議決権行使の方針

2022年定時株主総会招集通知への対策.pdf

定時株主総会議決権行使に関する方針について

招集通知に記載された第1号から第5号まで全ての議案について事前に「考える会」で検討し、一致した方針をまとめました。

第1号議案:剰余金処分の件

21年度決算では営業利益が約4,600億円へ前年比 9.5%減少、さらに当期利益(約 2,300億円)は前期の益税効果も影響して前年比 39%の大幅減少となった。そのため、年間 180円配当に要する配当金総額(およそ 2,800億円)を500億円も下回る当期利益となった。成長力を回復するためには危機的な状況にある開発パイプラインの拡充を図ることが急務であり、減配してバイオテク企業との事業提携などに必要な資金を確保することを優先すべき状況である。しかしながら、一般株主は公約通りの 180円配当を期待しており、株価への重大な影響が懸念されるため会社の方針どおり、「賛」に 〇 とする。

第1号議案:剰余金処分の件

21年度決算では営業利益が約4,600億円へ前年比 9.5%減少、さらに当期利益(約 2,300億円)は前期の益税効果も影響して前年比 39%の大幅減少となった。そのため、年間 180円配当に要する配当金総額(およそ 2,800億円)を500億円も下回る当期利益となった。成長力を回復するためには危機的な状況にある開発パイプラインの拡充を図ることが急務であり、減配してバイオテク企業との事業提携などに必要な資金を確保することを優先すべき状況である。しかしながら、一般株主は公約通りの 180円配当を期待しており、株価への重大な影響が懸念されるため会社の方針どおり、「賛」に 〇 とする。

第2号議案:定款一部変更の件

2022年9月1日に施行される「会社法の一部を改正する法律」の改正規定に備えるため、との会社説明に基づき、定款変更には「賛」に 〇 とする。

第3号議案:取締役(監査等委員である取締役をの除く)11名選任の件

候補者番号 ① クリストフ ウェバー氏、③ アンドリュー プランプ氏、④ コンスタンティン サルウコス氏、⑩ ジョン マラガノア氏については「否」とする旨の条件での「賛」を 〇 

① クリストフウェバー氏

6兆円を投じて3兆円がのれん代となってしまった無謀なシャイアー買収をはじめ、アリアド(6000億円)などの企業買収が成果に結びついていない。このような状況にあって、「のれん償却」に焦点を当てて国際会計基準が改訂される可能性が浮上し、4兆円を超える「のれん」が重大な経営リスクとなって株価が低迷している。株主への貢献度を測るTSR(株主総合利回り)はCEO在任7年間の平均値がマイナス3%程度と他のグローバル医薬品企業とは比べようも無い状況である。にもかかわらず、CEO報酬は2015年度の9億円から倍増するなど経営責任に対する無自覚が顕著である。

③ アンドリュープランプ氏

業績を維持するために最も重要な潰瘍性大腸炎治療薬エンティビオの皮下注射製剤、および多発性骨髄腫治療薬ニンラーロの1次療法の追加に失敗した。また、旧シャイアー品目で最大の価値が期待されていた潰瘍性大腸炎治療薬SHP647のP2臨床試験にも失敗している。さらに、2020年末に発表した 2030年度売上収益を5兆円とする長期経営計画において 6,500億円を占める最大製品になるとしたオレキシン受容体作動薬のナルコレプシー治療薬の開発にも失敗し、その後1年間の株価は 3,755円(2021年1月初)から 3,137円(2021年12月末)へと 16%下落し、同期間のニューヨーク市場(S&P500、上昇率27%)を大きく下回った。株価はその後、自社株買いに支えられ、現在は 3,600円台を回復しているが純資産倍率は依然として 1.0倍を下回っている。研究開発の現状について株式市場が納得できる説明がないために開発パイプラインの価値が評価されず、企業としての存続が危ぶまれていると言っても過言ではない株価水準にある。

④ コンスタンティンサルウコス氏

外部監査を受けておらず、また他社との比較不能な「実質」売上やコア営業利益など、NonGaap指標を業績評価と株主説明の中心に置いて、株主判断を混乱させている。株主総会では配当支払い額が当期利益を上回る状況を懸念する質問に対しては資産売却によりプラスに転じていた投資キャッシュフローに関する言及もないまま、「フリーキャッシュフローを見れば十分な支払い余力がある」と回答するなど、財務の健全性を堅持して企業の永続性を保証するべき CFOとしての責務を理解していないと判断せざるを得ない。

⑩ ジョン マラガノア氏

株主の最新(2022年3月末)の状況を所有者別に見ると、外国人の比率は1年で6%ポイント低下して 34%となっている。シャイアー合併直後には 60%を超えていたはずの外国人比率は合併3か月後( 2018年度末)には 51%へと低下、その後も毎年5%ポイント前後の低下が続いている。グローバル企業を標榜しながらも業績が著しく劣後し、海外株主の半数はすでに売り抜けている。大多数が国内投資家となった現状を踏まえ、また、ロシアのウクライナ侵攻を契機に経済安全保障推進法が成立して、これへの対応も必要となるので、米国医薬品ビジネスの専門家より日本人法務担当の選任など、国内の体制固めを優先する取締役の構成が必要である。

第4号議案:監査等委員である取締役 4名選任の件

候補者番号 ② 東 恵美子氏、④ キンバリー リード氏については「否」とする旨の条件での「賛」を 〇 

② 東 恵美子氏

現在(6月11日)の株価 3,632円は一株純資産 3,666円に対して 1.0倍を下回る危機的な水準にまで下落しているが、株価低迷の契機となった2018年のシャイアー合併説明会ではウェバー CEOに伴い、「製薬企業が製薬企業を買収するM&Aにはリスクがない」、「リスクを取らないことが日本企業のリスクである」などと発言し、株主の利益を擁護するべき社外取締役の責務を理解していないようであった。その後も報酬委員会委員長として、業績低迷を招いて株主に損害を与え続けているウェバー氏の報酬を 2017年度 12億 1700万円、2018年度 17億 5800万円、2019年度は 20億 7300万円と大幅に増加させるなど、社外取締役としての独立性に重大な疑念を生じている。2020年度のCEO報酬は 18億7400万円へと2億円近く減少しており、業績の低迷が続く現状への一定の対応が見られたが、欧米製薬企業並みの報酬は納得性に欠ける。

④ キンバリー リード氏

株主の最新(2022年3月末)の状況を所有者別に見ると、外国人の比率は1年で6%ポイント低下して 34%となっている。シャイアー合併直後には 60%を超えていたはずの外国人比率は合併3か月後( 2018年度末)には 51%へと低下、その後も毎年5%ポイント前後の低下が続いている。グローバル企業を標榜しながらも業績が著しく劣後し、海外株主の半数はすでに売り抜けている。大多数が国内投資家となった現状を踏まえ、また、ロシアのウクライナ侵攻を契機に経済安全保障推進法が成立して、これへの対応も必要となるので、米国医薬品ビジネスの専門家より日本人法務担当の選任など、国内の体制固めを優先する取締役の構成が必要である。

第5号議案:取締役賞与(監査等委員である取締役を除く)の支給の件

 役員報酬と一般従業員の報酬格差は国内ランキングにおいてタケダが一位との報道がある。日本的雇用慣行である終身雇用と年功序列制を否定するなら、報酬も内外格差を是正しなければ、社員のモチベーション低下に繋がる。

 当期( 21年度)業績は営業利益が前年比 9.5%減少し、さらに当期利益は前年比 39%の大幅減少となり、株価は一株純資産を下回る危機的な水準にまで下落している。

 また、今年度の業績予想は売上収益を 3.4%増としているが、グローバル医薬品市場の平均的な成長率である5~6%を下回る状態が続くことになる。このように厳しい経営状況にありながら取締役各位には危機感と責任感が欠如しているように見える。

 成長力を回復するためには危機的な状況にある開発パイプラインの充実を図ることが急務であり、バイオテク企業との事業提携などに必要となる資金の確保を優先するべきである。

 「否」を 〇 

以上