東大出版会から2007年3月に出版されました
(ISBN: 978-4-13-062609-5)
東大出版会から2007年3月に出版されました
(ISBN: 978-4-13-062609-5)
複合系であっても成り立ち、どんな相転移があっても成り立つような、正確で一般的な 熱力学を、1年生にも判るように書く、ということを目標にしている本 です。
東京大学教養学部の理科I類1年生向けの講義ノートをもとにしています。
理科I類は、物理を専門に学ぶような学科には進まない学生さん が大多数ですが、講義のアンケートを見る限りではわかりやすいと言ってくれています。
いきなり一般原理を提出するので、最初のうちは???と思うようですが、読み進むうちにぐんぐんわかるようになるそうです。
簡単な紹介
日本物理学会誌 Vol. 63 No.9 (2008) p.724に、高名な数理物理学者による書評が載っていますので、そちらもご覧ください。
本書の特徴
熱力学は、現代の物理学の骨格をなす理論のひとつだが、その基礎的な部分の論理構造が、量子論や統計力学に比べて難しい。本書は、この熱力学を再構成し て、簡潔で美しく普遍的な理論として、初学者にもわかるように提示する新しいタイプの教科書。
歴史的な発展を追って理論を組み立てていく類書と異なり、美しく再構成した理論を提示。
相加変数を基本的な変数にとることにより、温度を基本的な 変数にして議論をする類書とは異なり、相転移があっても破綻しない堅固な論理構成。
単純系だけでなく複合系にも適用できる一般的な原理を提示。
さまざまな熱力学関数を結びつけているルジャンドル変換を、1章を割いて詳しく解説。
既習者の多くが苦手とする一次相転移もきちんと解説。
筆者の知る限り、あらゆる既存の教科書の中で、もっとも広い適用範囲と正確 さを併せ持っている本です。(それは相加変数を基本的な変数にとっているからとか、きちんと特異性のある関数に対するルジャンドル変換を 使っているから、なども大きな理由ですが、それ以外にも、たとえばこん なことがあります。)
目 次(ページ番号は書籍と異なります)
熱力学の意義(熱力学なんか不要だと思っている人は読んでみてください)
熱力学の様々な流儀とこの本の流儀について(熱力学の教科書なんかどれもたいして違いはないと 思っ ている人は読んでみてください)
相転移をきちんと理解するためには、特異性のある凸関数とそのルジャンドル 変換の知識が必要ですが、それをまじめに書いてます。たとえば、
熱力学に有用な凸関数の定理
相転移があるときの正しい自由エネルギーのグラフの例
特異性のある凸関数のルジャンドル変換の実用的な計算法
熱力学が、統計力学や場の理論に制約と知見を与えることも書 きました。
正誤表など
初版第1刷から初版第2刷への加筆・修正・変更点(PDFファイル)
初版第2刷から初版第3刷への加筆・修正・変更点(PDFファイル
初版第3刷から初版第4刷への加筆・修正・変更点(PDFファイル
初版第4刷から初版第5刷への加筆・修正・変更点(PDFファイル
初版第5刷から初版第6刷への加筆・修 正・変更点(PDFファイル
初版第6刷から初版第7刷への加筆・修 正・変更点(PDFファイル
初版第7刷から初版第8刷への加筆・修 正・変更点(PDFファイル
初版第8刷から初版第9刷への加筆・修 正・変更点(PDFファイル
初版第9刷の印刷後の 加筆・修正・変更(PDFファイル)(随時更新中!)
教員の方へ: 本書を教科書にして講義される教員の方のための御参考
NEW!
熱力学の論理構造の本質は、本書を読めば十分わかるのですが、念のため解説した7.5節を付加することにします。
重力などにより不均一な平衡状態が生じるときにも、本書の論理体系で全て解析できます。new: 第2版できっちり解説しました!(前に公開していた簡単な解説よりずっと拡充しました)
本書では、具体例としては化学反応には触れていませんが、もちろん化学反応にも適用できます。new: 第2版で化学熱力学を解説しました!(前に公開していた簡単な解説とは比べられないほど拡充しました)
p.333脚注11で触れた、相境界の次元に関する一般公式を、J. Phys. Soc. Jpn. 77 (2008) 104001に公表しました。new: 第2版でその使い方を含めて解説しました!
本書に書かれた凸関数についての「数学の定理」の証明(p.86 脚注5参照)を、数学者の戸松玲治さんが公開してく ださいました。