売国の慰安婦合意、背信の原発再稼働

公約違反と売国政策を進める安倍政権は、本当に保守政権なのか?

「戦争参加法制」には、多くの市民が反対していたが、いざ安倍政権が強行採決を行うと、一時的には政権支持率が低下したものの、現在は再び支持率が不支持率を上回っている状態となっている。特に、保守派の間では、安倍政権への支持は根強い、とされている。

だが、安倍政権の政策を検証してみると、浮かび上がったのは「保守」とは程遠い、公約無視の「背信政権」の実態であった。

註:この記事では、外部の方にもわかりやすくするために、年代表記に西暦を用います。

全然守られていない!「できることしか書かない」はずの公約

「原発に依存しない社会をつくる」(2012年衆議院選挙公約)

「配偶者控除は維持する」(2013年参議院選挙公約)

安倍晋三は、2012年の衆議院選挙において、自身が総裁を務める自民党の公約について、「公約には、できることしか書かない」と訴えて圧勝、総理大臣に就任した。

だが、実際には、数多くの公約が実行されていない。「できることしか書いていない」はずの公約が「できない」とは、どういうことだろうか?それとも、「できるけれども、やらない」ということなのだろうか?

今も自民党のHPには「自民党では、実現できる約束こそが、本当の公約と考えます」と書いてあるが、上記のように全く実現できていないところを見ると、自民党が発表したものは「本当の公約では、ない」ということなのだろうか?

国益を害する「日韓慰安婦合意」

安倍首相による左翼的・反日的な政策は、はっきり言って、山ほどありすぎる。「新政未来NEWS」で述べた子宮頸がん予防接種の問題もそうだが、中でも極め付けなのが、昨年12月28日の「日韓慰安婦合意」である。

この合意について、安倍首相は「慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決された」と述べたが、この合意内容は、慰安婦の連行に対する「軍の関与」と「政府の責任」を日本側が事実上、認める内容となっている。よく「従軍慰安婦」という言葉を使用するマスコミがあるので誤解している人も多いが、慰安婦は従軍カメラマンや従軍看護婦とは違い、軍属(従軍)ではない。娼婦を軍属にして軍部が直接管理する、などということは、常識的に考えてありえないことである。ところが、今回合意で安倍首相は「軍の関与」どころか、「政府の責任」まで認めてしまったのである。そのような合意を「最終的かつ不可逆的に」行ってしまった以上、日本政府はこれからずっと、この歴史改竄に基づく国辱的な合意を守っていかなければならないのである。これが、本当に、保守派の行為なのであろうか?

高浜原発再稼働の強行

もしも、ここが、事故でも起こしたりしたら、近畿地方が壊滅する――そんな「爆弾」を、安倍政権は使おうとしている。高浜原発のことである。

高浜原発は50キロ圏内に琵琶湖がある。もしも、この琵琶湖が汚染されると、京都・大阪・奈良といった、様々な地域の水が汚染されてしまう。

「いや、琵琶湖は30圏内に入っていないから、大丈夫だ。」――もしも、本気でそう思っている方がいるとしたら、その誤りを指摘しておきたい。東日本大震災における福島第一原発事故の際には、福島から遠く離れた東京において、石原慎太郎東京都知事(当時)が「乳幼児は水道水を飲まないように」という指示を出した。東京の水道水からも放射能が検出されたからだ。橋下徹大阪市長(当時)が「脱原発」を表明したのも、敦賀原発や高浜原発、大飯原発が事故を起こして琵琶湖の水が汚染されると、大阪の水が飲めなくなる、という危機感からである。

裁判所は、一度、原発再稼働を認めない判決を下した。原発再稼働は『日本国憲法』第13条における国民の幸福追求権を侵害する、という判断であった。ところが、数か月後に裁判所の人事異動があり、逆に原発の再稼働を認める決定を下ったのである。『日本国憲法』の規定の欠陥と『「地球共生・地方分権」型自主憲法』確立の必要性については、本党が昨年12月に発行したパンフレット『憲法論議を国民の手に!』で述べたので、そちらも参考にしていただきたい。ここで指摘しておきたいのは、裁判所の人事権は政府にある、ということである。即ち、『日本国憲法』によると、地方裁判所を含む下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が作成した名簿に基づいて政府(内閣)が任命する。名簿を作成する最高裁判所の長官は政府の指名によって天皇が任命し、残りの最高裁判官も政府の任命であるから、政府が指名・任命した裁判官の作った名簿によって政府が人事異動を決定すると、高浜原発再稼働を認める裁判官が福井地裁にやってきた、ということである。

その政府の与党である自民党は、2012年の衆議院選挙で「原発に依存しない社会をつくる」ことを公約としていた。にもかかわらず、高浜原発の再稼働に異常な執着を見せている。「エネルギー安全保障の観点からも原発は必要」という人もいるが、原発の燃料であるウランも輸入燃料であり、今回の高浜原発で使用されるMOX燃料も核燃料サイクルを可能とするものではない。第一、事故の起きない機械は存在しない、というのは世界の常識だが、太陽電池や地熱発言所が壊れても、原発のように何十万年も残り続ける核のゴミは出ないのだ。原発は事故の時のリスクがほかの発電と比べて、格段にリスクが多い。事故が絶対に起きない機械はない以上、原発のような危険すぎる機械は稼働させるべきではないのだ。

初出:『新政未来』創刊号(平成28年2月1日発行)

※ネットに掲載するにあたり若干の加筆を行っています。