希少疾患治療薬の市場性

希少病の治療薬として10億㌦(1000億円)以上を売り上げる製品はほとんどなく、マルチビリオン($B)製品となるブロックバスターは出てこないと考えていましたがアレクシオン社が開発した抗体医薬エクリズマブ(販売名 SOLIRIS)は例外となりました。「発作性夜間ヘモグロビン尿症」に対する治療薬として2017年の売上高は3000億円を超えました。

オーファンドラッグの開発に弾みをつける素晴らしい成果だと思います。とは言え、

企業の経営戦略として希少病領域でブロックバスターを狙うのは間違っていると思います。これは倫理的な問題だけではなく、これまでの市場の現実を踏まえるべきだと考えるからです。

ポンペ病、ファブリー病、ゴーシェ病といった希少病の治療薬を開発して映画にもなったジェンザイムをサノフィが2011年に買収しました。その事業部(Rare Diseases)の業績はずっと20億ドル(2000億円)台で低迷しています。

希少疾患は患者数が極端に少なく、新薬の普及率は発売と同時に100%に達します。価格は非常に高額なので値上げは許されません。希少疾患の新薬開発は行政やアカデミアの支援が手厚いので、競合品が想定以上の速さで出現します。

シャイアー自身がファブリー病治療薬Replagalやゴーシェ病治療薬Vprivでジェンザイムのシェアを奪ってきました(➔難病・希少病)。

武田薬品が支払う7兆円のうち3兆円がのれん代または無形固定資産となる超過支出です。この投資を希少疾患の領域で回収しようという考えは非現実的です。また倫理的にも問題です。余力をもって社会的な使命を果たせる企業になってもらいたいものです。

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