ブルース・リー フィルモグラフィ

苦海明燈 [ドラゴン スパークオブホープ] (1953)
A Son Is Born

別表記:The Guiding Light


製作会社:香港・中聯電影企業有限公司
香港公開1953年4月30日~5月21

日本公開2004年7月17日
(配給アートポート、特集上映「ブルース・リー起源祭」内で上映)

監督脚本:泰劍
演:李小龍(陳天生(童年))、張活游(陳天生(成年))、羅衍達(陳天生(幼年))、容小意(阿娥)、李清(林院長)、張瑛(陳英傑)、林妹妹(陳太太)、葉萍(露彩)、黄曼梨(奶媽)、呉楚帆(黄老四)、欣欣(阿蓮(童年))、小燕飛(阿蓮(成年))、白燕(李夫人)、黄楚山(李医師)、周年華(李潔清(童年))、梅綺(李潔清(成年))、

物語概略(ネタバレを好まない方はスルーして下さい)

世間知らずの阿娥(容小意)は、雇い主の陳英傑(張瑛)の甘い誘いに乗り彼の子を産むが、英傑から認知して貰えず追い出されてしまう。出産した病院の入院費を払えない阿娥は、お金を工面するまで子を預かって欲しいと病院の林院長(李清)に頼み込む。妻に先立たれた林院長は、子を自分の養子として育てる事にし、天生と名付ける。林院長は天生(羅衍達)を可愛がるが、再婚相手の露彩(葉萍)は天生を疎ましく扱い、林院長は仕方なく天生を家政婦の奶媽(黄曼梨)に引き取って貰う。院長の再婚で家政婦の仕事を失くした奶媽は裁縫の仕事で天生(李小龍)を育てるが、奶媽の夫・黄老四(呉楚帆)は博打好きのろくでなしで、天生を虐待し、最後には天生を売り飛ばしてしまう。天生が貰われた先は偶然にも実の父親である陳英傑の家であったが、陳英傑は天生が実の子であることを知るよしもなく邪魔者扱いし、居場所がない事を悟った天生は家を飛び出し街を放浪する身となる。雨の中行き倒れている天生を保護したのは、李夫人(白燕)であったが、人間不信に陥っていた天生は頑なに心を閉ざす。李夫人は夫(黄楚山)と盲目の子供達の養護施設を営んでおり、天生の幼馴染みである盲目の少女・阿蓮(欣欣)も、この施設に引き取られていた。李夫人の愛情に触れ自分の居場所を見つけた天生はこの施設で生きる事を決意する。やがて成長した天生(張活游)は医学を学び、李医師の助手として視力回復の研究を行い、李医師亡き後も研究を引き継ぎ、そして新な角膜移植の方法を発見し、幼馴染みの阿蓮(小燕飛)の目を治す事に成功する。天生の発見は世界的な注目を浴び、天生の名は一躍有名となり、かつての育ての親たちは天生の成功を知る。天生の偉業達成の祝賀会が開かれ、黄老四は今更会わせる顔がないと辞すが、破産した陳英傑はおこぼれにあやかろうと祝賀会にやってくるものの、天生から嘲笑を浴びる。非を詫びる林院長を天生は許し、院長が阿娥を連れて来た事を知った天生は、実の母親と漸く巡り会うのだった。

解説

私生児として生まれた主人公が数奇な運命に弄ばれる姿を描く、波乱万丈のヒューマンドラマです。
香港での初公開時、4月末から始まった一番館での上映は2週間で終了しますが、引き続き2番館にムーブオーバーし上映が継続され、その後も8月と9月に再映されるなど、かなり好評を博した作品のようですね。実際今見ても十分楽しめる作品です。

ブルース・リーは主人公・陳天生の少年時代の役柄。クレジット的には主人公の成年時代を演じた張活游が主役という事になっていて、初期の広告ではブルース・リーの名前は表記すらされていませんでしたが、張活游は本編終盤のみの登場で、実質的な主演はブルース・リーといっていいでしょう。
作品の見所はなんといっても若きブルース・リーの凛々しい姿で、少年時代のレオナルド・ディカプリオを彷彿とさせる風貌のイケメンぶりが堪能できます。
主人公・陳天生の幼年時代を演ずる羅衍達は、この映画の為に行われた一般公募によるオーディションで選ばれた子役。彼はこの映画で映画賞を受賞し、ブルース・リーが次に出演した作品「慈母涙」でもリーの幼年期を演じています。
また、主人公の幼馴染みである盲目の少女阿蓮役を演じている子役の欣欣は、この作品の後も「慈母涙」「千萬人家」でブルース・リーと共演していますね。
他にも名女優の白燕他、有名な役者が多数出演していて見所の多い作品ではあります。

音楽は作曲家の葉純之が担当とクレジットされていますが、実際には彼は楽曲を作曲したのではなく、選曲を行っていただけのようで、クラッシック音楽がBGMとして使われています。
オープニングタイトルで流れるのはシューベルトの交響曲第4番「悲劇的」。他にBGMとしてベルリオーズの「幻想交響曲」から「断頭台への行進」、モーリス・ラヴェルの「組曲マ・メール・ロワ」(マザーグース組曲)から「パゴダの女王レドロネット」と「妖精の園」等が効果的に使用されています。
これらのクラッシック曲はいずれも名曲ですので、興味を持たれた方はこれらの楽曲を聴いてみるのもいいと思います。

この作品は2004年に日本でもDVD化されていて、現在は廃盤ですがamazon等で比較的安価に中古が買えますし、日本語字幕を収録した中国版DVD等も出ているので、観る事は可能かと思います。

華僑日報1953.5.2広告

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