10月下旬に新著『言葉なんていらない?』を創元社から刊行しました。
言葉を発するとは、そもそも何をすることなのか? 言葉の役割とは何なのか? 本書はこの根本的な問いを探究することを通して、言葉に親しみ、言葉のある世界を楽しむための方法を、わかりやすく示していく一冊です。
言葉は普段、私たちの生活の中に当たり前にあり、あらためて「言葉とは何か?」とか「言葉なんているのか?」というふうに注意が向けられることはまずありません。ですが、慣れ親しんだ言葉を見直す作業は、言葉に対する新しい見方を必ずもたらしてくれるでしょう。
そして、その発見はひいては、言葉とともにある私たちの生活について、私たち自身について、新しい側面を知る機会となるでしょうし、何よりも、言葉が私たちの力となる可能性に対して目を向ける機会となるはずです。
本書は、「10代以上すべての人のための人文書のシリーズ」を謳う〈あいだで考える〉シリーズの一冊として、その看板に偽りなく、本当に、10代以上のすべての人に読み通していただけるよう、本の隅々にまで気を配って、工夫を凝らしました。
議論の運び方、言葉の選び方、ルビの振り方、各節ごとのまとめ、各所の内容と響き合う豊富な挿絵、等々。ぜひ、手に取ってみてください。
【目次】
キーワードマップ
序章 言葉はメディアか、はたまたバリアか
1章 言葉のやりとりはなぜ不確かなのか
1節 私たちは日々「発話」している
2節 なぜうまく伝わらないのか
2章 記憶の外部化と言葉の一人歩き
1節 話される言葉と書かれる言葉の違い
2節 プラトンの懸念は過去のものとなったか
3章 コミュニケーションの二つの方向性
1節 遠く、多様な人々とのコミュニケーション
2節 近く、限られた人々とのコミュニケーション
4章 言葉の役割を捉え直す
1節 ここまでの結論と、ここからの課題
2節 発話とは、物事のある面に関心を向けること
3節 言葉を探し、選ぶことで、自分の思いが見つかる
5章 「言葉のあいだ」を行き来する
1節 ひとつの言語を深く学ぶ
2節 複数の言語に触れる
3節 言葉は移り変わるもの
終章 言葉とは何であり、どこにあるのか
1節 この本でたどってきた道筋
2節 そこにある言葉を楽しむために
私と世界のあいだをもっと考えるための 作品案内
【出版社特設ページ】
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4768