システムの信頼度はシステム中に置かれた機器・サブシステムの状態・機能間のつながりのブール代数式で表現することが可能である。
もし、システム中に論理ループが含まれる場合は、このブール代数式が未知ブール代数要素を含んだ形式として表現されることとなる。
例えば、図1のフォールトツリーは頂上事象Aが再帰的に現れてくる。さらに中間事象B,Cも再帰的に現れる。フォールトツリーを作成すると往々にしてこの種の構造が現れる。
図1. 再帰的に現れる要素を含んだフォールトツリー
これをブロック図で書き換えると図2の様にループ構造をもっていることがわかる。A,B,Cは再帰的に現れるゲートと解釈し、Ab、Ba等はシステム要素の故障事象(あるいは信頼度)と解せる。
図2. システム要素間のつながり、ループ構造が含まれている。
上記の関係をブール代数式で表現すると、
A=Aa+Ab・B+Ac・C
B=Bb+Ba・A+Bc・C
C=Cc+Ca・A+Cb・C
の3式となる。
A,B,Cは未知ブール代数要素であり、代入法により解こうとしても、再帰的に無限に出てくるという困難に出会う。
A=Aa+Ac・Cc+Ab・Bb+Ac・Bb・Cb
+(Ac・Ca+Ac・Ba・Cb+Ac・Bc・Ca・Cb+Ab・Bc・Ca)・A
+(Ab・Bc・Cb+Ac・Bc・Cb)・B
信頼性工学者はこのことに長年苦しんできており、論理ループを代数的演算で一般的に解くことはできていなかった。
そのため、各種の近似的手法が提案されてきていた。