パイプラインの評価について

シャイアーはフェーズ1から申請段階まで40品目の研究開発プロジェクトを公開しています。

件数としてはメガファーマに匹敵しますが、そのほとんどは血友病(4品目)、家族性血管浮腫(6品目)、注意欠陥・多動性障害(ADHD、3品目)など、既存製品のライフサイクル・マネジメント(LCM)であり売上増加は期待できません。

5年以内に上市の可能性があるフェーズIII以降の開発品で、LCM以外の開発品は10品目しかなく、5年後(2022年)の売上ポテンシャルはベストケースで21億㌦(2300億円)、成功確率を掛け合わせたリスク調整後は10億㌦(1100億円)です。

既存製品との合計(153億ドル、1兆7000億円)は年率2.0%の増加にとどまる見通しです。

ウェバー社長が期待を表明している希少疾患領域は患者数が極端に少なく、治療薬は発売と同時に100%普及し、市場は拡大しません。価格は初めから高額なため、値上げは許されません。また、行政やアカデミアの支援によって競合品が想定以上の速さで出現する、といった問題があります。大手製薬企業が希少疾患を成長分野と位置付けて依存するのは非現実的です。 

 (レポートp.37-40を参照)

次のページ ➔ リストラ