組織パターンでScrumを微調整する

Scrumは説明するのは簡単だが実践するのは難しい」――このセリフはもう100万回ぐらい聞いただろうか。手元の「Scrumできるかな?」リストは熟読した。これに従いさえすればScrumをうまくやれるはずだ。ところがScrumでも失敗はする。しかもその理由は必ずしも明白だとは限らない――死んだ当人には死因がわからないものだ。Scrumには50以上の組織パターンが含まれており、そのひとつひとつが実際にScrumをうまくやるために欠かせないのだ。パターンを知れば、Scrumを実践する上での問題を見つけ、それを治すことができる。本セッションではハンズオン形式でその方法をお伝えしよう。

セミナーの説明

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本セミナーでは、組織パターンをつかってScrumによるプロジェクト運営を改善する方法を学ぶ。組織パターンのひとつひとつは小さく、局所的に取り入れてScrumを強くしていく。パターンとは他の組織でもよく見られる問題に対する解決策を表現したものであり、当然のことながら、少しずつ現場で試しながら適用していく。パターンはアジャイルプロセスの改善にも役立つのだ。

本セミナーで紹介するパターンは、パターンのコミュニティ(PLoP)での多岐にわたるレビュープロセスをくぐり抜け、確かにさまざまなところで再現していると認められたものだ。さらにいえば、それぞれのパターンは、全員ではないが世界中にいる先導的なScrum実践者にもじっくり検討してもらった。さて彼らの反応やいかに?

本セミナーでは組織パターンを3つに分類する。

第1のグループは、Scrumのフレームワークにそのまま当てはまる。例えば Firewall という、開発者から厄介な問題を遠ざけておく係を置くパターンがある。Scrumでこの役割を担うのは誰だろうか? Scrumマスターはチームを守るが、そのために自身がFirewallとなる。もう少しわかりづらい例としては、プロダクトオーナーもまたFirewallなのだが、その実現方法は、要求を追加するのはスプリント単位に限るというやり方によるものだ。ではマネージャについてはどうだろうか。マネージャはFirewallたりえるだろうか?(Patron Role のパターンも参照されたい)

第2のグループは、Scrum実践の心構えに関するパターンだ。これはScrumのフレームワークそのものには含まれていないが、良い習慣と見なされている。たとえば、Get on with it パターンがそうだ。このパターンでは、何かを始めるにあたり、完璧で満足のいく計画がなくても、現時点の情報をもとに最初のプロダクトを構築すべく前へ進んでいく。

第3のグループは、Scrumのプロセス改善をより効果的にする考え方や話し合いのヒントになるパターンだ。たとえば、Face to Face Before Working Remotely (離れて作業する前に会う)パターンがこれにあたる。地理的に離れて作業するチームがうまくやっていくためには、離ればなれになるより前に、チームメンバー同士が顔を合わせる時間を確保することは見逃せない成功要因だろう。

セミナーの終わりには、あなたはパターンをつかってどうやって実際のScrumプロジェクトの弱点を見つけ、改善していけばよいかがわかるようになる。