(新たな発見)
(新たな発見)
論理ループ構造を含んだシステムの信頼度をブール代数式で表現すると未知のブール代数要素が再帰的に現れる式となる。
x=f(a1,a2,・・・,an)・x+g(a1,a2,・・・,an) (1)
ここで、a1,a2,・・・,an は既知のブール代数要素、x は未知のブール代数要素を表す。
ブール代数における G=H の関係は、次の表現と等価である。
G・(~H)+(~G)・H=0 (2)
ここで、~G はGの補集合を表す。この表現により(1)式は次の様に変形される。
x・((~f)+(~x))・(~g)+(~x)・(f・x+g)=0 (3)
(3)式の括弧をはずし整理すると、
x・(~f)・(~g)+(~x)・g=0 (4)
一方、ブール代数の定理によると、ブール式 x・A+(~x)・B=0 は、A・B=0 が解を持つ場合に解を持ち、その解は x=m・(~A)+B となる。ここで、mは任意のブール代数要素である。
(4)式の場合 AB=0 は(~f)・(~g)・g=0 に相当しており、恒等式として満足されている。それ故、(1)式の解は、
x=m・f(a1,a2,・・・,an)+g(a1,a2,・・・,an) (5)
と得られる。項 f を複数の項に分解して考えると、
x=(f1+f2+・・・+fn)・x+g (6)
となり、(6)式の解は、
x=m1・f1+m2・f2,・・・+mn・fn+g (7)
となる。未知の要素 x はai,mi により表現されることとなり、解が得られる。
つまり、ブール代数の公式に新たに次のものが加わった。
x=A・x+B → x=mA+B
システム中に論理ループが複数存在するときは複数の未知ブール代数要素を用いた連立ブール代数方程式によりシステムの論理構造が表現される。(5)式の関係を用いると、この連立ブール代数方程式も順次代入していく事で解ける。
論理ループを含んだシステムの信頼度評価で出会ってきた未知ブール代数要素が再帰的に現れるという困難は、この解法を用いれば効果的に解決でる。しかし、解には任意ブール代数要素が含まれている。そのため一組の連立ブール代数方程式の解としては、ほとんど無限個数の解が得られることになってしまう。
しかし、任意ブール代数要素が存在するという状況は、微分方程式を解いた場合不定定数が現れることと同じ状況であるといえる。微分方程式の場合は、境界条件あるいは初期条件により不定定数の値を決定している。
この連立ブール代数方程式の解法を信頼性工学に応用する際には、得られた解が現実の工学システムの状況を正しく反映するように任意ブール代数要素を決定すれば良い。