ヒナゲシ畑の小屋
あなたたちは全て思い出した。
思い出してしまった。
自分に、あの人に何が起こったのか。
(全アイデアに失敗し思い出せなかった探索者はここでSAN値1d5を減らして思い出してください。)
現段階でのSAN値を確認してください。
【減らされたSAN値を半分以上回復してしまった探索者】
あなたは安堵してしまった。
苦しい現実から目を背け、文字通り夢のある世界に身を委ねその幸せに、安心感に包まれてしまった。
あなたはここが何よりも大切な場所だと認識します。
【SAN値回復が減らされた分より半分以上に満たなかった探索者】
あなたの危機感は決してこの夢の世界で無くなるものではなかった。
その夢の違和感は未だに引っかかったままだ。
半分以上回復してしまったら、NPCを殺す時めちゃくちゃ辛くなる処理が入ります。
御愁傷様です!
気がつけばモヤがかっていた霧が晴れ、本来の光景がそこに現れる。
白い花畑が見上げる天井は淡い虹色のマーブル模様に動いている。
最初にあなたが出てきた根っこの塊はそのはるか上空まで伸び、それに沿うように不恰好な螺旋階段が続いていた。
そしてその近くに粗末な小屋が一軒、ぽつりと花畑の上に建っていました。
小屋
小屋の中は真っ白で、たくさんの子供が描いたと思わしき絵が壁に飾ってありました。
キッチンにはお菓子が散乱しており、テレビには子供向けアニメが流れています。
真ん中には背の低いテーブルと椅子があり、その上にはクレヨンと描きかけの絵や工作したものが置かれてありました。
ここはユメの部屋です。神の子に色々伝えるために色んなものを作っていました。
参考はKH2のナミネの部屋。
描きかけの絵の隣に、絵本の1ページが置かれていました。
ひとりぼっちの王さま⑥
王さまの涙がキラキラとかがやきます。
すると目の前に、虹の橋があらわれました。
虹はピカピカかがやいてとってもきれいです。
それはとおいとおい雲の上までつづく橋。
もしかしたら、この橋をわたったらみんなのところに帰れるかもしれない。
王さまはそう思いました。
けれど
<目星>
あなたは机の下に、数枚の散らばった絵が落ちているのを発見します。
ひとりぼっちの王さま⑦
もしも落っこちちゃったらどうしよう。かえれなかったらどうしよう。このまま死んじゃったらどうしよう。
王さまはいっぱいいっぱいかんがえました。
ボクは王さまじゃない。ただのいっぴきのクマ。勇気が足りないひとりぼっちのクマ……。
クマには相談できる知り合いもいません。家族もいません。お友だちもいません。
そうやってクマはずっとひとりぼっちで生きてきたのです。
なやんでなやんで、なやんでいるうちに……
いつしか虹の橋は消えてなくなってしまいました。
ひとりぼっちのクマは、そのままずっとひとりぼっちの世界からかえることができませんでした。
おわり。
これがどうやら今まで見つかった絵本の結末のようです。
テーブルに目を向けていると、あなたはその下に絵本の続きが落ちていることに気がつきます。
しかしそれは文字も絵も元々の絵本のものではなく、まるで子供が付け加えて描いたようなものでした。
ここから先の絵本のページは、HO1〜4の探索者が夢の世界で<幸運>に成功し、ユメと神の子の会話を聴いた者の数のみ表示することができます。
実はこの絵本、作者が実際に9歳の頃に考えた絵本です。
保育士の母親に誕生日プレゼントとして自作絵本をあげようと思い作ろうとしましたが、終わり方が園児向けっぽくないという理由でやめました。
大人になった今でも覚えてるということはよっぽど印象に残っていたのでしょうね。
ということで以下からの物語はユメの書き足しと共に、大人になった作者自身の書き足しでもあります。
ひとりぼっちの王さま⑧
「こんにちは、クマさん。」
とつぜんクマのうしろから声がきこえました。
クマがびっくりしてふり返ると、そこにはいっぴきのいきものがいました。
その子は今までみてきたどんな動物ともちがう形をしていました。
「おまえ、なんだ!」
クマはぐるると歯を向けます。
「わたしは、君がひとりぼっちでさみしいと思ったから生まれたんだよ。」
ひとりぼっちの王さま⑨
そのことばにクマはきょとんとしてしまいました。
「ねぇ、クマさん。さみしいならわたしとおともだちになってよ。」
クマはとまどいながらそのいきものを見ました。
「大丈夫。こわくないよ。」
そのいきものはやさしくクマの手をとります。
そうしてクマには生まれて初めておともだちができました。
ひとりぼっちの王さま⑩
二人はひとりぼっちの世界でいっしょに楽しくくらしました。
クマにとって、こんなに楽しいことは初めてでした。
初めてのおともだち。知らないあそびに、知らない気持ち。
それは本当に本当に楽しい毎日でした。
しかしある時おともだちはかなしそうな顔で言いました。
「いっしょにあそべるのは今日でさいごだよ。」
「今日ね、また虹の橋がかかるんだ。
だから、クマさんはこの橋から帰らなくちゃいけない。」
クマはびっくりしました。まだまだいっしょにあそべると思っていたからです。
ひとりぼっちの王さま11
「大丈夫。さいしょは怖いかもしれないけれど、しっかり歩いていけばみんなのところにかえれるよ。」
「ちがう!ぼくは君といっしょにいたいんだ!」
クマはわんわんと泣き出します。
「ごめんね。でも、わたしはクマさんとずっといっしょにいられないの。いつかわたしは消えてしまうから。」
「わたしが消えたら、クマさんはまたひとりぼっちになっちゃう。
だからちゃんと帰らなくちゃダメだよ。この橋は一人だけしかわたれないの。」
「クマさんには、ちゃんとクマさんの世界がまってる。
だからどうか怖がらないで。泣かないで。」
おともだちはやさしくクマのあたまをなでました。
「ぼく……ぼくは……。」
最後のページの裏側には「おわりかたはきっとそれだけじゃない」という言葉が書かれていました。
ユメは最後に自分の終わりを分かりやすく伝えようとこの絵本の続きを書いていました。
しかし間に合わず、絵本が完成される前に彼女は旅立ってしまったのです。
この物語の結末は探索者、もといPLさん自身で考えてもらうことになります。
一体、この物語はどう終わったのでしょうね。
根っこの螺旋階段
小屋から外に出る。
すると、花畑の花びらが一気に舞い上がりました。
美しい光景に目を引くと同時に、これから待ち受ける螺旋階段の上に対する不安が募ります。
階段を登っていく。不思議と疲れることはなく、するすると登っていけます。
しかしその一歩一歩を踏み出すたびに、心臓がどくどくとあなたの不安を煽りました。
あなたはこの先に何があるのか知っていたはずだ。分かっていたはずだ。
だってあなたは、あなたたちは……
ふと、ピアノの音と歌声が聞こえた。
それは直接あなたたちの頭に響くメロディ。
秘匿情報:HO2
この寂しい旋律は導入で意識が落ちる瞬間に聞いた歌声と同じものだということに気がつきます。
作者的イメージソングは『シリウスの心臓』です。良曲なので是非聴いてみてね。