【刊行物】『経験論から言語哲学へ』(放送大学教育振興会)

投稿日: 2016/03/16 12:39:12

勢力尚雅さんと、『経験論から言語哲学へ』(放送大学教育振興会)という本を書きました。もう発売されているようです。いわゆる「英米系」の近代以降の哲学の道行きをたどる入門書です。参考文献もいま入手しやすいものを挙げています。

http://honto.jp/netstore/pd-book_27708256.html

この本の特色は、近代のイギリス経験論は「言語」にまつわる議論を重心に置き、逆に、現代の言語哲学(初期分析哲学)は「経験」との絡みを中心にして、全体を構成している点です。そして、両時代の結節点として、英米圏ではないドイツ語圏の「世紀末ウィーン」の諸相にかなり紙幅を割いています。

その点で、「英米系」という枠組みそのものを問い直す本でもあります。マッハも、フレーゲも、ウィトゲンシュタインも、最初の論理実証主義者たちも、みなドイツ語圏の人々でした。ほかには、20世紀後半のクワインやデイヴィドソンの議論にまで手を伸ばしているのも、類書にない特徴でしょうか。

また、この本は、この4月から開講される放送大学のラジオ科目「経験論から言語哲学へ」の印刷教材でもあります。日曜16:00-16:45に全国各地で放送されるほか、インターネット配信もされるそうです。ご興味に応じて聴取いただければ幸いです。

http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H28/kyouyou/C/ningen/1554859.html