信頼性解析手法GO-FLOWの解説

確率論的安全評価（PSA)が種々の分野に導入され、プラント設計、安全審査等においても重要な役割を果たしてきています。わが国においてもその重要性が認識されています。PSAの基本的かつ重要な部分を占めるシステム信頼性解析手法の開発（松岡猛元宇都宮大学教授）を進めてきました 。GO-FLOWはこの過程で生み出された新しい信頼性解析手法です。

GO-FLOW 手法とは？

　GO-FLOW手法は成功確率を追うシステム信頼性解析手法であり、　システム信頼度、アベイラビリィティの評価が行えます。解析対象とするシステムの構成・機能をモデル化するため信号線とオペレータで構成されるGO-FLOW チャートと呼ばれる図を作成し、オペレータの動作モード・故障に対して発生確率をデータとして与え、オペレータ機能の定義にもとづき信号を処理していくことにより、最終的に系の動作/不動作確率を求めることができます。 

　GO-FLOW手法は、化学プラント、原子力プラント、交通システム、制御システムなど、大規模・複雑な動作モードを持つあらゆる種類のシステムの解析に適用可能なより進んだ手法で、広い分野での活用が期待できます。その際、設計段階における事前の検討にも、現に稼動しているプラントの安全評価にも利用できます。 

GO-FLOW 手法の応用分野の拡大

　GO-FLOW手法は元来、工学的なシステムの信頼性解析を目的として開発されましたが、GO-FLOW手法を種々の対象に適用した研究を進めた結果、解析対象が適切にモデル化できればいかなるシステムの解析にも対応可能であることがわかってきました。一例としては、人間行動を要素に分解してモデル化することにより、工学的システム内での運転員の挙動・過誤の分析が可能です(人間信頼性解析）。また、危機管理システムを工学的システムとして解析することはもちろん可能ですが、さらに人間応答、連絡･情報伝達の成否を含めた危機管理体制の評価も行えます。 

GO-FLOWプログラム・パッケージとは？

　GO-FLOW解析本体の計算はパーソナルコンピュータ（ウインドウズ環境）で行われ、解析のための種々の作業も手元に置かれたパーソナルコンピュータを用いて効率良く実施するシステムとなっています。また解析結果が、報告書に使用できる高品質の表・図形式で解析終了後、即座に手元のプリンターから得られます。 

主要機能

・GO-FLOW解析プログラム

　GO-FLOWプログラムによるシステム信頼性解析を実施します。

・不確実さ解析プログラム

　対数正規分布、正規分布、一様分布、ワイブル分布等９種の分布型を任意に故障確率分布に割り当ててモンテ・カルロ法による不確実さ解析が実施できます。

・共通原因故障解析プログラム:

　βファクター法、αファクター法、BFRモデル、MGLモデルの４種類のパラメトリックな共通原因故障モデルが取り扱い可能です。

・共通原因故障を考慮した不確実さ解析プログラム:

　不確実さ解析機能、共通原因故障解析機能を合わせて同時に実施します。

・GO-FLOWチャートエディター：

　パーソナルコンピュータのCRT画面上でチャートの作成、修正及び編集ができます。また、入力データ自動生成機能があり、GO-FLOWチャートを作成した段階で、GO-FLOW解析のための入力データが自動的に生成できます。プリンターへの出力も可能です。

・不確実さ解析結果表示プログラム:

　不確実さ解析の結果を各種の図により CRT面上およびプリンターに出力できます。

・GO-FLOW解析結果総合表示プログラム:

　解析条件、重要カット・セット、共通原因故障解析結果、システム信頼度の時間推移等を図・表形式によりＣＲＴ及びプリンターに出力できます。日本語/英語の二種類の表示が用意されています。

GO-FLOW解析プログラムは以下の解析が可能です。

・フェイズド・ミッション問題の解析。

・システム信頼度の時間依存性解析　

・回復操作を考慮した信頼性解析。　

・保守点検実施時におけるアンアベイラビリティの時間推移の算出。　

・動的な挙動を示すシステムの信頼性解析。

GO-FLOWパッケージ・解説書　

信号の意味　GO-FLOWオペレータ 　フェイズド・ミッション オペレータ

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