ブルース・リー フィルモグラフィ

Blondie (未) (1968) ※テレビシリーズ
(ブロンディ)

製作会社:米・Kayroプロ
米放映:CBSテレビ1968年9月26日~1969年1月9日/日本未放映

監督:ピーター・ボールドウィン、ノーマン・アボット、ジーン・ネルソン
出演:パトリシア・ハーティ(ブロンディ・バムステッド)、ウイル・ハッチンス(ダグウッド・バムステッド)、ピーター・ロビンス(アレクサンダー・ダグウッド)、パメリン・ファーディン(クッキー・ダグウッド)、他

概要

良妻賢母のブロンディ(パトリシア・ハーティ)と夫のダグウッド(ウイル・ハッチンス)、息子のアレクンダー(ピーター・ロビンス)、娘のクッキー(パメリン・ファーディン)の日常を描くホームコメディドラマ。
第13話「Pick On A Bully Your Own Size」概要
ある日息子のアレクサンダーの帰りが遅いのをブロンディが心配していると、体中汚れたアレクサンダーが帰ってくる。チャーリー・コービィ(リンゼイ・パーソンズ)という近所に引っ越して来た学校の転校生にいやがらせをされたのだという。ダグウッドは護身の為の闘い方をアレクサンダーに教えようとするが、チャーリーは年齢に似合わぬ巨漢でアレクサンダーは敵わない。ダグウッドはチャーリーの家に話を付けに行くが、父親のゴードン(ブルース・ゴードン)もまた巨漢の大男で、バムステッドはアレクサンダーと同じ目にあってしまう。ダグウッドは一矢報いる為、友達の紹介でカラテ道場に通う事にする。道場の師範ミスター・ヨートー(ブルース・リー)の厳しい教えに満身創痍になりながらも、ダグウッドは空手の極意を身に着け、遂にはゴードンを打ちのめすが、実はゴードンはバムステッドが働く店の大切な顧客であり、この事でバムステッドは上司から大目玉を喰らってしまう。アレクサンダーとチャーリーは打ち解ける事になるが、チャーリーは父親の仕事の関係で一時的にこの町に滞在していただけで、町を去ってしまうのだった。

作品解説

米国で1930年代から90年経った現在も続く国民的とも言える新聞連載漫画のドラマ化作品。映像化は何度かされていますが、この時のドラマは短命に終わっています。所謂シットコムと呼ばれるコメディ物で劇中背景に架空の視聴者の笑い声が入るタイプのものですね。ブルース・リーは最終話として1969年1月9日に放映された第13話"Pick On A Bully Your Own Size"("Pick On Someone Your Own Size"との表記もあり)で、空手道場の師範ミスター・ヨートー(Mr. Yoto)の役でゲスト出演。このドラマに関しては映像ソフト化もなく、一部の映像等が紹介されたりといったこもなく封印されたままで現時点で映像として見る事が出来ないのは残念ではありますね。内容に関しては今井商店の今井店長が自身のブログでシナリオの全文を採録されているので、そのあたりで内容を知る事は出来ます。
ドラゴンなお店の店長ブログ(外部リンク)
そのシナリオによれば、お調子者のダグウッドが空手を習いに行くものの、最初は真面目に学ぼうとせず、怒ったヨートーがテーブルを叩き割ったり。それでもヨートーの指導にヘトヘトになりながら、最後には空手の極意(?)をマスターして、ダグウッドがちょっと触った物が壊れたり、叩いたテーブルを破壊するまでになるといった、かなり大げさな描写の展開になるようですね。ブルース・リーが出演したシーンは1968年10月12日に撮影が行われたそうですが、その時ダグウッド役のウイル・ハッチンスはリーからコインを使った簡単なトリックを披露されたそうで、その思い出を後に懐柔していますね。実際の映像はシナリオ通りではないでしょうが、この当時やはり武芸と言えば空手という先入観的一般認識を変えようとリーは、敢えて空手師範という役柄を受けて、その中に独自のジークンドーを盛り込もうとしていたかも知れませんね。
このエピソードでいじめっ子役で登場するチャーリーを演じているのは、その後制作側に転じ現在はプロデューサーとして活躍しているリンゼイ・パーソンズ3世という人。余談ですが第一話には後に「ベスト・キッド」シリーズで有名になるパット・モリタもゲスト出演していたりします。
このドラマは放映開始後1か月で放映打ち切りが決定され、丁度2クール目の通算第15話目を撮影中だった番組スタッフ&キャストは、昼休みの昼食が終わって撮影スタジオに戻った時、製作中止がプロデューサーより告げられ、撮影途中で製作中断・終了となったそうです。
"主役"のブロンディ役であるパトリシア・ハーティは、タイトルロールである主役であるはずなのに、ドラマの中心にいず、登場シーンも多くなくまるで脇役の様な役柄に不満を感じたそうで。上のあらすじを見ても判るかと思いますがストーリー上にブロンディが殆ど登場しませんね。ストーリーの殆どはブロンディの周囲で起こり、ブロンディはそれを見守っているだけといった感じで、内容的には「ブロンディ」というよりは「バムステッド一家」とした方がいい内容かもしれません。元々1930年代に原作の漫画が始まった当初はブロンディは独身OLという設定で、彼女のOL生活が描かれていましたが、ブロンディがダグウッドと結婚して家庭に収まって以降はファミリー物にシフトして、多くの読者は「ブロンディ」はサザエさんの様なファミリー物といった認識になっていますね。
一方ダグウッド役のウイル・ハッチンスはドラマが短命で終わった事を残念に思いながらも、このドラマは自分の代表作の一つと気に入っている想い出の作品とか。二人の子役、アレクサンダー役のピーター・ロビンスは当時スヌーピーのアニメシリーズでチャーリー・ブラウンの声を担当していた事で有名な子役。後年は精神的に不安定になり、脅迫やストーカー行為など問題を起こして2015年に殺人教唆の罪で逮捕、つい最近まで服役中だったりしました。クッキー役パメリン・ファーディンも、同じスヌーピーのアニメシリーズで声優としてルーシーの声を担当した事で有名な人。現在は動物愛護活動家として活動しているとか。
一部のエピソードはYouTubeで観れたりもしますけど、リー出演の回も発掘されて欲しいところです。

【エピソードリスト】

※"Run, Rabbit, Run(Run Buddy Run)"は、本来第7話として放送される予定だったものの、放送されなかった。

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