改造のリスク

一般的にもっとも簡単で手軽な改造はプロペラの変更だと考えられるだろう。

しかし、これは予想外に大きなリスクとエンジンの焼き付きなどの原因を発生する可能性も秘めている。

かつてDKはDK-Whisperを開発したことで騒音の低下とパワーアップによるその需要を拡大していた。

反面で3枚プロペラの持つ経済的な負担にもユーザーリクエストが与えられ、それで2枚プロペラのテストをしたことがあった。

単純にセンタープレートにそれぞれ独立した3枚のプロペラをボルトで固定する方式だったプロペラのハブに穴明け加工を施しただけで同じプロペラを2枚にしてみた。

減速比はまったく変更してないので負荷が軽減し、エンジン回転数、プロペラ回転数ともに3枚プロペラの場合よりも増大しそれまで3枚で分担して受け持っていたプロペラへ掛かる荷重が2枚のプロペラで負担することになったため・・・ プロペラの根元部分でボルトでハブに固定されている部分がその負荷に耐えられなくなったのだろう 即座に破断した。破断した際にプロペラは当然吹き飛んだがそのうち一枚はプロペラガードのステーにクラッシュして変形させた。このステーにクラッシュしていなければそれを背負っていたかたに突き刺さっていただろう。そばで見ていてぞっとした。

その後、パワーユニットを室内で固定してどうようのテストをしてみたが結果は同じだった。一枚は天井へ突き刺さったまま、もう一枚は窓ガラスを破って外へ飛んでいった。

同じパワーまで出そうとした場合ではプロペラの素材と強度自体が2枚ではもたない。恐怖のテスト結果だった。この後このプロペラを2枚にするというテストは中断された。

ここでは3枚を2枚にしてのテスト結果であるが、それでは枚数を増やせばそれぞれ負担する負荷が軽減されるから大丈夫かというとそうでもない。

ステンレスを素材として作られた6枚プロペラのモデルで飛んだフライヤーの話であるがフライト中に6枚のうち4枚が吹き飛んでしまい1枚はキャノピーを突き破って上方へ、1枚は地上へ突き刺さり という情報を入手したことがある。

ではこれはプロペラの素材が弱いからそれが原因なのかといえばそれも違う、もしもプロペラが破断しなければその過負荷はプロペラのリダクションシャフト、エンジンのクランクシャフト、ピストンやシリンダーの磨耗部に掛かる。これは想定された以上の回転数が回転軸にかかるのだから それら各部品が想定外の耐久性を備えていた場合にのみトラブルが発生しないというわけだ。

たかだがプロペラの変更が不必要な修理費用を生みかねない理屈を理解してもらえただろうか