自己紹介(山田秀俊)

研究業績などはResearch map をご参照ください。

氏名:山田秀俊

出身:岩手県花巻市

出身高校:盛岡第一高等学校

大学:鳥取大学医学部生命科学科(10期生)

大学院:鳥取大学大学院医学系研究科

学位:博士(再生医科学)

趣味:サッカー、フットサル、ジョギング

以下の研究内容等を読んでいただき、ご興味ある内容などありましたらお気軽にご連絡ください。

 [hyamada(at)ntu.ac.jp] 

(at)は@に置き換えてください。

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企業からの研究相談なども、お気軽にご連絡ください。

【現在の研究について】

  2009年に医学系分野から農芸化学(特に機能性食品)分野に軸を移し、2013年にイサダから8-HEPEを同定してからは、機能性脂質に関する研究を行なっています。培養細胞を使って、機能性脂質の作用と分子メカニズムについて研究するのがメインですが、オキアミの遺伝子解析とオキアミ等の酵素を使って機能性脂質の酵素生産にも取り組んでいます。

 面白いことにはなんでも取り組みたい性格なので、基礎研究だけではなく応用研究、商品開発、工場での生産ライン設計などにも関わっています。現在は、イサダの飼育にチャレンジしたい中です。

【研究者を目指したきっかけ】

  もともと医学に興味があり、高校生の時には医者と医学系研究者で進路を悩みました。研究者を目指すきっかけとなったのは、日本で初めて遺伝子治療が行われたという記事を読んだのがきっかけです。新しい治療法の開発につながる研究に憧れて、鳥取大学医学部生命科学科に進学し、修士課程と博士課程では遺伝子治療に関連する研究テーマに取り組みました。博士の学位を取得後は東北大学大学院医学系研究科で、細胞周期と細胞分化の研究に携わっていました。

  現在は、疾病予防による健康寿命延伸に貢献できるような研究を行いたいと考え、機能性成分の作用と作用機序の研究を行っています。

【イサダとの出会いとその後の研究の発展について】

   岩手生物工学研究センターに着任し、初めて提案された素材がイサダでした。岩手県出身ながら、イサダという単語を初めて聞き頭の中に「?」が浮かびました。 岩手県の公設試験研究機関の共同研究者から「とりあず送るからー」とのことで手元に届いたのは、小さなエビ??みたいなイサダを固めた冷凍ブロック。基礎医学と分子生物学にしか触れてこなかった私にとって、食品素材相手にどのように研究を進めていくかは未知の領域であり、初めの頃は成分抽出からどのようにして良いかわからず悪戦苦闘しました。

イサダ成分の機能性探索

 イサダの機能性を探索するために、イサダから抽出した成分を手持ちの培養細胞の培地中に加えて、評価していきました。脂肪前駆細胞株(3T3-F442A)で、脂肪細胞分化抑制が観察されたYamada H., et al. PLOS ONE 2011ことから抗肥満効果に着目した研究をさらに進めることにしました。

 イサダ成分を摂取することで、哺乳動物において抗肥満効果が発揮されるかを検討するため、岩手医科大学と共同で、高脂肪餌で肥満を誘導したマウスでの効果について検討しました。イサダ抽出物を加えて高脂肪餌を摂取したマウスにおいて、体重増加の抑制効果が観察されました。(Sadzuka Y., et al. Biol. Pharm. Bull/. 2012)

 ・8-HEPEの同定

 イサダに含まれる抗肥満成分を明らかにするため、岩手大学と共同で活性成分の精製と同定に取り組みました。イサダ成分を摂取したマウスにおいて、肝臓のトリグリセリド量が抑制されていたことから、脂肪酸β酸化の制御因子であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)に着目して研究を進め、PPARリガンドとして8-HEPEを同定しました。8-HEPEはEPAの水酸化物で、EPAよりも高いPPARリガンド活性を有していることを明らかにしました。(Yamada H., et al. Journal of Lipid Research. 2014)

 8-HEPEを食べることで、抗肥満効果が発揮されるかを検討するため、イサダから8-HEPEとEPAを精製し、高脂肪餌に混ぜてマウスに摂取させました。高脂肪餌のみを摂取したマウスに比べて、8-HEPEを摂取したマウスでは、内臓脂肪、血漿中性脂肪、肝臓中性脂肪の抑制が観察されました。(Yamada H., et al. Journal of Lipids 2016

・イサダと8-HEPE

 我々がイサダの機能性研究を開始したときには、すでに南極オキアミオイルがクリルオイルという製品名で、欧米を中心に普及していました。クリルオイルの有効成分は、リン脂質型EPA・DHA、アスタキサンチンです。イサダの差別化をはかるためには、既存成分ではなく新たな機能性成分を見出す必要があると考えて研究を進めた結果見出したのが、8-HEPEです。8-HEPEをはじめとしたイサダに関連する研究成果を発信していくことで、イサダの認知度向上や活用促進に貢献していきたいと考えています。