HO1の空間

遠くに見える建物に向かって船を漕ぐ。

近づいていくと、前方から何かが流れてくるのに気がつきました。

拾い上げると虹色のキラキラがくっついています。

ここで流れてくるのはHO1探索者の叶えた夢に関するものにしてください。

水に浮かんでるけど、濡れてはないです。

これは探索者が現実への執着を捨て、夢の世界に身を投じたいという思いから「思い出の品を湖に捨てている」という状態です。

やがて足の踏み場がある場所にたどり着きます。

そこには、大きめの一軒家がありました。

HO1のテーマにちなんで安心感の象徴である「家」です。

誰も見覚えはありません。

中は普通のどこにでもある内装になっています。少し探索してみると

大きめの鉄扉/明るい色の扉/少し汚れた古い扉/本棚/はしご

を見つけました。

大きめの鉄扉

重く大きい扉をゆっくりと開く。

すると、そこには意外な場所が現れました。

現れたのはHO1探索者が秘匿導入でデートした場所】です。

しかし人の気配はありません。水族館や動物園などの場所だった場合でも生き物は一匹もいません。

とても寂しい場所です。

もし秘匿導入で思い出のある物があった場合、目星を振って壊れた状態で発見させてもいいかもしれません。

例)

・記念に買ったグッズ

・入場チケット

・ビデオカメラ

秘匿情報:HO1

何故か胸がきゅっと詰まるような感覚に襲われます。

あまりここに長居したくないと思いました。

明るい色の扉

明るい色の木製扉をゆっくりと開く。

すると、そこは……

ここに現れるのは【現在のHO1探索者の部屋】または【HO1の職業に関する場所】となります。

秘匿情報:HO1

部屋の大きさ、並べられた家具、使い慣れた仕事道具。

ここはあなたのよく知る【場所】で間違いありません。

<目星>

あなたは隠されたように挟まれた手紙を発見しました。

【俺/私】は絶対に【彼女/彼/あの子】を救う。

神に縋るしか方法がないのならいくらでも縋ってやる。

代償がいるのならどんな代償も厭(いと)わない。

この誓いを忘れても思い出せるようにここに決意を残す。』

の手紙は、導入から本編開始の間までに放置された探索者自身の決意の手紙です。

キャラを乗っ取ったPLにとっては全く身に覚えがないでしょうね。

決して代償を払ったから記憶がないとかじゃないんですよ。

少し汚れた古い扉

ここに現れるのは【過去のHO1探索者の部屋】となります。

夢を叶えるため努力した証のもの、人生の苦難にぶつかった時のもの、夢に関連したグッズなどがあります。

HO1探索者が過去に苦い思いをしていた場合、この部屋に入るには何らかの技能/対抗ロールが発生する場合があります。

特に苦い思いをしていなかったらそのまま入ることができます。

過去設定が重ければ重いほど【入ること/探索】が困難になるでしょう。

(扉の耐久値6を削らなければ入れない/他の探索箇所に鍵があり、それを見つけなければ入れない/仲が真っ暗で技能にマイナス補正……等。アイディアは自由!)

少し汚れた古い扉をゆっくりと開く。

背の低い机、教科書や古めの漫画が並べられた棚、ハンガーにかけられた小さめの服。

ここはどうやら子供部屋のようです。

秘匿情報:HO1

ここは子供時代のあなたの部屋だと分かりました。

もし、HO1探索者に苦い過去設定があるのだとしたら、

ラジカセから声が聞こえる/壁に嫌な文字が書いてある/記憶がフラッシュバックする

などの描写を挟んでトラウマを掘り出してSAN値を減らしましょう。

秘匿情報:HO1

忘れかけていた記憶がフラッシュバックします。あの頃の嫌な思い出。

この部屋事態にひどい嫌悪感を覚えました。SAN値チェックです。 1/1d4

本棚

基本は<図書館>ですが、HO1のみ<知識>で振ることも可能です。

ここはHO1の空間なので、過去に見たことがあったものが反映されています。

心理的要因が引き起こすポルターガイスト現象

とあるイギリスの郊外で、妻と夫と6歳の少女の3人家族が暮らしていた。

しかし月日が流れていくと同時に夫婦間はだんだんと冷め、常に口論をするようになってしまった。夫は苛立ちから家族に暴力を振るう事も増えていった。


元々明るい性格だった少女は、両親が憎しみ合う姿ばかりを見て次第に心を閉ざしていき、いつしか感情の起伏がない子供となってしまった。


そんなある日、夕食前にまた夫婦喧嘩が始まりかけたその瞬間、娘と妻の前から突然夫が消えた。


それから数日後、2人の目の前に消えた時と同じ姿のままで憔悴しきった夫が突然現れ、娘と妻を抱えて号泣し始めた。

取り乱す夫をなだめながら妻が、「今まで一体どこにいたの?」と聞いたところ、夫は「娘の心の中にいた」と答えた。


「娘の心の中で自分と妻がどれだけ恐ろしく醜く、いがみ合っているかを思い知らされた」と言ってまた泣き出した。

それからと言うもの、夫婦仲は元の円満な関係に戻り、少女も元の明るい子に戻ったという。

レベルEより引用。とっても興味深い話で印象に残っていたため元の事象を探しに行ったけど、レベルEしかヒットしなかった……。

冨樫先生の創作話だったのでしょうか? 元ネタとかはありそうだけど真偽が分かりません!

何にせよ、今回のシナリオと似通った部分があったので使わせてもらうことにしました。

はしご

上へと続くはしごです。

はしごの先には窓があり、どうやらそこから外に出られるようです。

[強制] <HO1の一番得意な技能

梯子を登ろうとした瞬間、ふわりと淡い虹色の蝶が通路の向こう側に飛んでいくのを見かけました。

その蝶を追う。通路を曲がるとそこに蝶はおらず、一片の紙が落ちていることに気がつきます。

【絵本のかけら】はHO1〜4の探索者の空間全てに出現します。ただし、<一番得意な技能>に成功しないと開示されません。

探索場所の順番は卓によって異なると思うので、成功したら順番に2、3、4、5と公開していってください。

失敗したら飛ばしていってください。

この技能は探索者が【自分】という個を象徴するものなので、それに呼応する形でユメが蝶となって出現します。

ひとりぼっちの王さま

もし話しかけようとするものなら、大きな口でガブリ。

するどいツメでガリガリ。

だからみんなクマを怖がりました。

誰もクマに近づこうとはしませんでした。


ある夜、クマはお星さまを見上げてお願いしました。

「誰もいないところに行きたい。

みんなうるさいから、どこかへいなくなれ!」

ひとりぼっちの王さま

つぎの日、クマが目を覚ますと、おうちの外から音がしなくなっていました。

不思議に思ったクマは町を歩いてみます。


すると、楽しげな小鳥たちの歌声が、追いかけっこするうさぎたちが、キャンキャン吠え合う犬たちがいません。

あんなにうるさかったみんながいなくなっていたのです。


クマはとっても嬉しくなりました。

お星さまがボクの願いを叶えてくれたんだ!

ひとりぼっちの王さま

ひとりだと、あんなにこんでいた公園であそび放題!

学校に行かなくたっていい!

お店のものを食べても怒られない!

みんなが使ってたおもちゃもひとりじめ!


ここではボクは王さまだ。なんでもできる自由の王さま。


それはクマにとって天国でした。

だれもいない場所。何をしても怒られない。だれももんくを言わない。

クマはずっとずっと幸せな毎日を暮らしました。

ひとりぼっちの王さま

しかしある時、クマは「さみしい」と思ってしまいました。

ボクだけの自由の国。ボクは王さまなのに。ボクは何でもできちゃうのに。


毎日同じことのくり返し。

ひとりぼっちのさみしい世界。


王さまの目からポタリと涙がこぼれます。

どうして? ボクはお願いが叶ってうれしいはずなのに。

夢の世界は幸せなはずなのに。


がまんできずに、ひとりぼっちの王さまはわんわんと泣きました。

けれど誰にもその声は届きません。誰も王さまをなぐさめてくれません。

はしごを登り窓を開ける。

するとその先には……

HO1の未来電話

目の前に広がるのは青くどこまでも透き通る青い空。

それが湖面いっぱいに反射し、美しい光景が広がっていました。

自分が目覚めたあの霧の場所にあったものと同じ白い花が辺り一面に咲き乱れています。


そしてそんな中にぽつんと置かれた白い電話ボックスが一つ。

リリリリ リリリリ

涼やかな音が鳴り響きます。どうやら電話がかかってきたようです。

この電話に出られるのはHO1探索者のみです。

あなたは意を決して受話器を取る。


「もしもし、【探索者】?」


そこから聞こえてきたのは、あなたにとって聞き馴染みのあるあの人の声ー。

瞬間、あなたたちは光に包まれた。