ブルース・リー フィルモグラフィ

守得雲開見月明 (未) (1955)

Woman in Sorrow


別表記:冤婦、The Faithful Wife


製作会社:香港・大成影片公司/配給:國際影片發行公司
香港公開:1955年6月24日~6月30日/日本未公開

監督:蔣偉光
出演:
芳艷芬(阿花)、江一帆(洪志明)、胡楓(洪昌明)、朱丹(張小紅)、譚倩紅(金玉蘭)、楊業宏(明父)、馬笑英(明母)、李小龍(洪仔)、歐漢姬 (阿姨)、李月清(花母)、馮應湘(週時光)、黎明鐘(二叔)、陳立品(阿三)、梁廣(大班)、他

物語概要

女中の阿花(芳艷芬)はある夜酒に酔い、仕えている洪家の長男・洪志明(江一帆)と情交を結ぶ。阿花は洪志明の弟である洪昌明(胡楓)に想いを寄せていたが、酔っていたせいで洪志明を洪昌明と勘違いしていたのだった。阿花は妊娠し、その事を洪昌明に告げる。昌明は阿花に恋愛感情を抱いていたが、妊娠は彼の身に覚えのない事であり、潔癖な昌明は阿花が他の人と不埒な関係になった事を許せず彼女を拒絶する。落胆した阿花は産んだ子を一人で育てることになる。月日が流れ成長した阿花の子・洪仔(李小龍)は、母親より自分の本当の父親は洪昌明だと教えられ、洪志明と会う事があってもお互い実の親子である事を知る由もない。阿花を愛していた洪昌明は責任感から洪仔を自分の子供として認める事にするが、しかしやがて真相が明らかとなり洪仔は洪志明との間の子である事が判る。明は身を引き、阿花は洪志明と夫婦となる。

解説

ある女性の"一夜の過ち"が、周囲の人々の運命をも変えていく事になる、不条理劇ともいえる悲恋物の作品です。劇中主演の芳艷芬による歌が各所に散りばめられている歌謡映画でもありますね。
主人公は意中の人と相思相愛でありながらも一緒になる事なく最後は別の人と一緒になったりと、結構シビアな結末だったり。その意中の人・洪昌明も自分は何も悪くないのに兄が起こした不始末に振り回された挙句、幸せにはなれなかったりと、かわいそうな人でもあります。
ブルース・リーは主人公が産んだ私生児・洪仔を演じていますが、彼の役もまた、父親が誰なのかも判らず、親たちの"不始末"が引き起こした運命に翻弄される少年という役柄ですね。
当時の電影特刊(映画パンフレット)では、リーの事が"可憐"なんて紹介されていますが、日本語で"可憐"は男の子に対しては使わないので、日本語として言えば"美少年"とでもいう感じでしょうか。

タイトルの「守得雲開見月明」は「水滸伝」にある一文から取られたことわざで、"雲に隠れている月もいつかは雲間から月明かりが射す"=”じっと我慢していればいつかは良い事がある”という例えの文。英語だと"Rainbow comes after storm"(嵐の後には虹が出る)。日本語での"待てば海路の日和あり"に相当することわざです。
題名の様に、我慢して待っていた登場人物たちは良い事が訪れたのでしょうか?それはなんとも言えませんが、ブルース・リー演じる洪仔だけは良い事が訪れたのかも知れませんね。

華僑日報1955.6.25広告

チラシ

公開時電影特刊1

公開時電影特刊2