15.『知性について』

科学とは何か?

『論理について』で述べたように、

ものごとの関連には、三つの関係がある。

「ものごとの定義」をあらわす所属(集合)の関係

「部分の合計は全体である」という組み合せ(演算)の関係

「ものごとの変化」をあらわす因果(確率)の関係

あるものごとの関連に、ある関係が成立すると仮説を立て、

そしてその関係を検証するため、データを採り、統計的に分析する。

検証が十分にされたなら、その関係は「確実」となる。

これを「真実」または「普遍的な法則」とするのが科学である。

たとえば、「風が吹けばリンゴが落ちる」と仮説を立てたとする。

リンゴ園でデータを取り、落ちたリンゴの数と風の強い日に、

比例的な関連があるとしたら、その仮説の信憑性は上がる。

実験室にリンゴの木を持ち込んで、人工の風を当ててデータを取れば、

より正確な関連がわかる。

さらにその原因の仮説を詳細にし、実験を繰り返す。

より関連を引き起こす様々な条件が明確になる。

こうして、この関係を「普遍化」に近づける。

これが科学である。

別の例を上げよう。

AとBを反応させるとCになるという仮説を立てる。

それを理論的に証明する。

しかし実験で、それが実証できない。

1度でも実験によって、その反応が認められたならば、

仮説はより信憑性が上がる。

だが一度も成功しないとしても、

仮説が真実ではないと言い切れない。

逆に何回も実験で成功ていても、

それが真実でない場合もある。

そして実験の出来ない仮説もある。

その仮説に矛盾が生じないこと、

反証出来ないことが、

その仮説の信憑性を上げる。

信憑性を上げ、より普遍性に近づける。

そして仮説は、より真実に近い仮説となる。

それを突き進めるのが「科学」である。

そして、これらの仮説思考を明確にして、

偏見に左右されることなく、

真実を探るのが、「知性」である。

(2019.8.23)