系外惑星セミナーで発表

Post date: Nov 10, 2014 1:25:07 PM

小惑星地形と粉体流動—粉体対流による表面更新時間の推定—

山田智哉,安藤滉介,諸田智克,桂木洋光*

要旨:小惑星イトカワは表面が砂礫で覆われ,地滑りや分級のような表面活動が比較的活発に起こっていると考えられる証拠が探査により発見されている[1].イトカワのような小天体では重力が弱いため,天体衝突により容易に全球震動が誘起され得る.この震動により砂礫が流動し粉体対流が誘起されている可能性が示唆されているが,微小重力環境でどのような粉体流動が実現されるかについての定量的検討についてはこれまで十分にされてこなかった.そこで我々は簡単な室内実験を行い粉体対流の対流速度に関するスケーリング則を確立した[2].更に,得られた対流速度のスケーリング則と,天体衝突レートのモデル,天体衝突により誘起される地震動のモデルを組みあわせて,粉体(砂礫)対流による小天体表面の更新時間スケールを見積もった.見積もりにはいくつかの不定性の大きなパラメータを含んでいるが,適切な近似を行うことにより,表面更新時間のパラメータ依存性についても評価する枠組みを作った.発表では,実験とモデル構築について概要を説明し,得られた表面更新時間と他の惑星科学的時間スケールとの比較などを行う.

[1] H. Miyamoto et al., Science 316, 1011 (2007)

[2] T. M. Yamada and H. Katsuragi, Planet. Space Sci. 100, 79 (2014)