ここでは、鍵盤ハーモニカならではの奏法を紹介します。
(少し文量が多いので、いずれページを細分化させるかもしれません。)
表現手法はブレスコントロールと鍵盤操作に大きく分けられます。
ただし、どちらも同時進行で行われる演奏操作の為、
明確に区分できない奏法が多いのが事実であり、
一部ごちゃごちゃになりながらの記述となっております。
◯アタック・リリース
・タンギングによるもの
ノートオン・オフの固さがタンギングの発音によって調整可能。
ダブル・トリプルタンギングを使用することで連打フレーズに対応しやすい。
通常の鍵盤楽器には難しい和音の細かい連打も可能。
但し反応を重視する場合は直マッピを推奨。
尚、ブレスタンギングでは滑らかなオン・オフが可能だが、発音のタイミングに誤差が生じやすい。
息と口元によるアタック・リリースを総括すると、滑らかで直接的な表現変化を作りやすいが、
楽器の反応性を考慮したコントロールを要する。
特に低音域においてはオーバーブローも生じやすい。
・鍵盤操作(打鍵・離鍵)によるもの
息を楽器に通している状態で打鍵・離鍵を行い発音する。
事前に息を充分に入れておくことで、音量を選ばずに発音のタイミングを整やすくなる。
ゆっくりとした打鍵・離鍵により、ベンド効果が加わる。
一方で、素早い打鍵・離鍵は、特にリリースにおいて機械的な発音効果が得られる。
ホース使用時に明瞭なノートオン・オフが得たい場合には鍵盤操作による表現の方が確実性が高まるので、
ケースバイケースで使い分けながら演奏できるとよい。
鍵盤操作によるアタック・リリースを総括すると、発音より先駆けて息を入れておくという特殊操作、
鍵盤の抑え方による表現の差異の把握等が必要で、要ブレステクニック&打鍵技術。
◯音程操作(重要)
・装飾音の活用
目的の音程より半・全音低い、または高い音程から、
スライドするように音程移行することで、音のしゃくり、こぶし等を再現可能。
ベンド奏法ではできない、上の音程や跳躍音程から引っ掛ける歌い方も可能。
これをしないと音程感が非常に乏しく聴こえるため、
特にポップスを鍵盤ハーモニカで歌い込むには必須のテクニックとも言える。
ただし、棒吹きではなんの表情も得られないので、ブレスコントロールによる歌い込みが必要。
・ベンド
ブレスベンドとキーベンドの二種類。
ブレスベンドの場合は息を太く入れることで、
キーベンドの場合は鍵盤を僅かに押さえた状態で吹き込むことでベンドが生じる。
息の圧が異なるため、両者の音色には差異が大きい。
基本的には、音程を下げることしかできない。
・グリッサンド
鍵盤操作とブレスコントロールを合致させることで、ポルタメントに近い音程感の表現も可能。
また、両手を活用することで着地音を狙い定めて次のフレーズに繋げていける。
特殊な奏法として、和音・重音を並行させてグリッサンドすることも可能。
・半音ぶつけ
12音平均律から外れた微妙な音程感を表現可能。
比較的、上の音がより強く聞こえる傾向にある。
◯鍵盤操作による表現
・トリル
他の吹奏楽器には難しい、跳躍音程でのトリルが高い自由度で行える。
特にオクターブトリルはとても格好いいので、管理人は個人的に大好き。
・ホールド
パッセージ中のロングトーン等、特定の音程を保持した裏で、別のフレーズが演奏可能。
ただし、別の声部のアタック、リリース時に音量バランスが変わるので、要注意。
・ホールドスラー
音程の移行時に、直前の音の鍵盤を長めに保持しておくことで、リバーブに近い効果が得られる。
・左手操作
立奏の場合、左手の逆手操作で、片手では難度の高い複数声部での演奏、跳躍やパッセージの補助になる。
右手で取った音の保持を左手に置き換えることで、音を伸ばしながら別のフレーズをより自由に重ねられる。
◯地味テク
オクターブ奏法で音量アップ。音をより明確に立たせたいときに。
ハモりを加えることでも音に厚みが増すが、ボイシングは要検討。
重音は目安として三声までであれば満遍ないバランスで鳴る。
それ以上の場合は、手前側の鍵盤を浅めに押さえると鳴りのバランスがよくなることも。
◯おまけ
循環呼吸を会得すれば、どんな音数も長いフレーズも伴奏もお任せあれになれます。
更なる万能を求めるあなたに。