量子統計力学の深奥 その1

熱揺らぎとは何か?

first appeared: 2011/08/26, last update: 2011/09/08


今、長年やってきた統計力学の講義ノートを、「統 計力学の基礎」という本にする作業をしている。例によって、教科書にするからには、講義で触れなかった深い話も、(僕の本を読んだことがある方な らご存じの)「スペードマーク」を付けた節に書く方針である。


こうした深い話というのは、どの教科書にも論文にも書いてなかったり、書いてあったとしてもきわめて不十分・不正確なことが多い。だから、友人の物理学者 たちに相談したりしながら、自分の頭でいろいろと考えるわけだが、しばしばその内容は、既知の物理学の整理にとどまらず、新しい発見になってくることすら ある。(「熱力学の基礎」の時は、そういう話をひとつ論文にして出版したこともある)。


「統計力学の基礎」も、「スペードマーク」ネタは尽きない。そのうちのいくつかを、雑記帳に書くことにした。その手始めとして、杉浦君との研究でわかってきた事を少しずつ書く。その第一弾は、熱揺らぎとは何か?である。


(これはつまり、量子統計力学の深奥その1の中の、杉浦君との研究ネタ のその1。)