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Encyclopedia Ⅱ

by Bunkou ishikawa

since 2014

【自動車絶望工場(書籍)】

鎌田慧・作 画像:講談社文庫 309頁

1983年九月1刷 当時定価380円(4刷)

紹介文:72年に、季節工として、トヨタ自動車本社工場に潜入した著者の

半年間のルポルタージュ。ベルトコンベア作業の過酷さと、労働の無内容、

人間性の解体を描き出す、著者の代表作。そのアンフェアな取材方法を

非難されたが、能率を追い続けるトヨタ生産方式に、一石を投じ、現在の

人間性尊重を掲げる一因となった。

【成吉思汗の秘密(小説)】

高木彬光・作 画像:角川文庫 305頁

1973年七月初版 当時定価不明(8版)

紹介文:推理機械と呼ばれ、東大法医学部助教授であり、名探偵の神津恭介が、

入院中に、ベッドディクティブに挑む。挑戦するのは、「源義経は、衣川で殺された

のではなく、蒙古へ渡り、ジンギスカンになったと言う伝説。そんな一人二役のトリッ

クが成立するのか」。小説のスタイルをとっているが、内容は小谷部全一郎の論文

をベースにした、義経=ジンギスカン説の集大成となっている。

並べられている論証は全て、結局、可能性の証明であり、決定打とはなっていな

いが、最終章の「成吉思汗の名前の秘密」は、この本ではじめて論じられ、ただの

偶然とは思えない内容である。ジンギスカンは自ら、自分の名前を漢字で書いた

という記録が残っているそうだが、なぜ、「成吉思汗」と表わしたのか?

この本では、仁科東子の説として、『吉成りて、水干(汗)を思う』と解いている。

吉は吉野山、水干は白拍子の衣装、白拍子といえば義経の最愛の人、静御前。

『吉野山の誓成りて、静を思う」・・・。これだけでは、こじつけと言えなくもないが、

「成吉思汗」を読み下せば、「なすよしもがな」。そして、静御前が義経を思って、

詠った歌が、「しずやしずしずのおだまきくりかえし、むかしを今に、なすよしもがな

吉野山、峰の白雪ふみわけて、入りし人の、あとぞ恋しき」

このような一致が、偶然と言えるだろうか!!

義経とジンギスカンは、入れ替わった年代もほぼ合っている。この伝説が言われ

はじめたのが、江戸中期、西暦も伝わっていない、モンゴル史の情報も定かでない

当時に、なぜ、これほど矛盾なく、義経からジンギスカンの移り変わりの年齢が合う

のか?なぜ、ジンギスカンの慰霊のオーボー祭と義経忌が同月同日なのか?

源義経―ゲンギケイ―gen・gi・kei―jin・gis・kan―ジンギスカンと変化したと、

言われているが、判官から「ハン」または「カン」と呼ばれ、上記の理由で、自ら、

「成吉思汗」と命名し、その後、ジンギスカン(チンギスハン)と呼ばれたとも考えれる。

【銭っ子(漫画)】

花登筐・作 水島新司・絵 秋田書店全3巻 B6判334頁

1986年七月初版 当時定価580円

内容:両親を交通事故で失い、財産すべてを、おじ、おばたちに

奪われた健と亜子の兄妹。一度は死を決意した二人だったが、

ガタロ船の人たちに助けられ、やがて健は妹と別れ一人、

乞食の銭神のもとで、金儲けの修行をつむ。気の弱い中学生

だった健だが、カブト虫売りを手始めに、土地売買から、店屋の

経営まで手がけ、銭儲けの鬼となって、しぶとく生き抜いていく。

昭和40年代後半に、「週刊少年チャンピオン」に連載された。

花登、水島コンビでは、以前に「エースの条件」(少年画報)がある。