そもそもなぜ、こんな特設コンテンツを作ってまで
鍵盤ハーモニカを推しているんでしょう。
自分にもその理由はよく分からないのですが、
ただ言えるのは、惹かれる、ということです。
私が初めてまともに鍵盤ハーモニカを触ろうと考えたのは、2007年夏のこと。
当時、地元のアンサンブルバンドでトランペットを担当していました。
一般バンドなので、練習にメンバーの集まりが芳しくないこともしばしば。
仕方のないことなのですが、一方で、欠けたメンバー分の穴として
音楽にできてしまう隙間を埋めたい想いも生じていきました。
ある日、トランペットと一緒に、なんとなくピアニカを練習に持参。
そしてなんとなく吹いてみたんです。
一つの息で複数の声部をカバーし、
吹奏楽器なのに和音を出せるという今までになかった感覚は、
トランペット吹きだった私にとって、かなりの衝撃でした。
当時、音大受験を目指し、ピアノを習い始めて三年弱でした。
まだまだ指の動かない自分でしたが、もしもっと指が動いたら、
これ以上ない自由な楽器になるんじゃないかと、夢が広がりました。
そんなこんなで、次第に鍵盤ハーモニカにのめりこむようになり、
今では楽器独自の奏法を少しずつ見い出せるようになってきております。
2013年初頭、人前でソロで演奏したときに、ある評価をいただきました。
あなたの楽器は、なんだか鍵盤ハーモニカじゃないみたいです。
素直に受け取ればこの上ない褒め言葉です。
しかし私にはどこか悔しさがありました。
鍵盤ハーモニカが演奏楽器として認知されていないという現実を感じたのです。
また、別の場面で「なにか得意な楽器はあるんですか?」と聞かれると、
今の私は、多分迷わず「鍵盤ハーモニカです」と答えます。
しかし、相手からの反応はあまりにも薄い。
下手すると、冗談にすら取られているのが現状です。
ホントはものすごく自由度の高い、面白い楽器なんです。
鍵盤ハーモニカが演奏楽器としての地位を得ていく足がかりとして、
また、鍵盤ハーモニカに興味を持ってくださる方が一人でも増えれば、
という想いから、こんなコンテンツを公開し始めたというわけです。
世の中の鍵盤ハーモニカへの目が、少しでも変わっていきますように。
2013年3月 凪カルビ