を真っ向から批判し、朝鮮人資本家・企業家達の具体的な活動に焦点を当てて、朝鮮の資本主義化の実態を明らかにしている。

本書評論文では、上記書を章ごとに順に詳しく紹介し、著者の方法と結論をできるだけ詳しく紹介したい。

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論文「コロナ下の2020年(3):半導体4分野における中国企業(Chinese Companies in the Four Semiconductor Sectors) 」本ページ最下段に掲載しました。(2021年3月12日)

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2020年に本格化した米中の先端産業をめぐる対立は、その産業の幅広い分野に及びつつある。そのひとつが、中国企業が急速に台頭した半導体産業である。本論文では、半導体産業のファウンドリー、ファブレス、EMS 、半導体製造装置などの4分野における中国企業の現在の位置について明らかにしたい。中国企業の最大の特徴は、強い国家依存と海外からの積極的な技術の導入である。だが、海外からの技術の導入は、米欧各国の規制によって非常に難しくなっている。そのことで、中国企業は国内での技術開発、国産化が最も重要な課題となっているが、それがどのように進みつつあるかを概観したい。

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論文「コロナ下の2020年(2):直接投資とクロス・ボーダーM&Aの後退 (Declining Role of FDI and Cross-border M&A under the Situation with COVID-19) 」本ページ最下段に掲載しました。(2021年2月21日)

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2020年は新型コロナ感染症が世界に拡大し、多くの死者を出した年だった。感染症の拡大にともなって、世界の人々の移動は極端に制限され、各国での経済の後退や停滞が顕著になった。2020年はもうひとつの特徴を持っていた。国家による独裁体制のもと影響力を拡大する中国経済と企業に対し、各国・企業が危機感を抱き、サプライチェーンの再構築を進めつつある。さらに、GAFAM等の今日の経済をけん引する企業群において、クロス・ボーダーM&Aの役割が低下している。このような条件の下で、長らくグローバル経済を支えてきた直接投資やクロス・ボーダーM&Aの意義と役割が変化しつつある。

直接投資は、受入国経済に最新の技術を移転し、受入国の経済を急速に発展させることを可能にする。中国を含む今日の新興国は、その恩恵を強く受けてきた。今、その動向に大きな変化が見られつつある。本論文は、最近10年間の直接投資とクロス・ボーダーM&Aに見られる変化を明らかにしたい。

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論文「コロナ下の2020年、グローバル企業の激変 (A Drastic Change in Global Companies under the Situation with COVID-19)」本ページ最下段に掲載しました。(2021年1月31日)

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2020年に世界的な規模で拡大した新型コロナ感染症は、グローバル経済と企業に激変をもたらした。2021年1月現在、各国での感染の勢いは衰えてはいない。その結果、ものとひとの世界的な移動が著しく困難になり、感染が拡大した地域では何度もロックダウンが実施され、経済活動が全体として見れば後退と停滞を余儀なくされた。同時にこうした条件の下でも、かねと情報の移動はますます活発になり、その移動に基盤を置く企業群はいちだんと成長しつつある。

本論文は、2020年のグローバル企業の激変を、私のこれまでのいくつかの論文との比較をふまえてまとめてみたい。1節は、株式時価総額を基準にグローバル企業を概観し、2節は、加熱している先進国の株式市場での主要企業のPERの動向を、3節では、主要企業のセグメント情報から、主要企業に起こっている変化を捉えてみたい。

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「書評 『毛沢東の大飢饉』(Book Review: Frank Dikötter, Mao's Great Famine)」本ページ最下段に掲載しました。(2021年1月14日)

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本書は、Frank Dikötter, Mao's Great Famine: The History of China's Most Devastating Catastrophe, 1958-1962, Bloomsbury Publishing, 2010 (中川治子訳、『毛沢東の大飢饉: 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962』、草思社、2019年)の書評である。最初の単行本の日本語訳は2011年に刊行された。

私は、「書評 ネイマーク『スターリンのジェノサイド』」(2020年9月)を発表したが、本書評によって、スターリンのソヴィエトにおけるのと同様の、厳密にはより大規模なジェノサイド が、中国でどのように行われたかを紹介したい。その時期と比較して現在は、中国の経済発展は著しいが、国を支配する共産党の独裁体制はほとんど何も変わっていない。その意味で、中国と東アジア、世界の今後を考えるためには、本書の検討は欠かせない。

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論文「戦間期後半の日本の対中投資と日中間のCollaboration (Japanese Investment in China in the Second Half of Inter-War Period and Collaboration between Japanese and Chinese)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年12月28日)

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本論文はJapanese Companies in East Asia: History and Prospects Expanded and Revised Second Editionの第3章の簡略版である。1は戦間期後半の日本の対中投資を、2はその時期の重要な投資の担い手であった北支那開発と中支那振興を、3は在華紡について明らかにする。最後に4では、1940年代に取り組まれた日中のCollaborationの背景と実態を検討する。

上記英語版原書第3章に掲載していた産業別の詳しい研究や、北支那開発、中支那振興とその主要関係会社の財務諸表については、論文の簡略化のため削除した。また、全体の簡略化のために一部の記述を削除した。さらに進んで研究されたい方は、英語版原書をご参照ください。

(補足)上記英語版の第4章と第5章は、すでに日本語簡略版を作成しています。それぞれ、戦間期朝鮮企業論 - 日朝企業間のCollaboration(2017.4.27. )日本の対満洲投資と満洲でのCollaboration(2017.5.15.)をご覧ください。

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論文「戦間期日本の対中投資と日中企業間競争 (Japanese Investment in China in the Inter-war Period and Competition between Japanese and Chinese companies)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年12月12日)

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(欠落していた付表を付け加えたVer.2を掲載しました。(2012.12.14))

本論文はJapanese Companies in East Asia: History and Prospects Expanded and Revised Second Editionの第1章の簡略版である。1は戦間期の世界の対中投資を、2は戦間期の日本の対中投資と日本企業を検討する。以上の検討をふまえて、3は戦間期中国の代表的な紡績企業と、日中企業間競争を明らかにする。最後に4では、戦間期中国の証券市場を検討する。

上記英語版原書第1章に掲載していた世界の直接投資全般と、対中投資の金融産業関連についての研究は、簡略化するため削除した。また、全体の簡略化のために一部の記述を削除した。さらに進んで研究されたい方は、英語版原書をご参照ください。

(補足)上記英語版の第4章と第5章は、すでに日本語簡略版を作成しています。それぞれ、戦間期朝鮮企業論 - 日朝企業間のCollaboration(2017.4.27. )日本の対満洲投資と満洲でのCollaboration(2017.5.15.)をご覧ください。

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論文「緊迫する台中関係の下での、台湾EMSと半導体企業 (Taiwan EMS and Semiconductor Companies under Tense Taiwan-China Relations)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年11月24日)

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香港では香港国家安全維持法による、中国政府による支配がいちだんと強まっているが、その影響は台中関係のいっそうの緊迫化をもたらしている。中国は台湾の軍事的な侵攻を否定しないし、そのための準備も着々と進めている。

このような条件の下でも、鴻海をはじめとする有力な台湾企業は中国での活動を続け、特に中国の輸出に非常に大きな貢献を続けている。本論文は、まず1節で、中国の輸出入で台湾企業がどのような貢献をしているかを具体的に示す。2節は、中国での輸出を支えている、台湾EMS企業の鴻海精密工業、廣達電腦、和碩聯合科技の3社の活動を明らかにする。最後に3節は、同じ台湾の代表的な半導体企業である、台灣積體電路製造と聯華電子と、2節の3社との相違を検討する。2節と3節では、台湾と対抗する中国企業についても触れておく。

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「書評:マークR.レヴィン『失われた報道の自由』(Book Review: Mark R. Levin, Unfreedom of the Press)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年11月2日)

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 2020113日にアメリカの大統領選挙が行われる。今まさに選挙直前で、トランプ大統領とバイデン前副大統領の激しい選挙戦が繰り広げられている。この選挙を巡って、メディアの事実上の応援合戦もますますヒートアップしている。

 このような背景の下で、Mark R. Levin, Unfreedom of the Press, 2019.5の日本語訳である、マークR.レヴィン『失われた報道の自由』が、202010月に刊行された。まさに絶妙なタイミングである。この著作は歴史的にも現在についても、メディアとジャーナリストの役割を詳しく問い直している。

 本書評論文では、第1節で本書の概略を示した後、3つの章を中心に紹介する。第2節では、「第6 ニューヨーク・タイムズの裏切り」を取り上げる。私は、最近スターリンのジェノサイドとローズベルト(本書では、私の以前の論文の引用を除いて、レヴィンの表記にあわせてルーズベルトと表記)の外交政策との関係を検討してきたが、本書の検討は、私の論文の指摘を裏付けてくれる。第3節は、「第4 報道の自由に対する真の脅威」を検討するが、報道の統制について、ウィルソン、ルーズベルトやオバマの政権が対象となる。第4節では、「第1 政治的思想が色濃く反映されるニュース」で、まさに現在のメディアとジャーナリストの政治との関係が明らかにされる。

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論文「フーヴァーの思想と経済・外交政策 (Book Review: Hoovers’ Thought, and Economic and Foreign Policy, its Close Relationship)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年10月11日)

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私は、書評論文「フーヴァー大統領回顧録『裏切られた自由』を読む:日本にかんする叙述を中心にして」 (2018年2月)で、フーヴァーの大著『裏切られた自由』の、特に外交全般と日本にかんする叙述について検討した。本書評論文では、フーヴァーの外交政策の基礎にある思想と経済政策について紹介し、両者に緊密な関係があることを明らかにしたい。

1節では、1922年という早い時期に書かれ、フーヴァーの思想がよく表れている代表作のひとつである、American Individualismを取り上げる。2節は、ローズヴェルトのニューディールに対抗したフーヴァーの経済政策について、The Memoirs of Herbert Hoover - The Great Depression, 1929-1941を用いて検討する。最後の3節は、以上の思想と経済政策と、外交政策がどのように深く結びついているかを明らかにする。

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「書評 ネイマーク『スターリンのジェノサイド』(Book Review: Norman M. Naimark, Stalin’s Genocides)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年9月27日)

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 戦間期のヨーロッパで、ヒトラーとスターリンによってジェノサイドが大規模に実行された。ヒトラーのジェノサイドについては、詳しく明らかにされ今なお追及が行われている。しかし、一方のスターリンのジェノサイドについては資料の公開は限定的で、ロシア社会での批判も進んでいない。本書評論文で取り上げる、ネイマーク『スターリンのジェノサイド』は、その課題に取り組んだ重要な研究である。

 ジェノサイドは、第2次世界大戦後になっても行われている。最も規模の大きなものは、毛沢東中国における大躍進政策にともなう大飢饉と文化大革命だろう。その後も、それと軌を一にしたカンボジアのポルポト政権によるものなどが挙げられる。世界にはジェノサイドを引き起こす可能性がある独裁政権が依然として残っている。ジェノサイドは決して歴史的な事件ではない。過去のジェノサイドを改めて見つめ直すことは今なお重要な課題である。

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「書評 新川健三郎『ニューディール』(Book Review: Shinkawa Kenzaburo, New Deal)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年9月13日)

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新型コロナ・ウイルスの世界的な拡大にともなって、世界経済はこれまでに無い落ち込みを経験し、先進各国ではようやく経済活動の復活が見られつつある。このような条件の下で、比較・研究すべきなのはやはり大恐慌とニューディールの時代である。 その検討の際に、ぜひ本書評論文で取り上げたい文献が、新川健三郎『ニューディール』である。同書は、ニューディールの基本的性格とその歴史的変化、経済と政治との幅広い関連、ニューディール派と反ニューディール派の論争、基本的なデータの紹介などについて、非常にわかりやすく説明している。

ところで、今アメリカ大統領選挙まであと2か月となっていて、トランプ政権と民主党のバイデン候補との厳しい闘いの真最中である。『ニューディール』では大恐慌以降の3回の大統領選挙が取り上げられていて、当時と現在の政治・経済の違いについて、さまざまな教訓を得ることができる。

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「書評 富士川游『日本疾病史』(1912)(Book Review: Fujikawa Yu, A History of Japanese Epidemics)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年8月24日)

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私は、私の論文「スペイン・インフルエンザに関する3つの基本文献の紹介」(2020年5月)で、内務省『流行性感冒』、速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』、 クロスビー『史上最悪のインフルエンザ』を紹介した。これらのスペイン・インフルエンザについての文献の検討は、現在なお感染が世界的に拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)への対応を考える場合に不可欠である。

スペイン・インフルエンザは1世紀前、大正年間の出来事であるが、これをさらにさかのぼって、日本の感染症の歴史を幅広く検討することも、次の大きな課題となっている。そのために最も重要な文献のひとつが、富士川游『日本疾病史』(1912 (明治45)年)である。本書評は、この著作を詳しく紹介したい。

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論文「中国インターネット企業の急成長とグローバル化の条件 (Fast Growing Chinese Internet Companies and Conditions for Globalization)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年8月7日)

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私はこれまで、中国のインターネット企業について、論文「中国インターネット企業と投資家の役割」(2019年11月)と、論文「中国の強権的な内外政策と世界の投資家の役割:香港国家安全維持法案の成立を契機に」(2020年7月)で検討してきた。本論文では、これらの検討を踏まえて、上場している中国インターネット企業の基本的な特徴と、将来のグローバル化の条件についてまとめておきたい。

本論文で取り上げる中国インターネット企業の多くは、アメリカの株式市場に上場し、世界から巨額の資金を調達してきた。しかし、事業地域はほぼ中国で、中国政府・共産党支配下で活動してきた。それらの企業は、事業活動を徐々に世界に拡大しようとしているが、アメリカをはじめ各国の政府・国民、投資家から、個人情報の保護、情報の自由な発信、企業間の自由な競争などの実現を強く求められている。

中国インターネット企業には、まずAlibabaとTencentという、2つの巨大企業とそのグループがある。それらを1節と2節が焦点を合わせる。3節は、2大グループにやや遅れたBaiduとそのグループを、最後の4節では、以上のグループに属さない新興のNetEaseとPinduoduoを検討する。

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論文「中国の強権的な内外政策と世界の投資家の役割:香港国家安全維持法案の成立を契機に (China's Aggressive Domestic and Foreign Policies and the Role of Global Investors)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年7月12日)

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中国全国人民代表大会常務委員会は、6月30日に中国による香港支配を強める「香港国家安全維持法案」を成立させた。香港における一国二制度は崩壊しようとしている。中国の強権的内外政策は、国内のウイグル族や人権派の弾圧、海外では台湾、日本の尖閣諸島への攻勢などにも及んでいる。香港の新法は、中国の強権的内外政策の象徴である。

アメリカ議会は、中国の当局者などに制裁を科す「香港自治法案」を通過させた。日本もまた、「遺憾」へとようやくより強い表現で中国の対応を批判した。米中対立はファーウェイなどの中国企業に対する制裁等とともに、米中対立が情報技術革命時代の経済と政治の幅広い分野に及ぶ2つの経済・社会システムの対立になろうとしている。

本論文では、中国の強権的内外政策に対して、各国政府や議会が採ろうとしている対応とともに、各国の金融市場と投資家が中国政府と中国企業に対してとりうる対応とその可能性について考える。

1節は、香港での「香港国家安全維持法案」に見られる中国の強権的内外政策を、2節は、そのような政策に対するアメリカ政府と議会の対抗措置を概観する。3節は、アメリカ市場に上場している中国企業を、4節は、アメリカ市場で中国企業に投資するETFを明らかにし、世界の投資家が、中国企業に政府・共産党からの独立等の改革を促す可能性を検討する。5節は、特に日本の投資家が、中国最大の企業であるAlibabaの筆頭株主であるSoftBank Groupを通じて、Alibabaに対し同様の改革を求める可能性について論じる。最後に、投資家による企業の政府からの独立、政治的・経済的・社会的自由を求める投資は、情報技術革命時代のESG投資の一貫であることを主張する。

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論文「世界と日本の製薬・バイオ企業、2020年 (Global and Japanese Pharmaceutical and Biotech Companies, 2020)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年6月28日)

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新型コロナ・ウイルスは、世界的に見れば依然として拡大し続けている。私達の社会は、これからは新型コロナ・ウイルスなどとともに生き続けなければならないことが、改めて明らかになりつつある。

新型コロナ・ウイルスの蔓延は、経済活動の停滞をもたらし、多くの失業者を生み一部の人々を困窮させている。しかし、同時に情報技術分野を中心に新たな技術革新が幅広い分野で急速に進みつつある。医薬品業界では、新型コロナ・ウイルスに対する治療薬やワクチンの開発をめぐって熾烈な競争が行われている。

今、私達はまさにこの競争のただ中にいるが、本論文はその競争を取り巻く環境を概観したい。1節では、世界の製薬・バイオ企業を、2節ではブロックバスターの動向を捉える。3節は有力な製薬・バイオ企業を生み出したアメリカの金融市場の特徴と比較して、日本の金融市場や投資家に求められるものを確認する。

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論文「新型コロナウイルス感染拡大からの各国の出口戦略 (Exit Strategies of Each Country from the Spread of New Coronavirus Infection)」本ページ最下段に掲載しました。(2020年5月26日)

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私は、「スペイン・インフルエンザに関する3つの基本文献の紹介」で、スペイン・インフルエンザに関する重要な3つの著作を紹介した。本論文では、それらから得た教訓を踏まえて、現在の新型コロナウイルス感染症の拡大に対する出口戦略を考えてみたい。

本論文1節は、日経新聞に掲載された各国の出口戦略の比較を批判的に検討する。2節では、その戦略と各国の実情を人口10万人あたりの死者数によって対応させ、その結果から「日本型出口戦略」の可能性を考えてみたい。3節は、スペイン・インフルエンザの終息過程を3つの著作で確認しつつ、新型コロナウイルスの終息の見通しについて考える。

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書評論文「スペイン・インフルエンザに関する3つの基本文献の紹介(Book Reviews on Three Major Books about Spanish Influenza)本ページ最下段に掲載しました。(2020年5月26日)

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2020年5月現在、新型コロナウイルスの感染が、世界のあらゆる地域で拡大している。この世界的な蔓延、パンデミックがどのように拡大していくのかを正確に理解し、それに対する対応を適切に行うためには、ほぼ100年前に世界に拡大し、甚大な被害をもたらしたスペイン・インフルエンザから学ぶことが必要である。インフルエンザのひとつであるスペイン・インフルエンザと新型コロナウイルスとは異なる。しかし、世界的な拡大、パンデミックであること、感染経路や症状などで、両者には共通するところが少なくない。

スペイン・インフルエンザを理解するために取り上げるのは、1節から3節までの3つの基本的な書籍に、インドについての文献を加えて4冊で、朝鮮・台湾とインドの比較研究を加えて、目次は以下の通りとなる。

1 内務省『流行性感冒 「スペイン風邪」大流行の記録』(1922年)

2 速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ-人類とウイルスの第一次世界戦争』

3 クロスビー『史上最悪のインフルエンザ-忘れられたパンデミック』

4 インドについて:脇村孝平『飢饉・疫病・植民地統治-開発の中の英領インド』

5 スペイン・インフルエンザ:朝鮮・台湾とインド

なお、本書評論文は、すでに私のブログで公表済みのものをまとめたものである。

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論文「米日での投資信託とETF、2020年(2)日本を中心として(US and Japanese Mutual Funds and ETFs in 2020: (2) On the Trends in Japan)本ページ最下段に掲載しました。(2020年4月2日、Ver. 2: 2020年4月9日)

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私の論文「米日での投資信託とETF、最新動向 (1)アメリカを中心として」(2020年3月)は、投資信託とETFが最も発展しているアメリカの最新の動向について検討してきた。同論文では、一部で日本との比較も試みてきたが、本論文で改めて日本について詳しく検討したい。

同論文の「おわりに」でも指摘しているように、我が国ではいわゆる老後2000万円問題が大きな議論となったが、この問題を解決するには、幅広い国民において「長期・積立・分散投資」を進めることが求められており、そのために最も期待される金融商品が投資信託やETFである。

1は投資信託を、2はETFを取り上げる。どちらの場合も日本固有の特徴とその問題点の解明に努めたい。

(追記)Ver. 2では、注3を補いました。本文に修正は含まれていません。

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