HO2の空間

遠くに見える建物に向かって船を漕ぐ。

と、舟が何かにぶつかります。どうやら湖面に何かが沈んでいるようです。

ここで沈んでいるのはHO2探索者の叶えた夢に関するものにしてください。

これは探索者が現実への執着を捨て、夢の世界に身を投じたいという思いから「思い出の品を湖に捨てている」という状態です。

やがて足の踏み場がある場所にたどり着きます。

そこには、閑散とした街がありました。入り口と捉えられるのは狭く細い建物の隙間だけです。

壁は高く、ドアや窓などは全然見当たりません。

HO2のテーマにちなんで不安の象徴である「路地裏」です。

この街に誰も見覚えはありません。誰もいない静かな街です。

道は思ったより入り組んでいて、あちらこちらに路地裏に続く狭い通路が続いています。

しかし少し進んだらすぐに行き止まりにたどり着いています。

気を抜くと簡単に迷子になってしまいそうです。

ある程度探索してみると

半分開いている扉/装飾された扉/簡素な扉/薄暗く狭い路地/矢印のラクガキ

を見つけることができました。

半分開いてる扉

中を覗いてみる。するとそこはどうやら書店のようでした。

様々な本が並んでいます。

基本は<図書館>ですが、HO2のみ<知識>で振ることも可能です。

ここはHO2の空間なので、過去に見たことがあったものが反映されています。

心情次元

近年の研究ではポルターガイスト現象は幽霊の仕業などではなく、人間の心理的要因が引き起こす未知の能力だという説がある。


それらは「超心理学」と揶揄されているようだが、私は【人間の心理や感情に共鳴する次元】があるのではないかと考える。私はこれを【心情次元】と呼んでいる。


幽霊や妖精など、オカルトで片付けられるものは未だ我々人類がきちんと発見し得てないだけで、別次元に存在している、学説的に証明できる生命体である可能性があるのだ。

今や当たり前となったインターネットも謂わば0と1だけで組み合わされた、人類が発見した新しい次元に過ぎない。インターネットの様に新しい次元は糸口さえ見つかれば存外簡単に紐解けるものなのだ。

科学の発展が目覚ましい現代において【心情次元】に到達するのは時間の問題と言えるだろう。


【心情次元】は過度なストレス負荷を感じている人間が共鳴しやすくなるものと考える。現代では単なる精神病と片付けられるようになってしまったが、その精神を介すことによってオカルティズムの先にある別次元体へ辿り着けるのだろう。

どうでもいいんですけどこの論文まがいの文章を考えるのに一番時間がかかりました。

普段文字を読まない人間が考える文量じゃない。それっぽいけど内容はめっちゃ浅いかも……。

ちなみに【心情次元】は造語です。

装飾された扉

彫刻が施された扉です。

(※どういった彫刻が施されているのかは、HO2探索者がNPCに対する感情で決めて大丈夫です。

綺麗なのか、禍々しいのか、シンプルなのか)


すると、そこには意外な場所が現れました。

現れたのはHO2探索者が秘匿導入で友人と遊びに行った場所】です。

しかし人の気配はありません。水族館や動物園などの場所だった場合でも生き物は一匹もいません。

とても寂しい場所です。

もし秘匿導入で思い出のある物があった場合、目星を振って壊れた状態で発見させてもいいかもしれません。

例)

・記念に買ったグッズ

・入場チケット

・ビデオカメラ

秘匿情報:HO2

何故か胸がもやもやする感覚に襲われます。

あまりここに長居したくないと思いました。

簡素な扉

簡素な扉をゆっくりと開く。

すると、そこは……

ここに現れるのは【現在のHO2探索者の部屋】または【HO2の職業に関する場所】となります。

秘匿情報:HO2

部屋の大きさ、並べられた家具、使い慣れた仕事道具。

ここはあなたのよく知る【場所】で間違いありません。

<目星>

あなたは隠されたように挟まれた手紙を発見しました。

何でこんなことになったのか未だに分からない。

でもこれでいいと思った。【私/俺】【あいつ】もいる。

苦しい未来は嫌だ。こんな人生は嫌だ。もうこれ以上【私/俺】苦しめないで。

この手紙は、導入から本編開始の間までに放置された探索者自身の決意の手紙です。

キャラを乗っ取ったPLにとっては全く身に覚えがないでしょうね。

決して代償を払ったから記憶がないとかじゃないんですよ。

薄暗く狭い路地

他の通路よりも薄暗い路地に足を踏み入れる。

その通路はどんどん狭くなっていき、人一人がやっと通れるぐらいの幅になりました。

その際奥には2枚の板で塞がれた謎の穴がありました。

板の耐久は3点×2枚です。4人の力を合わせて削り切れば侵入することができるかもしれません。

1枚しか突破できなかった場合、SIZが10以下の探索者であれば侵入可とします。

ここはHO2探索者の苦い思い出を具現化させたような場所になります。

4人の中で一番辛い人生を送っているので、過去部屋は一番ガードが固いです。

その場所はまるで誰かが黒い墨を撒いたように、黒くドロドロに汚されていました。

内装はHO2探索者が夢に向かって一番努力していた場所を反映してください。

(教室、学生時代の自室、土手、廃墟など)

秘匿情報:HO2

あなたはこの場所に見覚えがありました。

あなたが夢に向かって努力していた時、ずっといた場所です。

周りにもその時使い込んでいた道具が散乱しています。その全てが黒く沈んでいる。

そのことに気がついてしまったあなたはSAN値チェックです。 1/1d4

矢印のラクガキ

黒く書かれた矢印のラクガキがありました。

何気なしにその指された方を見てみる。すると、その先にも矢印マークは点々と続いていました。

[強制] <HO2の一番得意な技能

矢印を追っていくと、ふわりと淡い虹色の蝶が矢印の方向とは逆側に飛んでいくのを見かけました。

その蝶を追う。通路を曲がるとそこに蝶はおらず、一片の紙が落ちていることに気がつきます。

【絵本のかけら】はHO1〜4の探索者の空間全てに出現します。ただし、<一番得意な技能>に成功しないと開示されません。

探索場所の順番は卓によって異なると思うので、成功したら順番に2、3、4、5と公開していってください。

失敗したら飛ばしていってください。

※この技能は探索者が【自分】という個を象徴するものなので、それに呼応する形でユメが蝶となって出現します。

ひとりぼっちの王さま②

もし話しかけようとするものなら、大きな口でガブリ。

するどいツメでガリガリ。

だからみんなクマを怖がりました。

誰もクマに近づこうとはしませんでした。


ある夜、クマはお星さまを見上げてお願いしました。

「誰もいないところに行きたい。

みんなうるさいから、どこかへいなくなれ!」

ひとりぼっちの王さま③

つぎの日、クマが目を覚ますと、おうちの外から音がしなくなっていました。

不思議に思ったクマは町を歩いてみます。


すると、楽しげな小鳥たちの歌声が、追いかけっこするうさぎたちが、

キャンキャン吠え合う犬たちがいません。

あんなにうるさかったみんながいなくなっていたのです。


クマはとっても嬉しくなりました。

お星さまがボクの願いを叶えてくれたんだ!

ひとりぼっちの王さま④

ひとりだと、あんなに混んでいた公園であそび放題!

学校に行かなくたっていい!

お店のものを勝手に食べても怒られない!

みんなが使ってたおもちゃもひとりじめ!


ここではボクは王さまだ。何でもできる自由の王さま。


それはクマにとって天国でした。

誰もいない場所。何をしても怒られない。誰も文句を言わない。

クマはずっとずっと幸せな毎日を暮らしました。

ひとりぼっちの王さま⑤

しかしある時、クマは「さみしい」と思ってしまいました。

ボクだけの自由の国。ボクは王さまなのに。ボクは何でもできちゃうのに。


毎日同じことのくり返し。

ひとりぼっちのさみしい世界。


王さまの目からポタリと涙がこぼれます。

どうして? ボクはお願いが叶って嬉しいはずなのに。

夢の世界は幸せなはずなのに。


がまんできずに、ひとりぼっちの王さまはわんわんと泣きました。

けれど誰にもその声は届きません。誰も王さまをなぐさめてくれません。

矢印を追っていくと、扉のラクガキがありました。

不思議なことに、そのラクガキの扉は実際に開けることができそうです。

その先には……

HO2の未来電話

目の前に広がるのは暗くどこまでも続く曇り空。ところどころから光が差しています。

それが湖面いっぱいに反射し、美しい光景が広がっていました。

自分が目覚めたあの霧の場所にあったものと同じ白い花が辺り一面に咲き乱れています。


そしてそんな中にぽつんと置かれた白い電話ボックスが一つ。

リリリリ リリリリ

涼やかな音が鳴り響きます。どうやら電話がかかってきたようです。

この電話に出られるのはHO2探索者のみです。

あなたは意を決して受話器を取る。


もしもし、【探索者】?」


そこから聞こえてきたのは、あなたにとって聞き馴染みのあるあの人の声ー。

瞬間、あなたたちは光に包まれた。