中性脂質やリン脂質は、脂肪酸で構成されています。脂肪酸には様々な種類があって、炭素数と二重結合の数と位置で分類されます。機能性脂肪酸の代表格として、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)があり、オメガ-3脂肪酸と呼ばれます。
オキアミから取れる脂質は、クリルオイルと呼ばれます。世界的には、南極オキアミ由来のクリルオイルがオメガ-3 脂肪酸が豊富なオイルとして流通しています。日本で水揚げされるイサダ(ツノナシオキアミ)からも、オメガ-3脂肪酸を豊富に含むオイルを得ることができます。
EPAやDHAは動物にとっても必須の脂肪酸です。しかしながら、ほとんどの動物は自分でオメガ-3脂肪酸を作ることができません。では、地球上のオメガ-3脂肪酸はどこから来るのでしょうか? これまでの研究から、海洋中の微生物や植物プランクトンがオメガ-3脂肪酸の共有源であると考えられています。
オメガ-3脂肪酸を豊富に有するオキアミには、オメガ-3脂肪酸を産生する共生菌を有しているのではないか?そんなシンプルな発想から、オキアミ共生菌の探索を始めました。オメガ-3脂肪酸意外にも、イサダには炭素数16の高度不飽和脂肪酸という珍しい脂肪酸が含有されています。オメガ-3脂肪酸や珍しい脂肪酸を合成する菌を見つけることができれば、世の中の役にたつかもしれません。