フェイズド・ミッション オペレータ
フェイズド・ミッション オペレータ
フェイズド・ ミッション問題(Phased Mission Problem)とは、時間経過とともにシステムに要求され る機能が順次変化していく場合におけるシステムの機能成功確率を評価するこ とである。システムに要求される機能によって経過時間がいくつかのフェイズ に区切られるため、 フェイズド・ ミッション問題といわれる。 フェイズにより要求される機能が変化するため、使用される機器も異なって くるが、複数のフェイズにまたがって共通に使用される機器もあれば、特定の フェイズにおいてだけ使用される機器もある。それゆえ、各フェイズにおける 機能成功確率間の従属性が複雑な形で存在することとなる。さらに、あるフェ イズにおけるシステムの機能成功とは、先行するすべてのフェイズにおいて機 能が成功していることが条件となっている。
先行しているすべてのフェイズの機能成功が条件ということは、異なった フェイズにおける成功確率間の積を計算する必要があることになる。それぞれ が互いに独立事象であれば、単純に数値の積でよい。 しかし、上述の理由によ り互いの従属性を考慮した積を計算する必要がある。つまり、それぞれのフェ イズにおける成功確率は、種々の機器類の動作成功確率の積・和によって構成 されているので、同一の機器が複数のフェイズに含まれている場合、それらの 包合関係を正しく取り扱わなくてはならない。 GO-FLOW手法では、同一タイム・ポイント内では 信号線間の従属性を正しく処理できるようになっている。しかし、フェイズド・ ミッション問題では異なったフェイズ間の積をとる必要がある。つまり、異なっ たタイム・ポイント間の信号線の積を求める必要がある。 そこで、次の図に示す機能を持ったタイプ40オペレータ(フェイズド・ミッション オペレータ)を導入した。図において青の実線が入力信号線 S(t) の強度で、赤の破線が出力信号線 R(t) の強度であ る。タイム・ポイントtiで指定された時刻以前においては、出力信号線強度 は入力信号線の強度にかかわらず1.0となる。一方、時刻tj以降は信号線強度 はtjの時の値が凍結されて保持される。
着目するフェイズにおける機能成功確率を表現する信号線がタイプ40オペ レータにより変換された信号線について考えてみる。タイプ40オペレータの 出力信号により表現された各フェイズの信号線問の積をとると、フェイズ間の 積が正しく得られる。つまり、特定のタイム・ポイントに着目して考えると、 過去のフェイズとなった信号線はフェイズ終了時の機能成功確率値を持ってお り、現在のフェイズの信号線はまさに変化しつつある機能成功確率値を、いま だ機能要求されていない信号線は確率1.0の値を持っている。 このようにして、同一のタイム・ポイント間の積をとるという従来のGOFLOW手法の枠組みでフェイズ間の積を求めることができる。
しかし、 タイプ40オペレータの入力信号線が、より上流の信号線の積/和 (種々の機器類の動作成功確率の積・和)により構成されている場合、 このオペ レータの出力信号線を構成する信号線の番号をそのままにしておくと矛盾が出 てくる。つまり、同一の信号線に2種類の信号線強度(確率値)が割り当てられ てしまう。そこで、 タイプ40オペレータの出力信号線においては、構成信号線 の番号を新たにつけ直すようにプログラムされている。 その結果、異なった信号線番号間でも従属関係が存在する場合がでてくる。
その従属性を判宗するため、元となった信号線番号を情報として保持させてい る。 同一の信号線から作られた信号線をA'、A″とすると、それらの間における ブール代数式は以下のように取り扱う。
A'+A"=A' ; I(A')>I(A") ………………………………………(1)
A'×A"=A" ; I(A')>I(A") ………………………………………(2)
ここで、 I(A') は信号A'の強度を意味している。