新たに診断されたばかりの方へ

WAGR症候群ってなに?

WAGR症候群の人はそれぞれみな違います。リストにある全ての病気を持っているWAGR症候群患者さんはいません。ある症状があったとしても、軽度か中等度である可能性もあります。

WAGR症候群に起こりうる状態を学ぶことは、困難で圧倒されることもあるでしょう。しかし、病気を知ることはあなたの子どもに必要な助けを得るためのファーストステップになります。

あなたにはできるし、一人でそれをやる必要はありません。IWSAの家族たちは、情報や励まし、実践的なアドバイスによってあなたをサポートするためにここにいます。

さらなる情報はこちら:WAGR症候群とは何でしょうか

IWSAとは何ですか?

International WAGR Syndrome Associationはアメリカを拠点とする501(C)非営利団体で、WAGR症候群と診断された家族や患者さんを代表し支援しています。

IWSAのミッションは、WAGR症候群の知識を広め、研究を促進し、WAGR症候群に関わるご家族を支援することです。

WAGR症候群の合併症について学び、WAGR症候群の子どもや大人とつながることは、WAGR症候群と診断されたことについて理解しうまくやっていく上でとても大きな意味をもたらすでしょう。IWSAの家族たちは、助けになる経験や実践的なヒントを共有し、かけがえのない共感と支援をもたらすことができます。

このウエブサイトには、情報や情報源となるものとともに、世界中のWAGR症候群コミュニティにつながるための様々な方法が掲載されています。IWSAは、会員限定のフェイスブックグループ(親と主な介護者のみの参加)や公開のフェイスブックページ、メールニュースによる情報発信、WAGR Weekendと呼ばれる年に一度のカンファレンスを主催しています。

IWSAとその参加家族たちは、新しいご家族をあたたかく迎え、参加は無料です。WAGR症候群の患者さんを愛しているならば、ぜひ仲間になってください!

WAGR症候群の診断をどう受け止める?

妊娠中、たいていの親は自分たちの子どもに希望と夢を抱いているものです。赤ちゃんがWAGR症候群であると診断された時、その希望と夢は突然、ショックと困惑に変わってしまいます。このセクションでは、多くの親が経験する感情のいくつかを取り上げ、この診断が結婚やあなたの兄弟、家族や友達に与える影響にどう対処するかについての提案も取り上げます。

ショック
多くの場合親は、診断を受けた後しばらく呆然とします。これは、自分が対処できる以上の心の痛みから自分を守るための心の防御反応です。ショックが薄れるにつれて、異なる反応をするようになるでしょう:例えば忘却、悪い夢を見ているような感じ、集中力の欠如、否認などです。

怒り
たいていの親は「なぜこんなことが私たちに起こったの?」と尋ね、また怒りを感じます。この気持ちについて話すことも助けになります。誰かや何かを非難したくなるのはごく普通のことです。多くの親は、妊娠前や妊娠中にした何かのせいで、子どもがWAGR症候群になったのではないかと思います。何かをしたから子どもがWAGR症候群になった、あるいは何かをしなければならなかった、というものではないということを覚えておくことが大事です。

悲しみ
自分の子どもがWAGR症候群だと言われた時、悲しいと感じるのは自然なことです。たいていの親は、本来期待していた子どもを思い偲び、悲しむ期間を経る必要があります。この気持ちを表に出し、あなたの周りの人が、あなたが泣いて気持ちを話せるようにさせてくれると、とても助けになるでしょう。

自責
全ての親が責任を感じるわけではありませんが、多くの親が責任を感じます。あなたの子どもがWAGR症候群であるのは、間違いなくあなたの責任ではないのですが、このように感じるのもまた自然な反応です。

このように反応し感じることは、全く普通のことです。この気持ちは、完全になくなることはないかもしれませんが、時が経つにつれて薄れていくでしょう。支援グループに参加するのは、これらの感情に向き合うための良い方法です。なぜなら、他の人たちも同じように感じてきたのだと知るのは慰めになるからです。他の親から学び、自身が学んだことを共有するのも役に立ちます。

結婚
特別な支援を必要とする子どもの親の離婚率は、平均より高いと考えられています。恐らくこれにはたくさんの理由があります。男性と女性は、危機への対処の仕方が異なっています。WAGR症候群の子どもの誕生は、重大局面です。しばしば母親は、涙を流し、自分の気持ちを話し表出します。一方父親は、そのことについて話さないことで、感情を抑えたいと考えます。この相反する要求や対処の仕方は、お互いに誤解と孤独を感じさせることになります。しかし単純に、これらの異なる要求に気づき、受け入れることができると、大きな助けになります。夫婦にはコミュニケーションが必要で、わずかな歩み寄りによりうまくいくし、お互いが家族の利益のために一緒に協力しているという感じをもつのに役立ちます。もし結婚生活が本当に辛いならば、この困難な時を乗り越えるために夫婦のカウンセリングを考慮しましょう。年長の子どもの親は、この危機を切り抜けるための建設的な方法を見つけると、夫婦がより近しくなれるとよく言います。

兄弟
子どもは普通、親を見習うものです。あなたが生まれた赤ちゃんについて前向きでいれば、兄弟もそうなるでしょう。兄弟たちに、この新しく生まれた赤ちゃんは人よりも少し手がかかり、いろんなことを学ぶのが人よりゆっくりなのだと、説明するとよいでしょう。この小さな弟(または妹)は素敵な遊び友達になるし、愛すべき人になると、いずれ伝え安心させるとよいでしょう。障害のある兄弟をもつ子どもたちは、その兄弟と非常にうまくやれるし、障害のある兄弟のことを愛していると、たいていの研究は示しています。障害のある兄弟と一緒に育つと、理解、責任、思いやりを学ばせられると、多くの親は言います。

祖父母
祖父母は、両親と同様の多くの気持ちを感じ、子どもと孫の両方を嘆き悲しむでしょう。子どもの診断を否定するのはよくあることだし、否定する気持ちが、全て大丈夫だと強く信じようとすることに表れるのも普通のことです。可能ならばいつでも、祖父母と一緒に子どもの世話をして、情報を共有しましょう。養育者が現実主義かつ楽観的であれば、WAGR症候群の子どもはとてもよくやれると祖父母がわかれば、祖父母も孫をあるがままに受け入れられるでしょう。祖父母の前向きで激励する態度は、子供にとってすばらしい強みになりえます。

友達とその他の人
友達、同僚、他人、そして親戚でさえもが、当惑と無知のために、無意識に軽率で傷つけるような事を言うことがあります。また、たいていの人はあなたの態度をみならいます。あなたが自分の子どもやその将来について前向きでいると、周りの人もまた前向きでいるようになるでしょう。

遺伝学の基礎

遺伝学についての少しの情報が、WAGR症候群の診断を理解する大きな助けになるでしょう。
さらなる情報はこちら:WAGR症候群の遺伝学

医師とのパートナーシップ

WAGR症候群はとても稀な病気です。あなたが出会うほとんどの医師はWAGR症候群に不慣れでしょう。しかし、あなたも学びたいと思っている場合は特に、多くの医師は喜んで学び、あなたを子どもをケアするパートナーとして受け入れるでしょう。ここの情報は、あなたが上手に親と医師のパートナーシップをつくるのに役立ちます。

親/医師のパートナーシップ
WAGR症候群の子どもと大人の親は、多くの医師や専門家と関わります。親と医師の最良の関係はパートナーシップであり、両者がベストな医療という目標に貢献します。
詳しくはこちら:親と医師のパートナーシップ

親のためのチェックリスト
WAGR症候群の子どもは、複数の疾患を合併し、様々な医療ケアを受ける必要があることがよくあります。あなたの子どもの各年代で必要とされる医療ケアについて、理解し、ついていくのは大変なことでしょう。
くわしくはこちら:親のためのチェックリスト

早期介入サービス

WAGR症候群の子どもたちはふつう、ある程度の知的障害と共に、著しい視覚障害を持っています。その結果、同年齢の子ども達と同じ時期には、ハイハイしたり、歩いたり、話したりしないこともあります。非常に幼い子供たちには早期療育が有効です。援助を受けない場合よりも早く、これらの発達段階の指標を達成するのに役立ちます。
くわしくはこちら:早期介入と特別支援教育

ウィルムス腫瘍にどう対処する?

WAGR症候群の子どもの約半分にウィルムス腫瘍を発症します。そのため、IWSAの親たちはこの困難な診断をナビゲートする幅広い経験を持ち合わせています。この困難な時を乗り越えるのを手助けするために、ここには提案と助けになる情報があります。
くわしくはこちら:ウィルムス腫瘍にどう対処する?

WAGR症候群と共に生きる

このセクションはすべての年代のWAGR症候群の患者さんを紹介するために作られています。これらの物語と写真があなたの励ましや勇気づけになればと思います。

ファミリーストーリー
これらのIWSAファミリーの物語では、WAGR症候群の患者さんを育てケアする生活の実際を垣間みることができます。 
こちら(IWSAの英語のページですがgoogleの翻訳機能でよむことができます)

兄弟の視点
IWSAの兄弟や姉妹が、WAGR症候群の兄弟と共に育つことへの思いを共有します 

こちら(IWSAの英語のページですがgoogleの翻訳機能でよむことができます)

WAGR Syndrome患者登録(Patient Registry)

WAGR Syndrome Patient RegistryはIWSAによって作られた大切な研究プロジェクトです。2015年に始まり、世界中のWAGR症候群患者さんが参加している最大かつ最も包括的なデータベースです。

レジストリーへの参加は無料で、オンラインまたは紙のアンケートに回答します。レジストリーに収集されたデータは、研究者がこの症候群について学ぶのに役立ち、より効果的な治療法や訓練を見つけるのに役立つでしょう。

WAGR症候群患者登録のデータは安全であり、正式に承認された研究者のみがアクセスできます。全ての情報は匿名化されています。つまりあなたの情報は名前で特定されません。参加は自由意志に基づき、いつでもあなたのデータを削除することを選択できます。
こちら:IWSA患者登録について

このページは、International WAGR Syndrome Association(IWSA)の許可を得て、IWSAのweb siteの記事を翻訳・転載したものです
Translated by Madoka Hasegawa, October 2020