このページでは、2017年度(2017.4-2018.3) に作成した論文を以下に掲載します。
現在、新しいGoogle Siteに変換中です。(2021.5.1)
お詫び:新しいGoogle Siteへの移行の過程で、各ページの論文へのリンクが解除されていました。少しずつ再設定を行っていますのでご了承ください。(2021.6.2)
まず、一覧です。【論文】をクリックするとファイルが開きます。
37. 2018.3.5. 機関投資家としての大学:大学の金融投資日米比較 【論文】
36. 2018.2.11. 書評「フーバー大統領回顧録『裏切られた自由』を読む:日本にかんする叙述を中心にして 【論文】
35. 2018.1.18. 米欧日の財団、財務情報の比較 【論文】
34. 2017.12.22. 躍進するインド企業、その背景と可能性 【論文】
33. 2017.11.16. 世界の半導体産業における日本企業の後退と復活 【論文】
32. 2017.10.16. 最新のグローバル企業調査と欧日企業比較 【論文】
31. 2017.9.25. 戦前・戦後の日本企業の経営指標比較 【論文】
30. 2017.9.9. 2017年株主総会に向けた機関投資家の議決権行使と日本企業 【論文】
29. 2017.7.29. 台湾企業躍進の最新動向 【論文】
28. 2017.7.9. アジア企業の最新ランキングとインド企業の躍進 【論文】
27. 2017.6.19. 『日経ヴェリタス』日本企業2016年末ランキング―FT 2015, 2005との比較― 【論文】
26. 2017.6.5. 『日経ヴェリタス』グローバル企業2016年末ランキング―FT 2015との比較― 【論文】
25. 2017.5.15. 日本の対満洲投資と満洲でのCollaboration 【論文】
24. 2017.4.27. 戦間期朝鮮企業論 - 日朝企業間のCollaboration 【論文】
23. 2017.4.8. 戦間期日本の海外直接投資 概論 【論文】
以下では、論文毎に詳しい説明があります。
論文「機関投資家としての大学:大学の金融投資日米比較 (Universities as Institutional Investors: Universities’ Investment in the U.S. and Japan)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.3.5)
キーワード (Key Words):大学Endowment(財団、基金)、学校法人(Educational Foundation)、Absolute Return(絶対収益)、ヘッジファンド(Hedge Fund)
2018年2月の株式市場の大幅な下落は、世界の順調な景気を背景にゆっくりと回復しつつあるようにみえる。世界の株式市場の発展と回復は、今回もやはりアメリカ市場が最も重要な役割を担っている。アメリカ市場が重要な役割を果たし続けるのは、現在の技術革新をけん引する企業の多くがアメリカ企業であり、金融機関が投資家を市場に引きつける商品開発を続けているだけではなく、有力な機関投資家と幅広い個人投資家の存在があるからである。
アメリカの機関投資家としては年金基金が大きな役割を果たしているが、年金基金よりも運用資金規模が小さいものの金融市場でアクティブに活動する投資家として大学Endowment(財団、基金)がある。これに対して日本の大学(学校法人)の金融市場での役割はほとんど無いと言ってもいい。日本では、かなりの数の大学の有価証券投資の失敗もあって、有価証券投資の拡大には強い抵抗が残っている。
本論文は、日米両国の大学による有価証券を中心とする幅広い投資での顕著な相違を具体的に明らかにしたい。日本の大学の幅広い投資の立ち後れは、日本の研究基盤を脆弱にし、その国際的な地位の低下をもたらしている、ひとつの重要な要因である。そればかりか、金融市場の安定的な発展をも妨げる条件ともなっている。
書評「フーバー大統領回顧録『裏切られた自由』を読む:日本にかんする叙述を中心にして(Book Review: Hoovers’ FREEDOM BETRAYED, Focusing on Chapters Related with Japan)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.2.11)
本書評は、ハーバート・フーバー著、ジョージ・H・ナッシュ編、渡辺惣樹訳『裏切られた自由 フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症』(草思社、2017年)(Herbert Hoover, FREEDOM BETRAYED Herbert Hoover's Secret History of the Second World War and Its Aftermath, edited by George H. Nash, Hoover Press, 2011)の、主に日本にかんする箇所についての詳しい紹介と書評である。
フーバーの略歴は、日本語版に示されている通りである。「1874年アイオワ生まれ。スタンフォード大学卒業後、鉱山事業で成功をおさめ、ハーディング大統領、クーリッジ大統領の下で商務長官を歴任、1929年~1933年米国大統領(第31代)。人道主義者として知られ、母校スタンフォードにフーパー研究所を創設。1964年死去。」
フーバーは、日本では大恐慌時に対応出来なかった大統領として、ニューディール政策でアメリカ経済を復活させたとされるルーズベルト大統領と対照的に紹介されることが多かった。『裏切られた自由』の出版と日本語訳の刊行で、フーバーの基本的な思想とその今日的な意義、特に日本にとっての大きな意義を多くの人々が知ることができるだろう。
論文「米欧日の財団、財務情報の比較 (U.S., European and Japanese Foundations, Unique Features in Financial Information)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.1.18)
キーワード (Key Words):財団、Statements of Financial Position(Balance Sheet, 財団の貸借対照表)、Statements of Activities(Statement of Financial Activities, 財団の損益計算書)
私は2016年の前半に、財団に関する2つの論文を発表した。「日本の財団:戦前と戦後」(2016年1月8日)と、「米欧日の財団の比較と、日本の財団の可能性」(2016年3月24日)である。
前者では、「戦前における財団活動は非常に活発で、企業活動における市場中心型コーポレート・ガバナンスの発展と軌を一にしていた。財団活動は、海外に進出していた日本企業の企業家達も活発に取り組んでいた。」ことを具体的に明らかにした。
後者では、まず、現状では日本の財団の活動が、米欧に比べて遅れていることを明らかにしつつ、コーポレート・ガバナンス改革が進展するとともに、「再び過去の経験が大きな役割を果たすと思われる。現在の財団活動の発展の緩やかさは、メインバンク・システムという戦後の特殊な経済システムに基礎を置いた一時的な現象である。」という見通しを示した。
本論文では、再度米欧日の財団の比較を、それらの基本的な財務情報について詳しく検討し、改めて日本の財団活動の発展への可能性と課題を示したいと思う。
論文「躍進するインド企業、その背景と可能性(Rapidly Advancing Indian Companies, Its Background and Possibilities)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.12.22)
キーワード (Key Words):「日経経営指標総合指数」(the Nikkei Composite Management Index, NCMI)、Asia300、Tata Consultancy Services、Reliance Industries、Housing Development Finance
私の論文「アジア企業の最新ランキングとインド企業の躍進」では、日本経済新聞社による「Asia300」の327社を対象にした調査をもとに、アジア企業の最新動向を明らかにした。この調査での、「日経経営指標総合指数」(the Nikkei Composite Management Index, NCMI)にもとづく、アジア企業の最も重要な結果のひとつは、インド企業の躍進である。
本論文では、躍進するインド企業全体の特徴とともに、代表的なインド企業を個別に詳しく明らかにしたい。1では改めて現在のインド企業を概観する。この節については、上記論文と重複する箇所がある。2ではインド企業を代表する情報技術産業の主要企業を検討する。その他の産業の代表的な企業については3で焦点を合わせる。
インド企業の発展は、グローバル経済と緊密に結びついた、自由な市場を基盤にした活動と積極的な情報公開を土台にしている。インドの人口構成が著しく若いことも、企業活動を支える経済発展の背景にある。これらの特徴は、高齢化に向かいつつあり、ますます統制を強めている中国経済と企業活動とは著しく対照的である。インド企業と経済の発展は、自由なアジア経済を築くひとつの原動力となりつつある。
論文「世界の半導体産業における日本企業の後退と復活(Decline and Restoration of Japanese Companies in World Semiconductor Industry)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.11.16)
キーワード (Key Words):IoT(Internet of Things)、ファウンドリー(Foundry)、ファブレス(Fabless)、製造業大国(Great Manufacturing Country)、日本的経営(Japanese Management System)
最近の新聞報道によると、半導体大手のブロードコム(Broadcom)が同業クアルコム(Qualcomm)の買収を検討していることがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、今週末にも交渉入りする。Qualcommの時価総額は911億ドル(11月3日終値、約10兆3800億円)にのぼり、実現すれば半導体業界で最大規模の買収となる。
IoT(Internet of Things)は、さまざまな「もの」がインターネットに接続され、相互に情報をやりとりし制御することだが、今まさにそれが新たな社会のインフラストラクチャとなるIoT革命が進行中である。その過程で果たす半導体の役割は、ますます大きくなっている。そこでの企業間競争は激化しており、上記以外にも大規模なM&Aが次々と試みられている。
本論文は、1で世界の半導体産業の主要企業を概観し、2では半導体産業で独特な進化を遂げた製造のファウンドリーとデザインのファブレスに焦点を合わせ、3では新たに急成長が期待される車載半導体分野と、半導体製造装置の各企業を検討する。検討に当たっては、各企業の基本的な経営指標と、それぞれの分野での日本企業の位置に注目する。
ところで、日本の半導体産業は、1980年代には世界市場で重要な役割を果たしてきたが、今では後退が顕著になっている。しかし、日本では「製造業大国」のイメージが維持され、半導体産業での回復への楽観論がなおみられるが、上記各節での検討を通じて、現状の正確な把握とともに復活の可能性について考察してみたい。
論文「最新のグローバル企業調査と欧日企業比較(Latest Global Companies Survey and Comparison between European and Japanese Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.10.16)
キーワード (Key Words):4-traders.com、ROE(Return on Equity、株主(自己)資本利益率)、株主資本配当率(Dividend on Equity Ratio, DOE)、PER(P/E, P/e ratio, Price Earnings Ratio, 株価収益率)、Dividend yield(Annual div yield, 配当利回り)
2017年冒頭の『日経ヴェリタス』によるグローバル企業調査から9か月経った。この調査にもとづいて、私はグローバル企業と日本企業についての論文をまとめた。この9か月に、株式市場は、北朝鮮の度重なる核・ミサイル実験や、各国におけるポピュリズムのまん延などにもかかわらず、アメリカ経済を中心とする世界経済の成長はなお持続している。
日経ヴェリタスの調査では、ヨーロッパ企業についての調査がやや不十分だったので、本論文では、グローバル企業の最新動向を確認するととともに、特にヨーロッパ企業について、日米企業との比較もふまえて検討したい。
1では、2017年冒頭のグローバル企業の検討結果を改めてまとめる。2では、2017年9月末のグローバル企業について4-traders.comの調査でまとめ、特にヨーロッパ企業に注目し、米日企業と比較したい。3では、FT(Financial Times)によるヨーロッパ企業の経営指標を調査し、米日企業と比較してみたい。
論文「戦前・戦後の日本企業の経営指標比較 (Management Indexes Comparison of Japanese Companies in Pre-war and Post-war Periods)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.9.25)
キーワード (Key Words):ROE(Return on Equity、株主(自己)資本利益率)、株主資本配当率(Dividend on Equity Ratio, DOE)、PER(P/e ratio, Price Earnings Ratio, 株価収益率)、Dividend yield(配当利回り)
私はこれまで、戦前の日本企業の経営指標について、2つの論文「『本邦事業成績分析』にみる戦前日本企業」と、「『東京株式取引所統計年報』にみる戦前日本の株式市場」で明らかにしてきた。また、近年の日本企業の経営指標について、「日本の投資信託、リーマンショック以降の着実な発展」でまとめた。(以上3論文は、2016年度の論文のページに掲載)さらに、日米主要企業間の最新の経営指標について、「『日経ヴェリタス』日本企業2016年末ランキング―FT 2015, 2005との比較」(この論文は本ページ最下段参照)で比較した。
本論文は、これらの4つの論文での経営指標の検討結果を相互比較が可能になるようにまとめている。その結果、日本企業が近年のコーポレート・ガバナンス改革によって経営指標は着実に改善していること、しかしアメリカ企業との格差はなお大きく、格差を縮めるためには、戦前日本企業との比較を試みることが、重要な課題となっていることが明らかになった。
なお、以下では4つの原論文の検討を出来るだけ生かしつつ、追記する部分を明記して検討しているので、原論文もあわせて参照していただければ幸いです。
論文「2017年株主総会に向けた機関投資家の議決権行使と日本企業 (Voting Right Exercise by Institutional investors for 2017 General Meeting of Stockholders and Japanese Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.9.9)
キーワード (Key Words):機関投資家(Institutional investor)、議決権行使(Voting Right Exercise)、スチュワードシップ・コード(Stewardship Code)、指名委員会等設置会社(Company with Nominating Committee)、監査等委員会設置会社(Company with Audit and Supervisory Committee)
日本の機関投資家の日本企業のコーポレート・ガバナンス改革に果たす役割がますます強まっている。金融庁は、「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」で「「責任ある機関投資家」の諸原則」を発表し、機関投資家の役割に具体的な提言を行っている。
本論文では、1で『機関投資家の議決権行使方針及び結果の分析、平成29年版』に基づいて平成28年度株主総会にむけた機関投資家の主な動向をまとめてみる。2では機関投資家の議決権助言行使会社としてのISSとグラスルイスの、平成28年度株主総会に向けての助言のポイントを紹介したい。
3では、その結果として、日本企業時価総額上位50社の最近の経営指標とコーポレート・ガバナンス改革の現状をまとめてみた。
論文「台湾企業躍進の最新動向(Latest Developments of Taiwanese Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.7.29)
キーワード (Key Words):Asia300、ファウンドリー(Foundry)、ファブレス(Fabless)、EMS (Electronics Manufacturing Service, 電子機器受託生産サービス)、日台企業連携 (Business Alliances between Japanese and Taiwanese Companies)
先に掲載した私の論文「アジア企業の最新ランキングとインド企業の躍進」で、アジア企業の中でインド企業とともに注目したのが、台湾企業であった。台湾企業は、国別の「日経経営指標総合指数」で、アジア30企業とアジア100企業のいずれにおいても最も高い水準を達成していた。
本論文では、The Nikkei Asian Reviewが詳細な企業情報を掲載している台湾企業40社を取り上げ、そのいっそう詳しい姿を明らかにしてみたい。1では時価総額を基準に、Dividends per share、PER、ROE、Operating margin、Top share holderなどの指標と、産業別構成を検討する。2では、1で明らかにした現状と、私の著書Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition, Chapter 8 Business Alliances between Japanese and Taiwanese Companiesで取り上げた2010年の状態と比較してみる。3では、世界の半導体企業統計を用いて、情報技術産業の台湾企業の現在の位置を明らかにしてみたい。
論文「アジア企業の最新ランキングとインド企業の躍進(Latest Ranking of Asian Companies and Rapidly Advancing Indian Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.7.9)
キーワード (Key Words):Asia300、日経経営指標総合指数(the Nikkei Composite Management Index, NCMI)、株式時価総額(Market Capitalization)、財閥(Family Business)
私はこれまで、「『日経ヴェリタス』グローバル企業2016年末ランキング―FT 2015との比較―(Nikkei Veritas’ Global Companies 2016 Ranking)」と、「『『日経ヴェリタス』日本企業2016年末ランキング―FT 2015, 2005との比較―(Nikkei Veritas’ Japanese Companies 2016 Ranking)」で、『日経ヴェリタス』の最新の調査による、2016年末のグローバル企業と日本企業についてまとめた。
この調査には当然アジア企業も含まれるが、本論文では、日本経済新聞とThe Nikkei Asian Reviewが2017年6月に発表したさらに新しい調査に基づいて、アジア企業の最新の動向をまとめた。調査は、日本経済新聞社が選ぶアジアの主要上場企業「Asia300」の2016年度の経営指標から実力企業をランキングしている。
本論文では、1でアジア企業100社とその上位30社について検討する。2では、その調査で最も躍進し注目されたインド企業を取り上げ、インド企業44社とその上位20社について明らかにしたい。
論文「『日経ヴェリタス』日本企業2016年末ランキング―FT 2015, 2005との比較― (Nikkei Veritas’ Japanese Companies 2016 Ranking)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.6.19)
キーワード (Key Words):日経ヴェリタス(Nikkei Veritas)、P/e ratio (Price Earnings Ratio, PER, 株価収益率)、Dividend yield(配当利回り)、ROE(Return on Equity、自己資本利益率)、株主資本配当率(Dividend on Equity Ratio, DOE)
先に掲載した論文「『日経ヴェリタス』グローバル企業2016年末ランキング―FT 2015との比較―」では、『日経ヴェリタス』2017年1月8日号の調査に基づき、FT(Financial Times) 2015との比較もふまえて、グローバル企業の現状についてまとめた。
本論文では、同じ調査をもとに同じ視点で日本企業について検討したい。日本企業については、「上位1000社に入った日本企業」について独自の集計がある。グローバル企業全体の中での日本企業の位置についてはすでに検討した。そこで明らかになったのは、この期間での、アメリカ企業に比較して日本企業の変化の小ささである。そのことが、日本企業のグローバル企業上位100社での地位の低下をもたらしている。「上位1000社に入った日本企業」では、同じ事実が確認できるかどうか改めて検討する。
本論文では、いくつか新たな検討を追加した。第1に、日本企業とグローバル企業の両方を、さらにさかのぼってFT 2005の調査と比較する。第2に、日本企業とアメリカ企業の最新の経営指標についてROE、DOEを含めて比較してみたい。
論文「『日経ヴェリタス』グローバル企業2016年末ランキング―FT 2015との比較― (Nikkei Veritas’ Global Companies 2016 Ranking)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.6.5)
キーワード (Key Words):日経ヴェリタス(Nikkei Veritas)、FT(Financial Times) 2015、株式時価総額(Market Capitalization)、P/e ratio (Price Earnings Ratio, PER, 株価収益率)、Dividend yield(配当利回り)
『日経ヴェリタス』2017年1月8日号で、『日経ヴェリタス』編集部は世界の市場データを扱うQUICK・ファクトセットのデータを用い、世界の時価総額の上位1000社を米ドルベースでランキングした。本論文は、このランキングを用い、グローバル企業の現状について明らかにしたい。特に、このランキングを用いるのに当たって、FT(Financial Times) 2015との比較を行い、グローバル企業の変化に注目したい。
このランキングは非常に有益ではあるが、これまで継続的に発表され、私もしばしば利用したFTの調査に比べるとかなり見劣りする。まず、1000社全体の情報が無いことである。次に、掲載されている企業についても、経営指標に関するデータが無いことである。しかし、現時点ではこれ以上のまとまったデータが無いので、とりあえずこれを用いたい。
なお、日本企業について詳しくは、次の論文で改めて検討したい。
論文「日本の対満洲投資と満洲でのCollaboration (Japanese Investment and Collaboration in Manchuria)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.5.15)
キーワード (Key Words):満洲企業(Manchurian Companies)、直接投資(Foreign Direct Investment, FDI)、鮎川義介(Yoshisuke Aikawa)、Collaboration、市場中心型コーポレート・ガバナンス(Market-centered Corporate Governance)
この論文は、”Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition”のChapter 5 Japanese Investment and Collaboration in Manchuriaの要約である。この著作の日本語版論文は刊行していないので、本論文が日本語でのはじめての詳しい紹介になる。
本論文は、『大陸会社便覧』や各社の営業報告書を用いて、満洲企業の全体像を検討する。これまでは、満洲企業と言えば、南満洲鉄道(満鉄)、満洲重工業(満業)、満洲国系企業が分析の中心であった。本論文は、十分に注目されてこなかった、それ以外の満洲企業やそこでの満洲人企業家 の活躍を幅広く明らかにする。
1では、日満の経済関係を、満洲の対日国際収支と日本の対満投資からとらえる。この箇所はすでに「戦間期日本の海外直接投資 概論」で論じているので省略する。2では、南満洲鉄道や満洲重工業とその関係会社、満洲中央銀行と満洲興業銀行などを含む、満洲企業全体を詳しく検討する。最後の3では、満洲人が経営で重要な役割を担っている企業群を取り上げ、日本企業と満洲人とのCollaborationについて明らかにしたい。
論文「戦間期朝鮮企業論 – 日朝企業間のCollaboration (Korean Companies in the Inter-war Period: Collaboration between Japanese and Korean Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.4.27)
キーワード (Key Words):朝鮮人系企業(Korean managed company)、Collaboration and Alliance、京城紡織(Kyungbang)、民族資本(National capital)、直接投資(Foreign Direct Investment, FDI)
この論文は、”Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition”のChapter 4 Collaboration between Japanese and Korean Companies in the Inter-war Periodの要約である。この著作の日本語版論文は刊行していないので、本論文が日本語でのはじめての詳しい紹介になる。
本論文に直接関係のある文献としては、まず朝鮮、満洲(中国東北部)、中国を対象とする、『大陸会社便覧』(東洋経済新報社刊)が挙げられる。また、2012年1月には企業史料統合データベースが創設され、多数の営業報告書を容易にみることができるようになった。これらの資料から、代表的な日本企業の活動や、その海外進出、また受入国企業についても検討できる。
本論文は、1.1は、これらの資料にもとづいて、新保博彦(2009)で検討した戦間期朝鮮における日本の海外投資の特徴を概観する。そして、すべての朝鮮企業と朝鮮における代表的な日本企業について検討する。1.2では、朝鮮人系企業(Korean managed company)と朝鮮人企業家の活動、日本企業と朝鮮人系企業のCollaboration、経営者や株主としての日本人と朝鮮人とのCollaborationに焦点をあわせる。1.3は、最大のよく知られている朝鮮人系企業の京城紡織を詳しく検討する。この節では、各企業の営業報告書などの財務情報などを活用する、企業論的アプローチを用いる。戦間期朝鮮の経済について、企業活動のデータから検討された文献は意外に少ない。
ところで、韓国では、以前にも増して民族主義的な歴史研究が活発である。こうした条件の下では、日韓両国で、基本的な経済と企業のデータを基礎にした研究とその交流がますます必要とされている。本論文は、そのための研究の進展に少しでも貢献することをめざしている。
論文「戦間期日本の海外直接投資 概論 (Japanese Foreign Direct Investment in the Inter-war Period)」を本ページ最下段に掲載しました。(2017.4.8)
キーワード (Key Words):海外直接投資 (Foreign Direct Investment (FDI))、経営資源の移転 (Transfer of Business Resources)、国際収支 (International Balance of Payments)、在外日本企業 (Overseas Japanese Companies)、日本型海外投資 (Japanese Style Foreign Investment)
本論文から4回にわたって、戦間期日本の海外投資、特に直接投資についてまとめて検討したい。まず、本論文は概論とし、朝鮮、満洲、中国を順次取り上げる。国・地域別の検討は、Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition (Shimpo(2015))の各章の要約ともなっている。この英文著作に対応する日本語論文は作成していないので、本論文を参考に読んでいただければ幸いです。
戦間期の直接投資の研究は、世界でも日本でもまだ十分に進んでいるとは言えない。戦間期になってようやく直接投資が海外投資の主流になりつつあったことが背景にある。直接投資の概念も一般的ではなく、また現在ほど厳密ではなかったため、直接投資のデータの収集は困難を伴う。
また、受入国への経営資源の移転と経済発展の原動力としての直接投資の役割も十分には理解されていなかった。今でも、海外投資、資本輸出が受入国からの資源や資金の搾取だと理解する「帝国主義」的理解が、影響力を少なからず保っている。特に、我が国の周辺では、戦後70年も経っているにも関わらず、現在の自国政権の維持・延命を図るため、「日本帝国主義」の批判が行われ、戦間期の海外投資の具体的で詳細な研究が遅れている。
こうした条件の下では、戦間期日本の直接投資の研究は、非常に重要な歴史的な課題であり、私の研究は、そのためのひとつの試みである。
・New ! Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition が、ようやくAmazon.comで刊行されました。 (Paperback, October 2, 2015)(2015.10.5)目次は以下の通りである。
Part 1 Prewar Global Economic System and Economic Interdependence between Japan and China
Part 2 Japanese Companies and Collaboration in East Asia in the Inter-war Period
Part 3 Current Economic and Business Competition and Alliance among Japan, China, Taiwan and ASEAN
さらに詳しくは研究業績のページへ
・新保博彦 (Hirohiko SHIMPO) のNew Websiteを作成、公開しました。(2015.4.1)
・「新保博彦のブログ」とともにご参照ください。