血友病について

シャイアーの最大製品を脅かす血友病治療薬ヘムライブラが米国で本格的な承認を取得しました

10月4日

ロシュ社グループのメンバーであるジェネンテック社は、米国食品医薬品局(FDA)に対して二重特異性抗体の血友病治療薬・ヘムライブラをほとんどすべての血友病患者への投与を可能とする承認申請を行い、本年4月に画期的治療薬、6月には優先審査品目に指定されていました。ヘムライブラは有効性や投与頻度の点で従来品を上回ることから、売上が50億ドル(約5,500億円)となると予想する証券アナリストもいます(BioSpace・2018年9月18日付レポート)。FDAは優先審査とした際に定めたとおり、10月4日付で承認しました。

ヘムライブラは自己注射が可能な皮下注射製剤で、FDAは1週間に1回、2週間に1回、さらに4週間に1回の治療を承認しました。

患者さんにとって1週間に3回から4回通院して静脈注射を受けなければならないシャイアー製品との差別化は明白です。ヘムライブラの販売が米国市場で本格化すれば、シャイアーが多大な損失を被ることは確実です。

特定の希少病に照準を定めて、M&Aにより寡占化を図るシャイアー社のビジネスモデルは、ロシュをはじめとするメガ・ファーマが開発に本腰を入れ始めたことで、今後は通用しなくなるおそれがあります。限られた治療分野に集中するシャイアーの事業構造は、一つの失敗がただちに全体へ影響を及ぼす弱みへと様変わりする可能性があります。

Shireは血友病治療薬の市場で最大となる40%前後の市場シェアを持っていますが、競合する有望な新薬が登場してきました。

5月9日(6月13日改訂)

競合新薬の開発状況を展望したうえで、シャイアーの開発パイプラインの評価を考える必要があります(➔ 血友病)。

中外製薬(ロシュ)のヘムライブラだけでなく、ファイザーがSpark社と共同開発中の遺伝子治療薬SPK-9001なども注目されています。血友病の主要製品の売上高を見ると合計(市場規模)は2017年85億ドル(9400億円)で伸び率は0.4%、ほぼ横ばいでした。

市場シェアはシャイアーが最大で、AdvateとFeibaを合わせて45%になります。それだけに発明新薬の登場が与える影響がおおきくなると懸念されます。

参考データ(リンク👆をクリック)

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