株主総利回り(TSR)

株価の現状

シャイアー統合の前後を通じて初めてとなるR&D説明会が昨年(2019年)11月に開催された。しかし、株価は4400円前後で横ばいに推移し、シャイアーとのM&Aを討議した定時株主総会(2018年6月)当時の4600円台を回復できなかった。ウェバーCEO就任時(2015年4月)6000円台だった株価は1年後には5000円へ低下し、2017年は6000円台を回復したものの、2018年以降シャイアーとのM&Aが表面化してからは3000円以下まで半減、その後4000円台を回復したところである。

株主総利回り(TSR, Total Shareholder Return)

タケダ薬品の2020年3月期ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は0.9%となり、15%前後にある国内の同業他社、さらに15%から42%にある海外製薬企業とは比較の仕様がない低水準である。また、ISSなど著名な議決権行使助言会社が最低ラインとする5%にも届かない状況が続いている。そのために株価が低迷し、株主総利回り(配当金総額と株価増減額の合計)はウェバーCEOが就任した2015年4月1日から2020年3月31日までの5年間でマイナス29%となった。アステラス(-5%)、エーザイ(+3%)、第一三共(+309%)、さらに市場(TOPIX -9%)に対しても大きく下回る結果となった。海外企業は2015年1月初から2019年12月末の暦年データであるが、継続的に増配を維持し、配当成長率は年率平均2.2%から6.5%だった。加えて株価の上昇もあり、5年間のTSRは31%から75%となった。タケダ薬品の配当成長率はゼロだった。

タケダ薬品の株主総利回り 2020年5月18日.pdf