春季短期講座「アーデル音楽講座」が4月21日開講しました。今期のテーマは「ヨーロッパ音楽の森を歩くⅡ」。第1回目の講座は、「楽譜を読み解く~ライネッケのフルート協奏曲の分析を中心に~」について、大阪教育大学教授の中務晴之先生にご講義をいただきました。演奏者の立場から楽譜の見方をお話しいただくなど、聴いているだけでは分からない奥深い内容で、受講生の皆さんからは「春の装いを感じさせ素晴らしい演奏だった」と好評でした。ピアノ演奏は濱田笑里さんにお願いしました。(2022.4.21.)
《プログラム》
ライネッケ、カール・ハインリヒ/フルート協奏曲 ニ長調 OP.283
アルチュール・オネゲル/めやぎの踊り
ヨアヒム・アンデルセン/ナショナルファンタジー「スウェーデンの人々」
第16回アーデル音楽講座「ヨーロッパ音楽の森を歩くⅡ」の第2回講座が5月19日、大阪歴史博物館講堂で開かれ、大阪大学教授の伊東信宏先生(音楽学)から「『月に憑かれたピエロ』を観る」をテーマにご講義をいただきました。
先生には、ピエロという存在について、あらゆる角度から取り上げ、また掘り下げていただき、歴史を踏まえての題材も絵画、劇場、映画、連作詩に至るまで実に多彩で、ラストのシェーンベルクなどの映像作品も見ごたえがあり、彼らの生きる喜び、哀しみなどが十分に伝わってきました。(2022.5.19.)
春季短期講座の第3回講座が6月16日、「弦楽四重奏の可能性」をテーマに開かれました。講師は大阪教育大学教授の中務晴之先生、演奏は内田果樹さん(第一ヴァイオリン)、横野真子さん(第二ヴァイオリン)、神谷将輝さん(ヴィオラ)、徳安芽里さん(チェロ)にお願いしました。
この日はハイドンの「皇帝」、シューベルトの「死と乙女」、ボロディンの第2番など名曲の数々を演奏していただき、各楽器それぞれの構成パターンのせめぎあいを楽しみました。最後には、アンコール曲として日本名曲の数々も演奏していただき、受講生の皆さんには存分に弦楽四重奏による音楽空間を楽しんでいただけたようでした。(2022.6.16.)
《プログラム》
ハイドン:弦楽四重奏曲第82番「雲がゆくまで待とう」、弦楽四重奏曲第77番「皇帝」/ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番/リース:フルート四重奏曲WoO.35
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 「死と乙女」/ボロディン:弦楽四重奏曲第2番
/グラズノフ:弦楽四重奏曲第3番「スラヴ」など
春季短期講座の第4回講座が7月21日、「ピアノによるロマンティシズム」をテーマに開かれました。講師は大阪教育大学准教授の山畑誠先生、演奏補助(ピアノ)は渡部陽翔さんにお願いしました。
声楽や管楽器、弦楽器と違いピアノの音色は演奏者によって違います。この日は、山畑先生が若い頃に作曲された「ロマンスⅠ」「ロマンスⅡ」を演奏され、その曲を受講生がどのようにイメージしたかについて問いかけるなど、ピアノならではの表現について山畑先生と渡部さんのピアノ演奏を交えてお話しをいただきました。(2022.7.21.)
《プログラム》
L.v.ベートーヴェン(1770-1827年、ドイツ)
ピアノソナタ 第8番「悲愴」Op.13 第2楽章
F.ショパン(1810-1849年、ポーランド)
幻想曲 へ短調 Op.49
C.ドビュッシー(1862-1918年 フランス)
亜麻色の髪の乙女
アラベスク 第1番
J.シベリウス(1865年- 1957年 フィンランド)
樅の木
M.ラヴェル(1875年- 1937年 フランス)
連弾「マ・メール・ロワ」より「美女と野獣の対話」
A.ドボルザーク(1841年-1904年 チェコ)
連弾「スラブ舞曲」第2番 Op.72-2
お盆明けの8月18日、アーデル音楽講座の第5回講座が開かれました。この日は、山畑誠先生(大阪教育大学准教授)を講師にお迎えして「ブラームスの魅力~ヴァイオリンと共に」というテーマでお話しをいただきました。演奏は山畑誠先生(ピアノ)、赤松由夏さん(ヴァイオリン)、森上あずささん(ピアノ)、山田咲穂さん(ピアノ)にお願いしました。
リストのスペイン狂詩曲では青春の輝き、熱い熱情を覚え、ブラームスではハンガリー舞曲でのジプシーの刹那の喜び・哀しみ、そしてヴァイオリンソナタでは生の伸びやかさまで感じ取ることができ深いブラームスの世界を堪能しました。リストとブラームスという魅惑的な曲目に、 受講生の皆さんは暑い夏とコロナ禍を忘れて充実した楽しい時間をお過ごしいただけたように思います。
この春季アーデル音楽講座(ヨーロッパ音楽の森を歩くⅡ) も残すところあと1回となりました。10月からは「西洋音楽の参照点⑴~楽器のお話からオペラまで~」と題する秋季講座が始まります。(2022.8.18.)
シベリウスとニールセン
第16回アーデル音楽講座の最終講座『北欧の二人のヴァイオリン弾き:シベリウスとニールセン』が9月29日、大阪歴史博物館4階講堂で開かれました。講師は大阪大学教授の伊東信宏先生、ヴァイオリン演奏は角田浩之さん、ピアノ演奏は河瀬里子さんにお願いしました。
シベリウスは良く知られていますが、ニールセンの音楽は初めての人も多かったらしく、そのダイナミズムと圧倒的な孤高の光に圧倒された受講生も多かったようでした。伊東先生の丁寧な解説と角田さんと河瀬さんの絶妙にして迫力ある素晴らしい演奏に酔い知れました。
この日のプログラムは、ジャン・シベリウスの「子守歌」「ワルツ」「5つの小品」「6つの小品」「イェーガー隊行進曲」など。カール・ニールセンの「ヴァイオリン・ソナタ2番」など。
これで2022年春季アーデル音楽講座「ヨーロッパ音楽の森を歩くⅡ」は幕を閉じました。10月20日からは秋季講座「西洋音楽の参照点⑴~楽器のお話からオペラまで~」が始まります。ご期待ください。(2022.9.29.)