不飽和脂肪酸を酸化して、ヒドロペルオキシ脂肪酸へと代謝する酵素です。植物や動物において多くのLOXが同定されています。
我々はイサダから新たなLOXを同定し、PK-LOX1と名付けました。PK-LOX1はアラキドン酸よりもEPAに対する基質特異性を有する珍しい酵素で、8R-LOXとしてして働きます。DHAに対しては、10R-LOXとして働きます。
1gの8R-HEPEを得るためには100kgのイサダが必要となるため、8R-HEPEを薬として利用するためには、酵素合成する必要があります。PK-LOX1を使うことでEPAを8R-HEPEに変換して利用することが可能になります。
プロテクチンD1は炎症収束因子の一種で、炎症性疾患の抑制効果が期待されます。プロテクチンD1はDHAの10番目炭素R位と17番目炭素の17位にヒドロキシ基を有する構造(10R,17S-DiHDHA)をしています。
DHAの10番目炭素R位を特異的に酸化する酵素が見出されていなかったため、プロテクチンD1の酵素合成は達成されていませんでしたが、PK-LOX1がその問題を解決し、プロテクチンD1の酵素合成を可能にしました。