3つのナゾ――名探偵からイギリス文化理解へ
「名探偵」というと誰を思い浮かべますか?「シャーロック・ホームズ」、「エルキュール・ポワロ」、「金田一耕助」、「明智小五郎」そして「江戸川コナン」でしょうか。特に「江戸川コナン」は小学生から大人まで広く知られていますね。映画も毎年のように制作されていて、その人気の高さがうかがえます。この『名探偵コナン』が、小学校からの異文化理解教育に使えます。
たとえばコナンの住んでいる「米花町」などの地名を手掛かりにして、ロンドンの街路と国旗の話題に連絡できます。この町名がホームズの下宿の住所「ベイカー・ストリート221B」の「ベイカー」を漢字で表記したものであることは一目瞭然ですが、「米」という漢字を使ったことにも意味がありそうですね。「ナゾ1」としておきましょう。
『名探偵コナン』単行本第1巻表紙のコナンの服装にも注目しましょう。(名探偵コナン - Wikipedia)即座に「名探偵」あるいは「ホームズ」を思い浮かべられるものですが、ホームズはこの服装を常に着ていたのでしょうか?特にあの独特な帽子はいかがでしょう…ホームズは合理的な意味があって、あの帽子をかぶることがありましたが、それは何でしょう。これを「ナゾ2」にしますが、当時の娯楽・服飾文化の話題に連絡できます。
コナンは阿笠博士の開発した様々なツールを使いこなして、幾度もトラブルを回避しますが、ホームズの場合はどうしたでしょうか。彼には武術の心得があり、日本由来の武術も体得していました。それは何でしょう?これが「ナゾ3」です。この話題は19世紀末イギリスでの日本文化受容・異文化交流の話題へ児童の視野を広げられます。文学作品は異文化理解の素材なのです。
英語という異文化への興味を増幅させることが、小学校の段階での学びにはとても大切です。そのために『〈英語を教える〉を学ぶ』は小学校英語教育に応用できるテーマを多角的にとりあげています。ここで紹介したイギリス文化の話題もその例です。ぜひ本書を手に取ってみてください―――上記の3つのナゾの答えも分かります。
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2025年8月25日
小林英美
「キャアハハ」「シクシク」から異文化理解とアメリカ文学・文化、そして英語を考える
「英語をなぜ学ぶの?英語がスキだ・キライだ」。科目として始まった小学校でも、そして中学校、高等学校でも昔からこんなことが言われてきた。また英語とコミュニケーションをセットにして使い、英語で伝え合えられることがゴールとするなら「通訳機械」で用が足りるのではと思われてしまうことになる。これに関しては、コミュニケーションは伝言ゲームなんかではなく、相手の気持ちを考えて行うもので機械じゃできない。
「英語がスキかキライか」の話に戻ると、これは「教科としての英語」のこと。さらに「なぜ英語を学ぶのか」という問いだけど、その答えの方は、アメリカ文学や文化を学ぶ意味を考えると、なるほどと分かって来ると思う。だからぜひ『〈英語を教える〉を学ぶー小学校英語教員の知識・実践・体験』の第3章「アメリカ文学と文化とポップカルチャー~異文化理解と時代と人の探求」を読んでみてほしい。
少し紹介するなら、コトバとその背景の文化の関係は分けることはできない。たとえば小説、映画、音楽が、自分の琴線に触れるのも、同じ国に生まれ育っていても、世代の違い、個人体験で「キャアハハ」と受けて笑い、「シクシク」と悲しく感じて泣くポイントは異なることもある。でもなぜ一緒に笑えるのか、なぜ一緒に泣けるのか?その点の方が実は大事なのだ。つまり異文化理解でも、「違い」より「同じ」を学べ、なのだ。
なぜなら「文化相対主義」という「違いを認め合うべき」の考えだと、「互いに壁を作って終わりになる」からだ。だからそれより、なぜ同じところで笑い、泣きたくなるのかを探れ!なんだ。よって「異文化理解」で「違い」を強調して教える先生は大間違い。文化も異文化も知らない人。昨今「多様性」が連呼されるけど、行き過ぎは、結局、「相対主義」へと繋がり、ぶつからないことを優先して終わる、暖かそうで冷たい関係になる。
さて、文化の材料としてのアメリカなら、アメリカ人やその社会・文化・歴史が描かれるアメリカ文学、アメリカ映画、アメリカが歌われる音楽などだ。伝達できるだけを目指す英語ではなく人の気持ちを考えて使う英語を学ぶなら、ボクたちの身の回りにはアメリカ文学や文化が溢れているから、そこから学ぶのはどうだろう。お馴染みのところで言えば、スターバックスの命名はアメリカ文学『白鯨』の登場人物からだし、白い鯨モービーディックはアニメの『ワン・ピース』でも「白ひげ海賊団」で登場する。ディズニーランドの船「マーク・トウエイン号」「トム・ソーヤ号」は作家と作品名からだ。化粧品ギャッツビーは作者フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』から取られている。文学を読むのが敷居が高いなら、ここから始めたらどうだろうか。
冒頭に戻り、なぜ英語を学ぶのか。既に書いたように、それは理科や数学や社会と同様に教科授業として学ぶからで、「スキ、キライ」は教科としての好き嫌いなら、「教科」としての英語が終われば、英語との縁が切れる。文化と共にあるコトバとしての英語は、そこでは終わらない。学び方を(教育の方法も)変えてみよう。その勉強の方法が文学、文化にある。そんなことが書かれているのが、この本のボクのページなのだ。
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2025年7月30日
君塚淳一
英語には、“black and white”や“plus or minus”のように、2つの言葉を「and」や「or」でつなげた表現(対句表現)がたくさんあります。こうした表現は、一見すると単語を並べただけのように見えますが、実は順番にも決まりがあります。
たとえば、“white and black”や“minus or plus”という言い方は、特別な意味を込めたいとき以外はあまり使われません。日本語でも「白黒」とは言いますが、「黒白」と言うとちょっと不自然に感じますよね。このように、英語にも日本語にも、よく使われる語順というものがあるのです。
では、次の表現ではどちらの語順が一般的でしょうか?
(1) “defense and offense” それとも “offense and defense”?
(2) “treat or trick” それとも “trick or treat”?
(3) “show and tell” それとも “tell and show”?
(4) “there and here” それとも “here and there”?
実は、これらの語順にはいくつかのルールが関係しています。
(1)は “offense and defense” の方がよく使われます。これは「能動的な行動 → 受動的な行動」という順番が好まれるからです。
(2)は “trick or treat” が一般的で、「短い音 → 長い音」の順番が関係しています。
(3)は “show and tell” がよく使われ、「先に起こること → 後に起こること」という時間の流れが反映されています。
(4)は “here and there” が自然で、「近い場所 → 遠い場所」という空間的な順番が影響しています。
このように、英語の対句表現には、音の長さや意味の順序、距離感など、さまざまな要素が関係しています。
『〈英語を教える〉を学ぶ』では、小学校英語教育の基本だけでなく、こうした英語の面白い特徴についても少しだけ紹介しています。英語の表現に興味がある人は、ぜひ手に取ってみてください。
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2025年6月2日
安原正貴
日本の春を彩る代表的な花は、やはり桜ですね。
イギリスではどうでしょうか? 色々な花で街は彩られますが、春らしさを感じさせるのは、水仙(Daffodil)でしょう。2月頃から白く可憐なスノードロップ(Snowdrop、待雪草ともいう)が冬の終わりと春の訪れを告げたあとに、明るい黄色の水仙の花が、緑の野原を鮮やかに染めていきます。キリスト教圏はちょうどイースター(復活祭)の季節ですので、祝祭的な雰囲気と春の陽気な気分が交わり、明るい気持ちになります。
この花をテーマにした詩で特に有名なものを紹介しましょう。それは19世紀前半のロマン派の詩人ワーズワス(William Wordsworth)が書いた作品で、グリーティングカードにもしばしば見かけます。
I wandered lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host, of golden daffodils;
Beside the lake, beneath the trees,
Fluttering and dancing in the breeze.
私はひとりさまよった、谷や丘の
空高く漂う浮雲のように。
そのとき見かけた、一叢の――
いや一軍の――金色の水仙が
湖の岸辺、木々の陰で、
風に揺れつつ舞い踊るのを。
(川本皓嗣訳、『新編イギリス名詩選』岩波書店)
2025年5月3日
小林英美
今年も保健体育科1年生向けの「スキー実習」の集中授業に同行してきました。2泊3日の志賀高原です。私は指導はしないので、一緒に滑っているだけ(無責任)。天候は3日ともいい天気、雪質良し、北アルプスの山並みも美しく最高でした。さて、英語教師としては、やはり英語表示が気になる職業病。志賀高原でこんな表記揺れがありました(写真上)。左側は「close閉鎖中」ですが右側は「closed閉鎖中」、どっちが正しい?これを見て笑ってしまうのは、私だけではないはず😀。英語がある程度できれば笑えます。
正解は右側です。米国に行くと文で書いているお店もあって Now, we’re open/Sorry, we’re closedってなっています。We’reがついていれば、絶対closedのはずなのがわかるよね。そう形容詞なのです。形容詞closeは「近い」の意味。「閉まった」の形容詞(過去分詞)はclosedですね。しかし、よく街中のカフェでもcloseって書いているところ多いですよね。みんな、「うちは近いよ」って言っている感じかな。動詞だと思ってCloseと書いているんだろうけど、そうすると意味が「閉めろ」って命令文になるでしょうね。ちなみに「僕らは仲良い、僕らは正解に近い」はWe’re closeって言いますね。あと、発音が違うのにも注意してください。
もう一つは非圧雪のコース(写真下)というやつ。コブやフカフカ斜面(不整地)のことです。「圧雪する」はgroomingといいます。いわゆる、髭を剃る、化粧する、髪を整える、などの「整容」のことを指す語で、転じて圧雪することも指すようになったようです。しかし、これはコースを形容するため「圧雪された・されていない」の形容詞で、groomed/ungroomed courseが正解。surprised/surprising、excited/excitingとかの使い分けが我々日本人は苦手で、これも同様の誤用ですね。
不整地は今回頑張って大分楽しみました。コブ練習は志賀高原がいいですね。毎年、英語科生も誘っているんだけど、誰も来ないんだよね。。。でも、私の初等英語科教育法を受けていた体育科・技術科の学生2名に会えたのはうれしかった。体育科の先生方、来年もよろしくお願いします!
2025年4月3日
齋藤英敏
皆さん、ニンニクはお好きですか?私は大好きです。和食ではそこまで馴染みがないかもしれませんが、世界の多くの料理にとって欠かせない食材の一つですよね。中華料理はもちろん、西洋料理でもその風味が料理を引き立ててくれます。さて、今回はそのニンニクを最も美味しくいただける方法をご紹介します。もちろん、これは私が発明したものではありません。某外食チェーン店が提供しているジョージア料理「シュクメルリ」という一品です。柔らかい鶏肉をホワイトソースとチーズで煮込んだ、なんとも食欲をそそる料理です。
私は体質的に牛乳が得意ではなく、白い液状の飲食物には少し抵抗があるのですが、このシュクメルリは別格です。まるでニンニクから食欲を刺激する成分だけを抽出して液体にしたような、万人向けのニンニク料理だと思っています。ニンニクが苦手な方でも、一口食べればその魅力に気づき、人生観が変わるかもしれません。
と、とても詳しいような書き方になってしまいましたが、実際のところ私はそのチェーン店でしかこのシュクメルリをいただいたことがありません。そのお店では定期的に世界各国の伝統料理を「世界の味」として提供してくれる素晴らしい企画が行われており、その中でも最も人気のメニューの一つがこのシュクメルリです。そのシュクメルリは、なんとシュクメルリ発祥の地の市長や在日ジョージア大使も大絶賛しているほどの完成度です。
これだけで驚くなかれ。なんとこのチェーン店の「世界の味」企画はさらに発展し、ジョージア大使とポーランド大使が同店で互いの国の伝統料理を食すという出来事までありました。まさに、日本のチェーン店が「外交」の舞台になったわけです。美味しいお料理は世界中の人と人をつなぐ。外国語科が提供する「国際理解教育」もこのような広い視野で世界の人と人をつなぐことに貢献していきたいものです。
それにしても、私自身毎回新しい異国の料理と出会わせてもらっているこの企画にはとても感謝しています。このチェーン店の商品開発力や企画力には本当に脱帽です。(もちろんポーランドのミエロニィハンバーグも美味しくいただきました。)
期間限定の商品だと思うので、まだの方はぜひお早めにお試しください!
2025年3月1日
青田庄真(英語教育)
英美先生がおかゆについて書いていたのでリレーです。おかゆと言うとこのThe magic porridge potを思い出します。porridge potはおかゆの鍋のこと。大学図書館の2階に行って久しぶりに読んでみました。こんな話だったかと思いましたが、私が小さいころ読んだ本とは絵も違います。英語で読んだのは初めてかもしれないなと思いつつ、私が一番好きなおかゆが町中にあふれ出すシーンはありました。当時こどもだったので、このシーンが強烈なイメージとして残っています。どうやって止めるのかは読んでみてのお楽しみ。ちなみに “make it last”という慣用表現が印象的なシーンで出てくるので、そこにも注目!
これでさらに思い出したのは日本昔話の「しおふきうす」というお話。The magic porridge potと同様で、持ち主以外の人が石うすを使って塩を出して止められなくなるというお話です。英国のThe magic porridge potと同じような物語の展開で、謎の人物が出てきて道具の使い方を教えてくれる、噴出して止まらないなど、人間の思考(欲望?)パターンは万国共通だなと思わされます。こちらは勧善懲悪なのも日本らしいけど、海がしょっぱいのはこの石うすが今だに海底で塩を出しているからというのも、どうにも日本らしい微笑ましいおわりかたで好きです。
2025年2月18日
齋藤英敏(英語教育)
1月7日は「七草粥」を食べる習慣がありますね。「せり、なずな・・・」と唱えることでも有名な7種の野草を入れた塩味の素朴なおかゆで、その年の無病息災を祈念します。一般的なお粥も、多彩な具材を入れる中華粥も基本的に塩味ですが、イギリスのおかゆはどうでしょうか。
イギリスでは、七草粥のように特に縁起物として食べるわけではなく、冬の寒い朝に体を温める最適なメニューの一つです。寒い季節にイギリスの宿に泊まると、提供してくれることがあります。煮込むのはコメではなく、オート麦や豆類です。
さて興味深いのは味付けです。
塩味のお粥もありますが、お砂糖や蜂蜜を入れる甘いミルク粥もあるのです。写真は、とある宿で提供されたミルク粥で、茶色く盛られた付け合わせは、砂糖です。これを適量投入して、よく混ぜて食しますと、なかなか美味しい。ミルクの量によっては、その香りが強くなるので、それがちょっと苦手という人もあるかもしれませんが。
いつかお試しを。
2025年1月29日
小林英美 (イギリス文学)
「今年の漢字」というイベントを毎年年末に清水寺(漢検主催)でやっていますので、それにならって「今年の英単語」を選びました。今年出会った単語の中で選びたいのはdivestment/divestです。入試には出てこないと思いますので、覚えなくても大丈夫です。investmentはご存知でしょう。こちらはお持ちの単語集に絶対出てますね。divestmentも意味的にはつながっていて、辞書では、株などを売却、売渡すことが基本の意味のようです。今年、米国の大学で盛んにこの単語が使われていました。いわゆる東部エリート校(コロンビア大、ハーバード大など)の学生を中心に、イスラエルへ資金援助をしている企業から研究資金援助を大学が受けることや、兵器製造に関わる企業への大学の投資などを非難する運動が巻き起こりました。報道で彼らが持っていたプラカード(写真)に多く書かれていたのがdivestmentと動詞のdivest fromです。いずれも「投資の撤収、引き上げ」という意味になり、ちょうどinvestmentの逆ですね。つまり、イスラエルへの援助につながる大学資金のやり取りへの批難です。イスラエル、パレスチナ問題は難しい問題で簡単にコメントできませんが、はっきり言えるのは英米欧が引き起こした問題であり現在もそれをひきずっています。明るい単語を選べないのが残念ですが、来年は二つの戦争が終結して明るい単語が選べることを祈って。
※画像はイメージです
2024年12月31日
齋藤英敏(英語教育)
先日、茨城県内のとある高校で出前授業をしてきました。教育の機会均等と教育内容の多様性について、50分間で大学の授業を体験してもらいました。高校までに生徒として当たり前に目の前にしてきた〈教育〉も、少し疑いの目を持ってみると、不思議なことや上手く説明できないことが山ほどあります。教育学は、人間としての成長や社会の形成にもかかわるとても奥深い学問です。これをきっかけに、「もっと学びたい」と思ってくれる人が少しでも増えれば嬉しいです。
ちなみに、今年度は私はこれで2校目でした。今回のような企画は各高校の発案で、依頼をいただけば私たちも可能な限りお引き受けしています。高校生にとって大学の授業が体験できる機会としては、オープンキャンパスが一般的(※茨城大学は毎年7月下旬の土曜日)ですが、今回の受講者にも茨城大学のオープンキャンパスでは模擬授業は予約がいっぱいで受けられなかったという人がいました。私の模擬授業もありがたいことに毎年たくさんの予約をいただいています。というわけで高校発の企画も歓迎ですので、高校生もぜひ主体的に大学と関わってみてください。
※許可を得て公開しています
2024年11月30日
青田庄真(英語教育)
ミスドは一人です
ドーナツを嫌いな人は少ないと思われますが、私が好きなのはオールドファッションですね。もう一つホームカットというのがあるのですが、普段は見かけません。と言っても、ミスドももう何年も行ってません。禁白砂糖(努力目標)にしてから行けてませんね。それでも時々オールドファッションが食べたくなりますが。
それで、この写真を見るとわかりますが、実はミスドはMr. Donutなんです。そう、単数です。つまりカタカナにすると「ミスター・ドーナット」。そらそうですよね、Mr.なんだから一人だけなので、複数が後ろに来るわけがない。でも日本では「ドーナツ」と複数形のカタカナが一般に広く使われているので、カタカナにしたときに単数にしなかったんですね。ダスキン(親会社)がこれを決めるときに悩んだかどうか。
ちなみに似たような例でチャンツがあります。チャンツはメロディのないラップのような曲を指します。ご存知でしょうが、小学校英語教育では必須の活動です。これ一般にカタカナでは複数でチャンツと表示されています。たとえ一曲だけを指していても。可算名詞なのでここに違和感を感じています。教室英語ではLet’s sing a chant!と単数で言ってください(もちろん1曲だけ歌うときsing a songと一緒)。
ある意味これとは逆なのが、オールドファッションですね。英語にすると実はold-fashionedになります。意味はご存知だと思います。誰かが(ダスキンの企画・宣伝部でしょう)カタカナにするときに-edを落としたのですね。写真のように英語表記でも-edはついていません。ちなみに手元の辞書にはold-fashionと言う-edのついていない単語は出ていません。形容詞なので-edを落とすのは痛いところです。ま、ファッションというカタカナが古くからあるので、オールドファッションドにはできなかったのでしょう。「言いにくい」と社内でも反対の声が上がったに違いない。オールドファッションの話を書いていると食べたくなってきたな。禁を破るか。。。
2024年9月29日
齋藤英敏(英語教育)
英語で「羊」は “sheep”。複数形でも“s”を語尾につけないので、“sheep”のまま。
眠れない夜の呪文「羊が1匹、羊が2匹…」も、“one sheep, two sheep, three sheep…”というように、語尾に“s”はつかないので、語尾の“p”という空気を漏らす柔らかな響きがなんとも心地よく、いつの間にか夢の世界にいざなわれます…
複数形の印として“s”を語尾につけるようになったのは中世で、一説によると、鹿(deer)等と同様に「食用」だったからとか。ちなみに「子羊」(lamb)は複数形では“s”をつけますが、食肉にすると“s”をつけません。
ところで最近、大学構内でキッチンカーが営業をしています。色々なお弁当やスイーツを提供する移動店舗ですが、中東料理ケバブもあります。イギリスに滞在する時にはたびたび食しますが、ラム肉のケバブがポピュラーです。
日本ではラム肉を使ったケバブはレストラン以外ではほとんど見かけませんが、ラム肉の癖が独特だからかもしれません。私は大好きなのですが…
さて写真は、イギリスでのバスの車窓からの1枚。良く見かける光景です。広大な緑の牧草地に点在する無数の白い羊たち―――数えているうちに眠くなりませんか?
2024年8月20日
小林英美(イギリス文学)
今月上旬に茨城県日立市にある泉神社を訪れました。この神社はすごいんですよと学生から勧められたのがきっかけです。この場所はテレビでも2024年最強の開運神社として紹介されたようです。今年は辰年ということもあり、泉神社では泉龍木(せんりゅうぼく)という龍の姿に似た大木を拝見することができて、パワーをもらえそうな気持ちになります。
また、願いを込めて厄石に向かって投げ割ると災いや厄難が打ち砕かれると言われている厄割玉(やくわりたま)もあり、実際に投げ割ってみました。この日はちょうど、茨城県の教員採用試験の二次試験が実施されていたときだったので、受験生の合格をお祈りしました。湧き水もとてもきれいで素敵な場所ですので、ぜひお立ち寄りください。
2024年7月30日
安原正貴(英語学)
英語科の在校生の中でも結構スタバはバイト先で人気がありますね。私も良く行って仕事しています。ふと先日紙ナプキンを眺めていると写真のような文字に今さらながら気づきました(英語科の店員の皆さん知ってた?)。roastingはもちろん豆を煎ることですが、sourcingとは?名詞のsourceはよく見ます。例えばこんな文ですね。
Fruit is a good source of fiber.
The Internet is one of the most important sources of information for me.
繊維質をとる摂取源、重要な情報源などで使われる「源」と言う意味です。さて、動詞で使うとどんな意味でしょうか。実は最近カタカナでアウトソーシングという単語をよく聞きますよね。外部から調達する(人材などを外部から派遣してもらう)という意味です。その元の語でoutを取ったものなので「調達してくる」のような意味になります。
ちなみにコロッケにかける方はsauceで発音的にはほとんど区別ができませんが、スペリングも意味も異なります。意味はもちろんソースですが、ソースと言うと日本人はどうしても茶色い調味料のウスターソース(Worcestershire sauce)を思い出しますよね。米国ではcranberry sauceやapple sauceなど甘いフルーツ系のソースを肉に添えてさっぱりいただきます。でも私などはこのフルーツ系ソースが好きでそれだけで向こうにいた時食べてました(笑)。
話を戻します。スタバのサイトを覗くと豆の調達先は南米、アフリカ、アジア・太平洋となっていますが、ハワイは入ってないようですね。ハワイのコナ・コーヒーは高いですからね。ちなみに豆を挽かなくてもハワイのはコナです(オチ)。
2024年6月20日
齋藤英敏(英語教育)
ある日,先輩教員が私の研究室を訪れテーブルの上の小さな置物を指さしてこう言いました。「これ,かっこいいですね。もしかしてビャンビャン麺のビャンですか?」正直,私はその言葉の意味がさっぱり分かりませんでした。というのも,その置物はかつて中国からの留学生にプレゼントされたもので,どういう意味があるのかも知らないまま,縁起が良さそうだと思って飾っていたからでした。どうやら,日本のコメディアンのネタにこの漢字を題材にしたものがあるようで,後からたまたま別の人から聞いたところによれば,そのネタのおかげで日本の小学校2年生でもこの漢字を書けてしまうそうです。置物が1つの漢字を表していることを初めて知り,その画数の多さに驚いたという体験でした。
それを知ると居ても立っても居られません。家族で水戸市内のショッピングモールに行った際に,たくさんの輸入食品を扱っているお店に立ち寄ってみました。店内を見て回っていると,お店の一角で例の漢字がパッケージに踊っているではありませんか。ビャンビャン麺が売られていたのです。自宅で見よう見まねで調理していただいてみると,程よいピリ辛ともちもちした食べごたえのある麺がたまらなく美味しかったです。何気ない置物の裏にこんな世界が広がっていたのか・・・。世界には(そして日本はもちろん,自分の研究室の中にも)まだまだ知らないことがいっぱい。視野を広げてくれた同僚に感謝です。これからも新しいことを学んでいきたいと思います。
2024年5月31日
青田庄真(英語教育)
異文化理解教育を教えていると、普段から「文化」が気になって仕方がない。毎朝、千波湖を早朝ウォーキングしているボクは、季節の変化には敏感で、このところ「桜」が気になっていた。今の時期は(4月後半)、ソメイヨシノや山桜、しだれ桜のあと、八重桜が満開だ。それにしても日本文化と桜の関係は奥が深いなあ!と思いつくまま書いてみよう。
歩いていると、すでに散ったソメイヨシノの花びらが、地面や千波湖の水面に敷き詰められている。そんな様子を日本の人は昔から、前者を「花筵(はなむしろ)」、後者を「花筏(はないかだ)」と呼んで、散ったあとでさえも愛でてきた。我々がどれほど桜への気持ちが深いことか、改めてびっくり、でも桜への愛はそれだけではない。
「桜」と言えばやはり「お花見」(大昔は梅であったそうだ)だが、大衆文化では、ボクが大好きな落語の中の「長屋の花見」が一番に浮かぶ。また「桜」を歌う歌詞なら、森山直太朗の「さくら」やコブクロの「桜」、谷村新司と加山雄三の「サライ」などが定番だろうけど、桜を歌うJPOPのなんと多いことか。それは3月から4月が年度の変わり目で、別れと出会いの季節だからだろう。それが美しい桜の花と散る悲しさに合うんだな。いきものがかりの「SAKURA」なんて歌詞がそのものずばり。ケツメイシの「さくら」もこの時期よく耳にする。だがここでは個人的に大ファンのエレファントカシマシの「桜の花舞い上がる道を」をベストワンにあげさせてもらうことにする。
学校勤務だから、桜は「入学式」のイメージが強い。昔の受験生には、「サクラサク(咲く)」と「サクラチル(散る)」という入試の合否電報フレーズがあった。説明しておくと、かつては、大学の合格発表は受験番号を学内に張り出すのみ。見に来られない人に、合格電報を送る、大学とは無関係の商売(電報屋)が、なんと!公然とキャンパス内で存在していた。もちろん合格通知は2・3日中に郵送されるけど、それまで待てないからだ。
インバウンドで訪れる多くの外国人旅行者が、日本のSAKURAが「美しい」と観光に入れているのも興味深い。日本人の精神構造に根づく「桜の短期間で咲き散るはかなさ」への思い(感情)と外国人旅行者の感覚には差異はあるだろう。だけど、それが究極の異文化で、面白いところなのだ。
「同期の桜」というと戦争の悲劇を思いだす。この軍歌の「咲いた花なら散るのは覚悟、みごと散りましょ、国のため」は、桜の花の「散り際の潔さ」そして「桜の美しさ」を、兵士に「死」を美化させるという当時のフレーズで、第二次世界大戦時によく歌われたもの。ネタバレになるけど、アカデミー賞を受賞した『ゴジラ-1.0』では、死への恐怖から特攻隊として敵にゼロ戦で突っ込んで行けず、故障だと嘘をついて島に不時着した神木隆之介演じる兵士・敷島浩一が描かれる。「死に損ない」という負い目から、最後は「国のため」とゴジラ相手に死を決意して任を果たそうとするストーリーだ。さて昔はカラオケで歌う年配の方もいたこの軍歌だが、今はもっぱら、そんな過去の意味をよそに、同期生を「同期のサクラ」と称してフレーズだけが使われたりする。ことばの不思議、また世代間の異文化だ。
「食べてしまいたいぐらい好き」とよく言うが、結局は「好きすぎて」桜も食べてしまう日本の人たち。言うまでもなく「桜餅」は、餡を桜色のクレープ状の皮(小麦粉を水で溶き薄く焼いたもの)で巻き、塩漬けの桜の葉で包んだ和菓子。一方で「道明寺」は蒸したもち米を乾燥させて粗びきした道明寺粉で餡を包んだお餅。前者が関東、後者が関西風の桜餅。岡山の大学に勤務していた20年ほど前には、桜餅といえばまだ道明寺しかなかった。また「塩漬け」した桜の花は「桜茶」として飲まれる。ほんと、日本の人は桜が好きなのだ。
「この桜吹雪(遠山桜)に見覚えがないとは言わせねえぞ!」という名台詞で啖呵を切り、上半身の着物を開けて「背中に入った見事な桜吹雪の彫り物」(今でいうタトゥー:入れ墨)を見せる人気テレビ時代劇の『遠山の金さん』。実は遊び人のふりをして彫り物を見せながら今で言う「潜入捜査」みたいなことをする北町奉行の遠山金四郎景元。最後は捕らえられた悪人どもが、白を切って悪事を認めない。罪を認めさせるため自らが証人だと示すために、その彫り物を見せて観念させ、裁きを下すのが毎回の展開なのだ。代々、中村梅之助、杉良太郎、松方弘樹、高橋英樹など有名な俳優さんたちが演じてきたドラマで、『水戸黄門』シリーズの次に人気の番組だった。タトゥーは若い世代には、海外からの影響でファッションとして考える人も増えているとはいえ、まだまだ抵抗感もあると思える昨今の日本。そんな中、放映当時はだいぶ前。毎回、金さんが「タトゥー」を出すのを楽しみにしている視聴者も、彫り物自体が「桜」だからかしらんと勘ぐってしまうのだ。もちろんテレビドラマの『水戸黄門』の「印籠の場面」と同様にドラマのクライマックスではあるからだけど。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」とは、桜は枝を切るとそこから腐りやすく、梅は枝が出放題で切って剪定した方がよいことからのフレーズだと言う。そういえば、和島香太郎脚本・監督、加賀まりこ、塚地武雅出演の映画「梅切らぬ馬鹿」(2021)という映画を以前に映画館で観た。「樹木の育て方もいろいろ、人間の育て方もいろいろ」と主張する内容で、こちらは主役が桜でなく梅の方だが、とてもいい映画だった。
桜は花が散ると、途端に毛虫や芋虫が葉に発生する。それでゴールデン・ウイーク前後の早朝に薬剤が散布されていることが多い。朝早く、仕事に行くため地元の駅に向かう途中、散布中に出くわし桜並木の下を歩いたことが何度かある。このタイミングが最悪なのは、上からボタボタと毛虫が落ちてくるからだ。そんなときは、急いでカバンから折り畳み傘を出し、さして足早に歩く。桜吹雪のあとは毛虫吹雪だ!なんちゃって。そう、虫と言えば、小学生のころ、自宅近くの大きな桜の木には、ときどき、「七色に輝く玉虫」がよく、くっついていて捕獲してともだちに自慢していた幼い頃のことまで思い出した。
・・・となんと、こんなにも桜について思いつくとは、ボクも「桜」が好きなんだなと実感した。 あああああ! もうすぐゴールデン・ウイークだ、桜の並木道のために折りたたみ傘をカバンに常備だ。
2024年4月27日
君塚淳一(アメリカ文学)
「○○のパイ包み」って料理もあるから、「パイ」がスイーツとは限らないことは知っていたという方―――では「プリン」はいかがでしょう?
「プリン」は“pudding”(プディング)と表記しますが、本来はイギリスの家庭料理の一種の名称で、甘くない「プリン/プディング」もあります。日本の甘いプリンの原点は、江戸時代末期に伝わった時の「カスタード・プディング」――つまり、たまたま甘いプディングの方が伝わって、「カスタード」という語が次第に省略されることがふえて「プリン」だけが残り、日本の「プリン」のイメージになったわけです。
甘くないイギリスの家庭料理プディングの代表的なものを一つ紹介しましょう。「ヨークシャー・プディング」です。日本でも有名なロースト・ビーフのつけ合わせとしてよく食べるもので、分厚いシュークリームの皮の食感をイメージしてもらうと良いでしょう。
写真の皿の左側に添えてある茶色のパンのようなものが、「ヨークシャー・プディング」。肉汁で作られたグレービーソースをつけて、お肉と一緒に食べますと、それはそれは美味しいです。いつかお試しを。
2024年3月31日
小林英美(イギリス文学)
日本で「パイ」と言えば、アップルパイのようなスイーツの印象が強いかもしれません。英米でも甘いお菓子としてのパイは有名ですが、お料理としてのパイに出会ったことはありますか?
写真は「Steak and Ale Pie(ステーキ・アンド・エールパイ)」―――イギリスの居酒屋の定番の一品です。もちろん、スイーツではありません。サクサクのパイを砕くと、熱々のビーフシチューのようなものが流れ出てくるので、パイとからめて食します。煮込むのにエール(ビール)を使っていますが、アルコール分は飛んでいるので気になりません。美味しいイギリス料理のひとつです。いつかお試しを。
2024年3月25日
小林英美(イギリス文学)
朝と夕方に家の周りを散歩するのが日課です。水戸市内に住んでいますが、中心地から離れたところに自宅があります。ウサギやタヌキ、イノシシ、リスなどをたまに家の周りで見かけるほど豊かな自然に囲まれています。実際、家の周りは鳥獣保護区に指定されていて、至る所に写真のような標識が設置されています。ここでクイズ!「鳥獣保護区」を英語にするとどうなるでしょう?
標識に英訳が書かれていましたので読んでみます。「鳥獣」はwildlife、「保護区」はprotection area、「県」はprefecture、そして「茨城」は地名なのでそのまま読んで、Ibara...gi!? 県外出身の人が標識を作成したのだろうか。他の場所に設置してある標識を見たらIbarakiになっていました。これからも動物を保護していきましょう。
2024年2月21日
安原正貴(英語学)
このコーナーの第1回目ということで、まずは能登地震で被災された方には心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復旧をお祈りしております。
私は、昨年12月の終わりに家族でロッテあらいリゾートという素敵なスキー場を訪れました。外国人の宿泊客が大半を占め、ここどこという感じがいたしました。ゲレンデ中央にあるビレッジという名の施設(ゴンドラの発着所)には洒落た珈琲店が入っていました。そこのゴミ箱に思わず笑ってしまい一枚撮影。No Pet!とは。さすがにゴミ箱にペットを捨てる人は。。。正しくはNo Plastic Bottlesです。下に書いてありますね。ちなみにペット禁止はNo Petsの方が普通のようですが。
ペットで驚いたもう一枚。ゲレンデで犬を散歩させている人がいる!と思ったら救助隊の方でした。私もベテランスキーヤーのつもりですが、ゲレンデで救助犬を連れているのを初めて見た気がしたので一枚パチリ。ゴミ箱に気をつけてくださいませ。
2024年1月17日
齋藤英敏(英語教育)