空中での経験ビーチ編

瀬戸内海に浮かぶ島での海開きイベントでのデモフライト

山口県のこの島は島全体がひとつの山なみを形成し山の表側と裏側という表現ができる地形となっている。

依頼を受けたビーチは南側、山の裾野にビーチがある地形をしている。正面からシーブリーズが入れば非常にいいコンディションでデモフライトができる。

そう思ったのだが・・・

地元行政との媒体になってくれた地元フライトクラブのかたも普段の風向きはビーチに対してアゲンストだという情報をもらった。

しかし当日になってみるとビーチのある反対側からの風が入っている。この風向きはシーズン中に1-2度しかないという情報だったが その1-2度に当たってしまうとは・・・

風速は1m/sec程度 フライトを強行できない風ではないと判断した。

山の裏側で予想される乱流は風速によっても強弱が変化するため 風向以外のリスクは南側であるためサーマルの存在だけ しかしビーチなのでサーマルのリスクも軽微だと判断した。

デモフライト本番ではテイクオフは当然問題なし それからまさに渦中という表現が適切な山の裏側 ウィンドシャドーとなっている空域へ進入してみると当然ながらやはり乱れている。

ピッチが激しく変化し制御が大変である。

翼が前方へシュートした場合はフルパワー 後方へ下がって自分の身体が前に振り出されたときにはアイドリングにしてフルグライドにするしか方法はない。

高度があるうちは翼が変形しないように 変形したら即座に対応できるようにしていればいいけれどしだいに高度が下がってきたら運に身を任せるしかない。

低空で翼が変形したら翼の形状回復を考えるよりもその状態でどう安全にランディングするかを考えるしかない。

一番心配なのはピッチ方向の挙動が激しいのでランディング直前に前方へ機体がシュートすることは避けなければならない。後方へ下がってもその後は反動で前方へとシュートしてくる。

ランディング直前に通常滑空の迎え角を維持しなかれば危険が大きい、そして願わくば例え怪我をしなくても海開きの日のデモフライトという目的からするとクラッシュランディングも避けたい。

ランディング直前までビーチ上空ではなく、すぐに救助が期待できる距離を保って海上上空を移動し、最終行動としてビーチに接近してランディングした。

高度2-3mでも翼はピッチ方向の挙動を起こしハッとすることしきりだった。

無事ランディングできたのはまさに運だったのだろう。

テクニック? そんなものが通用するほど自然の力は微弱ではない。