研究テーマ

1. 炎症反応と低酸素応答の分子メカニズムの解明とバイオプローブによる制御

炎症性サイトカインは転写因子NF-κBのシグナル伝達経路を活性化します。炎症反応は、がん、糖尿病、自己免疫疾患等の発症にも関与しています。一方、低酸素応答は、高山病、虚血性心疾患、貧血、肺炎などで誘導されるほか、炎症部位やがん微小環境においても誘導される。私達の研究室では、分子生物学、細胞生物学、ケミカルバイオロジー等の研究手法を用いて、炎症反応と関連する細胞応答の分子メカニズムの解明とバイオプローブによる制御を目指しています。

バイオプローブ・リスト


2. 細胞性免疫における細胞傷害の制御メカニズムの解明と応用

細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー細胞には、細胞傷害顆粒という特殊な分泌型リソソームが存在しています。細胞傷害顆粒は、がん細胞やウイルス感染細胞の殺傷に重要な働きをしています。私達の研究室では、細胞傷害顆粒の構造と生合成の仕組みの解明と細胞工学的応用を目指しています。


3. 細胞死とマイトファジーのシグナル伝達の解明

細胞死は、種々のストレスや生理的リガンドによって誘導され、生体の恒常性の維持に非常に重要です。私達の研究室では、分子生物学的研究手法とケミカルバイオロジー的研究手法の二つのアプローチから、細胞死制御タンパク質の生理機能の解明や新しい細胞死のシグナル伝達の仕組みの解明に取り組んでいます。特に、Bcl-2ファミリータンパク質Bcl-rambo/BCL2L13による細胞死とマイトファジーの制御の分子メカニズムの解明に取り組んでいます。


4. カスパーゼ8とc-FLIPによるシグナル伝達の解明

   システインプロテアーゼであるカスパーゼ8は、細胞死を誘導するだけでなく、細胞死を抑制するNF-κBのシグナル伝達経路も活性化します。c-FLIPは、カスパーゼ8と相互作用し、カスパーゼ8による細胞生死の切換えに重要なタンパク質の一つです。私達の研究室では、カスパーゼ8とc-FLIPによる複雑なシグナル伝達の制御の仕組みの解明に取り組んでいます。