このページは、2018年度(2018.4-2019.3) に作成した論文を掲載しています。
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(並河靖之、桜蝶文皿)
以下は、2018年度論文一覧です。【論文】をクリックするとファイルが開きます。
56. 2019.3.31. アメリカの最新宗教地図 【論文】
55. 2019.3.7. 中国のIT, AI企業を急成長させた政府系投資基金(最新中国企業分析(6)) 【論文】
54. 2019.2.16. 中国IT, AI企業の急発展と「超管理社会」(最新中国企業分析(5)) 【論文】
53. 2019.1.21. 強力な政府支援で急成長する中国半導体企業5社:先行するSMIC、Huahong Group、急追するYMTC、INNOTRON、JHICC(最新中国企業分析(4)) 【論文】
52. 2019.1.7. Hikvision、DahuaとHytera:Huawei、ZTEとともに米による調達禁止の3社(最新中国企業分析(3)) 【論文】
51. 2018.12.19. ヘッジファンド、その歴史と現状 【論文】
50. 2018.11.27. 日米株式市場を支える主体と株主還元 【論文】
49. 2018.11.5. 書評「『実践 金融データサイエンス 隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ』を読む」 【論文】
48. 2018.10.15. 復活する日本型資本主義論への批判:寺西重郎『日本型資本主義』を例として 【論文】
47. 2018.10.2. ZTEとHUAWEIの事業活動とその脅威(最新中国企業分析(2)) 【論文】
46. 2018.9.20. 『法人企業統計年報特集』でみたROEと内部留保、配当:戦前との比較 【論文】
45. 2018.8.20. 『日経 ASIA300実力企業ランキング、2017年度 【論文】
44. 2018.7.31. 『中国株二季報』でみる中国企業50社(最新中国企業分析(1)) 【論文】
43. 2018.7.7. 『米国会社四季報』でみるアメリカ企業100社 【論文】
42. 2018.6.20. 書評「木村光彦『日本統治下の朝鮮』を読む」 【論文】
41. 2018.6.13. グローバル医薬品企業とバイオベンチャー 【論文】
40. 2018.5.16 1990年からのM&Aの3つの波と現在 【論文】
39. 2018.4.20 世界の主要年金基金による投資の最新動向 【論文】
38. 2018.4.2 戦間期の慶應と早稲田の財務状況 【論文】
以下では、論文毎に詳しい説明があります。
2018年度最後の論文「アメリカの最新宗教地図(U.S. Latest Religious Landscape)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.3.31)
キーワード (Key Words):The 2010 U.S. Religion Census、Pew Research Center (PRC)、Public Religion Research Institute (PRRI)、福音派、Unaffiliated(特定の宗教に属さない)
トランプ大統領の予想外の当選と、その後の強硬な対外・国内政治を理解するためには、何よりもアメリカにおける宗教と政治の関係についても十分に理解しておかなければならない。アメリカのマスコミと専門家の多くがトランプ大統領の当選を見通せなかったが、多くの日本のマスコミと専門家も同様であった。日本について言えば、日本のアメリカ研究が、アメリカの宗教と政治の関係について十分な関心を持たず、具体的な調査をあまり重視してこなかったことが、その理由のひとつではないかと思われる。
本論文は、アメリカにおける宗教の現状と政治との関係について、できるだけ具体的な調査を紹介し、それらが意味する内容をまとめていきたい。1で取り上げるのは、最も基礎となる調査のThe 2010 U.S. Religion Censusである。2では、Pew Research CenterのAmerica’s Changing Religious Landscape、3では、Public Religion Research Institute (PRRI)のAMERICA’S CHANGING RELIGIOUS IDENTITYを検討する。どれもが重要な内容で、相互に補い合う役割を果たしている。最後の4では、アメリカの宗教と政治に関して論じている日本のいくつかの代表的な見解を紹介したい。
これらを通じて得たアメリカの実態と、これまでの論文を通じて得た中国の実情から、今日の米中対立の深層が、より正確に見えてくるように思われる。
論文(最新中国企業分析(6))「中国のIT, AI企業を急成長させた政府系投資基金(Chinese Government Investment Fund Leading IT, AI Companies)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.3.7)
キーワード (Key Words):政府系投資基金、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル
2010年代は中国においてIT産業の急速な発展がもたらされた時期である。これまでの論文で検討した通り、この時期に世界的な競争力を持つ通信機器や半導体製造企業が成長してきた。この発展を支えたのは、政府系の投資基金や、すでにその地位を確立した代表的なIT企業群であった。これらを通じて、短期間のうちに大規模な投資が行われた。
本論文は中国の政府系投資基金などによる投資がどのように行われたかを明らかにしたい。1で取り上げるChina Money Networkが指摘しているように、大部分の投資基金が今まさに登場しているところなので、投資の全貌が明らかではなく、公的に利用できる情報が不完全でしばしば曖昧である。また、その主な担い手が政府機関であるという事情も、情報が不十分である原因ともなっている。こうした難しい条件があるが、本論文はいくつかの重要な調査を手がかりに可能な限り政府系投資基金などによる投資の実態に迫ってみたい。
論文(最新中国企業分析(5))「中国IT, AI企業の急発展と「超管理社会」 (Rapid Development of Chinese IT, AI Companies and “Fully Controlled Society”)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.2.16)
キーワード (Key Words):サイバーセキュリティー法(インターネット安全法)、5大プラットフォーマー、AI、ベンチャー・キャピタル、超管理社会
私はこれまで「『中国株二季報』でみる中国企業50社」、「ZTEとHUAWEIの事業活動とその脅威」、「Hikvision、DahuaとHytera:Huawei、ZTEとともに米による調達禁止の3社」、「強力な政府支援で急成長する中国半導体企業5社:先行するSMIC、Huahong Group、急追するYMTC、INNOTRON、JHICC」という一連の論文で、中国を代表する企業群を検討してきた。
本論文は以上の論文を引き継いで、習近平指導部が国家プロジェクト「AI発展計画」で2017~18年に指名した5大プラットフォーマーである、Alibaba、Tencent、Baidu、IFlytekの4社と、後に加えられたSenseTimeを中心に検討する。これらの企業は政府の全面的な支援を受けつつ、「超管理社会」化に向けて重要な役割を果たしている。
1では中国の三大IT企業と、IFlytekについて、2では中国の代表的なAI企業のうち、顔認識分野企業であるSenseTime、Megvii、CloudWalk、Yituを取り上げる。最後の3では、これらの企業を資金的に支える有力なベンチャー・キャピタルを検討する。
論文(最新中国企業分析(4))「強力な政府支援で急成長する中国半導体企業5社:先行するSMIC、Huahong Group、急追するYMTC、INNOTRON、JHICC」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.1.21)
キーワード (Key Words):ファウンドリー、SMIC、Huahong Group、YMTC、INNOTRON、JHICC
私はこれまで、論文「ZTEとHUAWEIの事業活動とその脅威」と「Hikvision、DahuaとHytera:Huawei、ZTEとともに米による調達禁止の3社」で、アメリカの国防権限法による制裁の対象となった5社について、その活動の実態を明らかにしようとしてきた。アメリカはさらに制裁の対象を、今本格的な活動を始めようとしている中国の半導体企業に拡大しようとしている。
半導体産業では、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT、人工知能 (AI)、5Gの普及と自動運転などでの技術革新が、当面の発展の大きな原動力となっている。このような背景のもとで、中国は半導体の国産化、さらには世界市場での覇権の獲得をめざして、大規模な国家的なプロジェクトを立ち上げている。
本論文は中国半導体企業の活動の実態について迫ってみたい。1では、世界の半導体産業全般とファウンドリーの現状を概観する。中国半導体企業は、世界のファウンドリー市場でしだいに基盤を拡大している。2では、ファウンドリー市場で注目されている、中国の代表的な半導体製造企業であるSMICとHuahong Groupについて明らかにする。3では、中国政府のいちだんと強力な支援の元で、新たな半導体企業の創設が相次いでいるが、その代表的な企業3社、YMTC、INNOTRON、JHICCについて検討する。
本論文を含む以下の中国企業関連の4つの論文を統合した「Alibaba、HuaweiからJHICCまで:中国企業の最新動向」を掲載しました。論文はここをクリックしてください
論文(最新中国企業分析(3))「Hikvision、DahuaとHytera:Huawei、ZTEとともに米による調達禁止の3社 (Hikvision, Dahua and Hytera: Three Companies under US Prohibition as with Huawei and ZTE)」を本ページ最下段に掲載しました。(2019.1.7)
キーワード (Key Words):国防権限法、国家情報法、Hikvision(海康威视)、Dahua(大华股份)、Hytera(海能达通)、コーポレート・ガバナンス
私は論文「ZTEとHUAWEIの事業活動とその脅威」(2018年10月)で、アメリカの国防権限法で調達禁止となったZTEとHuaweiの企業活動の実態と、その活動の問題点について論じた。本論文は、その国防権限法で両社とともに取り上げられた、Hikvision(海康威视)、Dahua(大华股份)、Hytera(海能达通)の中国企業3社について検討する。
1では、アメリカの国防権限法とともに、それが登場するにいたった背景にある中国の国家情報法の核心についてまとめておきたい。2はHuawei・ZTEに次ぐ3社、Hikvision、Dahua、Hyteraの活動の特徴を、相互に具体的に比較しながら明らかにする。
ところで、アメリカの国防権限法と中国の国家情報法は真っ向から対立する内容で、短期間の交渉で調整できるような性格ではない。3では、米中企業間あるいは各国間企業間で何が最も重要な問題か、解決の突破口は何かコーポレート・ガバナンスの観点から論じたい。
また、本論文を含む最新の中国企業関連の4つの論文を統合した「Alibaba、HuaweiからJHICCまで:中国企業の最新動向」を掲載しました。論文はここをクリックしてください
論文「ヘッジファンド、その歴史と現状(Hedge Fund, History and Current Stage)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.12.19)
キーワード (Key Words):ヘッジファンド(Hedge fund)、オルタナティブ投資(Alternative investment)、Hedge Fund Research, Inc.、Eurekahedge Pte Ltd.、政府系ファンド(Sovereign wealth fund)
2018年の金融・株式市場は乱高下を繰り返している。その過程で、乱高下の重要なプレイヤーとしてヘッジファンドがしばしば取り上げられている。ヘッジファンドはすでに金融市場で確固とした地位を確立しているが、最近収益が悪化しており、その対応としての動きが特に活発になっているようである。
ヘッジファンドについては、情報の公開が限定的で、その活動が正確には知られていない。本論文では、限られた情報をもとに、その活動について概観したい。1では、HFRXとEurekaの情報によって、そのリターンの変遷を見ていきたい。あわせて伝統的資産の代表であるS&P 500のリターンと比較する。2は、ヘッジファンドの資産の変遷を概観する。3では、HFRXのデータに基づいて、ヘッジファンドのさまざまな戦略によるリターンの違いを明らかにする。4は、AQR Capital Managementをはじめとする代表的なヘッジファンドを一覧にする。最後に5では、ヘッジファンドへの投資を拡大している機関投資家についてまとめる。
論文「日米株式市場を支える主体と株主還元(Current Trends in US and Japanese Equities Trading by Type of Investors and Total Return Ratio)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.11.27)
キーワード (Key Words):投資部門別株式売買状況 (Trading by Type of Investors)、ヘッジファンド (Hedge Fund)、Financial Accounts of the United States、総還元性向 (Total Return Ratio)、自社株買い (Share Buybacks)
2018年の株式市場は、激しい動揺を繰り返している。米中の貿易戦争が改善の糸口が見えず、その悪影響が少しずつ表れつつあること、その影響も含め、長く続いてきた好調な世界経済に、一部では停滞の兆しも出ていることなどが背景にあると言えるだろう。 以上のような市場の現状をより具体的に理解するために、日本とアメリカのリーマンショック以降の株式市場の変化を概観しておきたい。
1では、日本の投資部門別株式売買状況について、東京証券取引所のデータを用いて検討する。2では、アメリカFRBのFinancial Accounts of the United Statesによって、株式の発行、買い入れの部門データを検討してみる。どちらの場合も、日米の株式市場を支えている主体は何か、さらに日米両国企業の株主還元への姿勢の違いなどについて明らかにしてみたい。
書評「『実践 金融データサイエンス 隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ』を読む」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.11.5)
キーワード (Key Words):AI(人工知能、Artificial Intelligence)、ディープラーニング(深層学習、Deep learning)、テキストマイニング(Text mining)、アルゴリズム(Algorithm)
三菱UFJトラスト投資工学研究所編『実践 金融データサイエンス 隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ』が刊行された。本書は、金融データを理解するための、AI、ディープラーニングなどの最新の方法による分析を、難解な理論・モデルの専門的な説明を避けつつ、豊富な具体的な事例にもとづいてわかりやすく説明している。その特徴が、幅広い読者を対象にした貴重な試みとなっている。私のこの書評では、「隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ」(副題)となる、その最も重要な章を章順に簡潔に紹介しつつ、今後の課題について私の考えをまとめてみた。
論⽂「復活する⽇本型資本主義論への批判:寺⻄重郎『⽇本型資本主義』を例として (A Criticism of Reviving Japanese Model of Capitalism Theory)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.10.15)
キーワード (Key Words):⽇本型資本主義 (Japanese Model of Capitalism)、関係依存的な経済⾏動 (Relationship-dependent Economic Activities) 、市場中⼼型経済システム (Market-centered Economic System)、銀⾏中⼼型経済システム (Bank-centered Economic System) 、海外直接投資 (Foreign Direct Investment)
⻑く⽇本の⾦融システムを研究され、『戦前期⽇本の⾦融システム』や『⽇本の経済システム』などの優れた研究を発表されてきた、寺⻄重郎⽒が新たに『⽇本型資本主義』を著された。寺⻄⽒は、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』にならって、⽇本型資本主義の源泉が、⽇本の鎌倉時代の新仏教の精神に基礎を置いていると主張されている。
戦前⽇本の⾦融システムの研究にあたって寺⻄⽒の研究に関⼼を寄せ、関連する著作を読んできた私には、その主張の基礎が実はこの点にもにあったのかと納得する反⾯、何度も登場しては消えていく「⽇本型」資本主義論、企業論などの再度の登場には強い違和感を持たざるをえない。
本論⽂の1では、寺⻄⽒の『⽇本型資本主義』論を整理してみる。2では改めて、寺⻄⽒の戦前の⾦融システム論の最も基本的な論点を整理し、『⽇本型資本主義』論との関連を検討する。3と4で、私のこれまでの研究から、⽇本の資本主義が、『⽇本型資本主義』論とは異なって、英⽶と同様の市場中⼼型経済システム、典型的な資本主義であったことを明らかにしたい。3では、戦前特に戦間期の経済の基本的な構造について、4では、戦前特に戦間期の海外直接投資について検討することで、その理解がいっそう明確になることを説明する。
論文(最新中国企業分析(2))「ZTEとHUAWEIの事業活動とその脅威 (ZTE and Huawei, Their Business and Threat)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.10.2)
キーワード (Key Words):ZTE (ZTE Corporation)、Huawei ((Huawei Technologies)、5G(第5世代移動通信システム、Fifth Generation Mobile Communication System)、国家資本主義 (State Capitalism)、帝国主義 (Imperialism)
アメリカのトランプ大統領が主導する貿易戦争は、中国との間で激しさを増している。この戦争は、一面ではアメリカによる一国主義とグローバリズムの対立であるが、他面ではアメリカと中国の覇権争いのようにみえる。後者についてもう少し厳密に説明すると、グローバルな企業間競争に、中国政府とその強い影響下にある企業が、国内では自国の市場を閉鎖しながら、先進各国の市場に急速に浸透していることによる、中国政府・企業と先進各国政府・企業との対立である。対立は特に第5世代移動通信システムをはじめとする最先端産業で激しさを増している。その最も象徴的な事件として、豪米による、中国のZTE、Huaweiの活動の禁止と制限がある。
本論文では、中国を代表するZTEとHuaweiがどのような企業か、2社をめぐる動きは今日の世界で何を意味しているかについて検討する。1では、ZTEとHuaweiをめぐる最近の動きを紹介する。2はZTEとHuaweiの企業構造を明らかにする。その他の中国を代表する企業群との比較も試みながら、2社の実像について迫ってみたい。最後に、米豪に比較して対応が遅れている日本の動きを3でみる。
また、本論文を含む最新の中国企業関連の4つの論文を統合した「Alibaba、HuaweiからJHICCまで:中国企業の最新動向」を掲載しました。論文はここをクリックしてください
論文「『法人企業統計年報特集』でみたROEと内部留保、配当:戦前との比較(ROE, Internal Reserves, Dividend in “Financial Statements Statistics of Corporations”: Comparison with Pre-war Period)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.9.20)
キーワード (Key Words):ROE (Return On Equity、株主資本利益率)、内部留保 (Internal Reserves)、配当 (Dividend)、市場中心型コーポレート・ガバナンス (Market-centered Corporate Governance)
近年、『別冊商事法務』で、日本企業のROEと内部留保、配当などについてのまとまった調査が次々と発表されている。それらは改めて日本企業が抱える基本的な課題について、具体的に明らかにしている。ただ残念ながら、それらの調査で用いられているデータは、一般には利用しやすくない。そこで、しばしば用いられている『法人企業統計年報特集』の最近の各年版を用い、同じ調査を実施し、その結果を比較しつつ、問題点を整理してみたい。1ではROE、2では内部留保と配当について検討する。
また、その結果を各国間で比較することや、我が国での歴史的な比較を行うことが求められるが、本論文3では、私のこれまでの研究を踏まえ、戦前日本との比較に改めて取り組みたい。私がこれまで明らかにしてきたように、戦前との比較で、戦後の日本企業の抱えている課題がいっそう鮮明になると思われる。
論文「『日経 ASIA300実力企業ランキング、2017年度 (The top 100 Asia300 Power Performers, 2017)」 を本ページ最下段に掲載しました。(2018.8.20)
キーワード (Key Words):Asia300実力企業ランキング (The top 100 Asia300 Power Performers)、Asia300、米中貿易戦争 (US-China trade war)
日本経済新聞社は、2018年7月に2017年度のAsia300実力企業ランキングを発表した。 同日のNikkei Asian Reviewが、十分なデータとは言えないが、その内容をやや詳しく明らかにしている。
本論文では、以下の順序でその内容を検討し、前年度のデータと比較する。 本論文の1は、上記のランキングの公表された内容に基づいて上位100社を検討する。2は、それぞれの企業の特色をより鮮明にするために、Nikkei Asian Reviewの個別企業のデータを補って、上位30社の諸特徴を明らかにする。3では、改めて上位100社の国別・産業別の特徴を示してみたい。
アジアの企業はグローバル経済との強い結びつきによって、急速な成長を達成してきた。しかし、米中貿易戦争をひとつの契機にして、その急成長に陰りが見えてきている。再び成長へ向かうためには、この調査で取り上げたような企業群の活躍が欠かせない。
(追記:表3に記載漏れがありました。掲載企業の株式時価総額の算出日は、8月10日です。)
論文(最新中国企業分析(1))「『中国株二季報』でみる中国企業50社 (50 Chinese Companies in “Chinese Stock Handbook”)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.7.31)
キーワード (Key Words):IT・ソフトウエア産業 (IT and Software Industry)、個人情報 (Personal Information)、貿易戦争 (Trade War)、国有企業 (State-owned Enterprises)
先の論文「『米国会社四季報』でみるアメリカ企業100社」において、私は最新のアメリカ企業の動向について検討した。本論文ではもうひとつの大国、中国の代表的な企業50社について、『中国株二季報 2018年夏秋号』(DZHフィナンシャルリサーチ編)によって明らかにしてみたい。『中国株二季報』は2001年に創刊され、今では中国企業に投資する必須の文献のひとつとなっている。最近激しさを増している、トランプ政権の対中貿易戦争を理解するためには、両国の経済を担っている代表的な企業の動向を捉えることが不可欠である。
1では、最近の株式時価総額順にみた、中国企業上位50社の基本的な特徴を明らかにする。50社には、阿里巴巴集団控股有限公司などのNYSEやNASDAQに上場している企業を含めている。2では、その50社の産業構成をみる。3では、中国企業上位50社の基本的な財務情報を検討する。なお、2010年代の変化については、次の機会に別の論文で、Shimpo (2015)での私の調査結果と比較してみたい。
また、本論文を含む最新の中国企業関連の4つの論文を統合した「Alibaba、HuaweiからJHICCまで:中国企業の最新動向」を掲載しました。論文はここをクリックしてください
論文「『米国会社四季報』でみるアメリカ企業100社 (100 U.S. Companies in “U.S. Company Handbook”)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.7.7)
キーワード (Key Words):PER(Price Earnings Ratio, 株価収益率)、希薄化後1株益(Diluted EPS)、フリー・キャッシュ・フロー(Free Cash Flow, Free CF)、ROE(Return On Equity、自己資本利益率)、ETF(Exchange Traded Funds)
『米国会社四季報』が東洋経済新報社によって2014年に刊行が開始されて、今年は5年目になる。アメリカにおける情報技術の革新が急速に進み、その恩恵が我が国にも幅広く浸透し、アメリカ企業への関心が強まっている。また、アメリカ企業などへの直接に投資ができる証券会社も増え、有力な投資先としての意義と魅力も増してきている。
『米国会社四季報 2018春夏号』は、「注目企業」101社と「有力・成長企業」538社を掲載しているが、本論文では、そのうち時価総額順に100社を選び、主要な情報を整理し、その特徴を明らかにした。
1では時価総額順上位100社の基本情報を、2ではその産業構成を、3では100社の財務情報を取り上げた。最後の4では、『米国会社四季報』でも掲載されたETFについても検討した。
書評「木村光彦『日本統治下の朝鮮』を読む」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.6.20)
キーワード (Key Words):実証主義に徹した朝鮮論、日本窒素、日本の朝鮮統治と欧米の植民地統治、朝鮮人企業家
木村氏の著作のねらいは、「まえがき」の次の一節に簡潔明瞭に要約されている。「本書ではそのような[共産主義思想]イデオロギーを排し、実証主義に徹した朝鮮論を提示したい。論点は経済にしぼる。幸い、近年、この分野の研究は長足の進歩をとげ、かつての見解を一変させる議論も登場している。それは、統計データの整備・分析の進展によるところが大きい。」
木村光彦氏の実証主義に徹した朝鮮論による『日本統治下の朝鮮』は、日本統治下の朝鮮経済を理解するため基礎的な事実を広範囲に明らかにした。今後、この課題を考えるための基本的な著作となるだろう。新書という形式でもあり、多くの専門家ではない読者に幅広く読まれることを期待したい。イデオロギーや民族感情、政治的配慮ではなく、実証主義に徹した歴史研究こそが、日本と韓国・北朝鮮の関係を抜本的に改善する基礎である。
論文「グローバル医薬品企業とバイオベンチャー (Global Pharmaceutical Companies and BioVentures)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.6.13)
キーワード (Key Words):ブロックバスター (Blockbuster)、ジェネリック (Generic)、バイオベンチャー (BioVentures)、NASDAQ Biotechnology Index (NBI)、日経BP・バイオINDEX (Nikkei BP Bio Index)
先に発表した論文「1990年からのM&Aの3つの波と現在」で明らかにしたように、2012年~2017年上半期のクロスボーダーM&Aで、医薬品産業は食料品、石油・天然ガスに次ぐ第3の産業になっている。医薬品産業では、革新的な医薬品が次々と創成され、特にバイオ医薬品の比重が急激に高まってきた。新薬の開発には膨大な資金が必要で、また成功の確率も低い。そのような条件が、多くのクロスボーダーを含むM&Aを生み出している背景である。
本論文では、1でグローバル医薬品企業の動向を概観する。この産業では、アメリカ企業が圧倒的な地位にある。アメリカ企業には、長い歴史を持つ企業だけではなく、例えばGilead Sciencesのような創立30年ほどの有力な新興企業もある。2では、世界市場における主要な医薬品の領域別動向とそれを製造する医薬品企業の関連を明らかにする。
3では、医薬品産業では、代表的な先進国企業だけではなく、アイルランドやイスラエルのような新興国企業も大きな役割を果たしている。これらの国において医薬品産業がどのような位置を占めているかについて明らかにしてみたい。4では、アメリカにおけるバイオベンチャーの発展とそれを支える金融市場について検討し、日本の現状との簡単な比較を試みたい。
論文「1990年からのM&Aの3つの波と現在 (Three Waves since 1990 and Current Phase)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.5.16)
キーワード (Key Words):クロスボーダーM&A (Merger and Acquisition)、規制緩和 (Deregulation)、コーポレート・ガバナンス改革 (Corporate Governance Reform)、武田薬品 (Takeda Pharmaceutical Co., Ltd.)
武田薬品は5月8日、アイルランド製薬大手シャイアー (Shire)を総額約460億ポンド(約6兆8000億円、約620億ドル)で完全子会社化することで合意したと発表した。同日、シャイアーの取締役会が武田の買収提案を受け入れた。シャイアーは患者数の少ない希少疾患薬に強みがある。希少薬は、高薬価と成長が見込める広大な沃野とみなされている。
本論文で詳しく示すように、1990年以降の約30年間にM&Aには、3つの大きな波がある。1999-2001年と2006-08年、そして2014年から始まる第3の波である。第3の波の2016年までには、今のところ過去の2つの波を超えていないと思われるが、世界的な金融緩和はまだ続いており、武田のM&Aを含め過去の規模を超える可能性がある。
また、この波の中で、日本企業の役割はそれほど大きくなかった。武田によるM&Aが実現すれば、日本企業によるM&Aで過去最大の規模となる。世界経済で地盤沈下が進む日本経済の復活にM&Aがどのような役割を果たすか注目される。
本論文では、1で第3の波を含む最近5年半のM&Aの動向を捉える。2と3は歴史的な検討を行うが、2では歴史的な全般的傾向を、3では過去の2つの大きな波を企業ごとにやや詳しく検討する。
論文「世界の主要年金基金による投資の最新動向 (Latest Developments in Investment by Global Pension Funds)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.4.20)
キーワード (Key Words):機関投資家 (Institutional Investor)、年金基金 (Pension Fund)、Government Pension Investment (Government Pension Investment Fund, GPIF, 年金積立金管理運用独立行政法人)、Government Pension Fund (Norway)、California Public Employees (CalPERS)
私は最近の論文である「機関投資家としての大学:大学の金融投資日米比較」(2018年3月)で、機関投資家としての日米の大学について比較・検討した。その論文で、アメリカの大学Endowment(財団、基金)が、金融市場でアクティブに活動する機関投資家として重要な役割を果たしていることを明らかにした。
本論文では、世界の機関投資家のなかで運用資産が最も大きく中核的な役割を果たしている年金基金を取り上げたい。私は、かなり以前から、年金基金が運用資産規模の大きさを背景に、コーポレート・ガバナンス改革に重要な役割を果たしていることに注目してきた。
本論文で詳しく検討するように、年金基金などの機関投資家はより有利な運用をめざして、継続的に投資先を変えてきた。国内投資からグローバル投資に、債券から株式の比重を高め、最近ではオールタナティブ投資をも増加させてきた。
1では代表的な機関投資家である世界の年金基金を概観する。2と3では、各国の年金基金の投資構成の変化に注目したい。2では年金基金全般について、3では、世界の代表的な年金基金である、日本のGPIF、ノルウェーのGPFN、アメリカのCalPERSについてみてみたい。
論文「戦間期の慶應と早稲田の財務状況 (Financial Conditions in Keio and Waseda In the Inter-war Period)」を本ページ最下段に掲載しました。(2018.4.2)
キーワード (Key Words):慶應義塾 (Keio Gijuku)、早稲田大学 (Waseda University)、戦間期 (Inter-war Period)、財務状況 (Financial Conditions)
2018年3月に発表した私の論文「機関投資家としての大学:大学の金融投資日米比較」は、現在の日米主要大学の金融投資について比較した。論文は、この課題での日米大学間の格差は非常に大きく、日本の大学の財政基盤は非常に脆弱で、日本の大学の研究基盤を脅かしかねないと指摘した。
本論文では、日本の主要大学の脆弱な財政・投資基盤はどのように形成されたのかについて明らかにするために、まず戦間期の慶應義塾と早稲田大学の財務状況を調べることから始めてみたい。
最近になって、戸村理氏が『戦前期早稲田・慶應の経営』を出版され、大学財務を含む戦間期の大学の研究の一歩が大きく踏み出された。本論文は戸村氏が一部しか取り扱われなかった戦間期全般の慶應義塾と早稲田大学の財務状況を明らかにしたい。ただ、当時の史料は財務状況について十分な情報を明らかにしてはおらず、研究の進展には、今後様々な史料の広範囲な公開と再検討が必要となっている。
1と2では、戦間期の慶應義塾と早稲田大学を順に検討し、3では、両大学の現在を取り上げて、戦間期と現在を比較し、4では、戦間期の大学と経済との関係を捉えてみたい。
・New ! Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition が、ようやくAmazon.comで刊行されました。 (Paperback, October 2, 2015)(2015.10.5)目次は以下の通りである。
Part 1 Prewar Global Economic System and Economic Interdependence between Japan and China
Part 2 Japanese Companies and Collaboration in East Asia in the Inter-war Period
Part 3 Current Economic and Business Competition and Alliance among Japan, China, Taiwan and ASEAN
さらに詳しくは研究業績のページへ
・新保博彦 (Hirohiko SHIMPO) のNew Websiteを作成、公開しました。(2015.4.1)
・「大阪産業大学在籍中に作成したWeb Site」(2015年4月1日以降は、誤りの修正を除いて変更を加えていません、このページに自動的に転送するように設定しています)
・「新保博彦のブログ」とともにご参照ください。