イサダ(ツノナシオキアミ)は、発光オキアミと呼ばれるように青白く発光する特性があります。オキアミは腹部を青白く発光させることで、捕食者から見つかりにくくしていると考えられています。なぜ、イサダはオキアミの中でも特に強く発光するのか、どのようなメカニズムで発光するのかは未だわかっていません。
地球上にはたくさんの発光生物がいます。発光とは化学反応で光を発する現象のことで、光エネルギーを受け取って光る蛍光とは違った反応です。発光生物は、ルシフェリンと呼ばれる基質とルシフェラーゼと呼ばれる酵素を持っており、ルシフェリン-ルシフェラーゼの反応によって光を発生すると考えられています。生物によって、異なるルシフェリンやルシフェラーゼを利用して発光します。
オキアミ(イサダ)のルシフェリンに関しては、GFPを発見した下條博士らの研究グループが化学構造を研究して、渦鞭毛藻(夜光虫)ルシフェリンと類似物質であることを報告しています。イサダを漁獲したカナダの海には渦鞭毛藻が多く生息していたことから、イサダは渦鞭毛藻を食べて、渦鞭毛藻ルシフェリンを利用して発光していると報告されています。
渦鞭毛藻ルシフェリンは、クロロフィルの代謝物であると考えられています。そうすると、オキアミのルシフェリンもクロロフィル代謝物であり、クロロフィルからオキアミルシフェリンを作って発光するシステムが存在していることになります。そうすると、そのシステムを解明して植物で再現できれば、光る植物を作ることができるのではないかと考えられます。