脂肪酸はトリアシルグリセロールやリン脂質を構成する分子です。脂肪酸は炭素鎖の長さと不飽和度で分類されます。パルミチン酸(PA)は炭素数16の飽和脂肪酸でEPAは炭素数20、DHAは炭素数22のオメガ-3高度不飽和脂肪酸です。
マウスメラノーマ細胞株(B16F10)はメラニンを産生する細胞で、細胞を集めると黒いペレットができます。PAを加えて培養すると細胞内メラニン量が増加し、EPAやDHAを加えて培養すると細胞内メラニン量が減少します。
パルミチン酸が細胞内のファイバー(F)-アクチンを増加させます。細胞内に増加したF-アクチンがメラニン産生オルガネラのメラノソームをトラップすることで、B16F10細胞内にメラニンが蓄積すると考えられます。
EPAは細胞内のF-アクチンを減少させます。F-アクチンの減少によって、メラノソームが不安定化して分解されるため、B16F10細胞内のメラニン量が減少すると考えられます。