【刊行物】『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇』(講談社学術文庫)

投稿日: 2015/08/03 3:40:28

『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇: ケンブリッジ1939年』(大谷弘・古田徹也 訳、講談社学術文庫)が2015年1月に刊行されました。

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本書は、現代を代表する哲学者の一人ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが行った講義の記録ですが、哲学の本として大変面白く、また、(ウィトゲンシュタインのものとしては)内容も分かりやすいと思います。 それから、この本の目玉のひとつは、著名な数学者アラン・チューリングが講義に参加していて、最も活発に発言していることです。哲学に関しては素人である チューリングのいわば「素朴」な発言と、それに対するウィトゲンシュタインの応答の数々は、読者にとって、「いま、何が問題になっているのか? ウィトゲンシュタインは何を言おうとしているのか?」ということを理解するうえで、大きな助けになると思います。

そして、何よりも、ウィトゲンシュタインの議論になかなか同意しない(ときに全く同意しない)チューリングという人物の存在は、場全体に緊張感ないし「ハ リ」をもたらしていて、当時ケンブリッジ大学の一室で行われていたこの講義をあたかも追体験しているような臨場感を味わうことができると思います。ぜひ手にとってみてください。