Deaf LGBTQ Center代表
山本 芙由美
Deaf LGBTQ Centerの山本芙由美です。
今年、2025年もセクマイと医療福祉教育を考える全国大会でひとつの分科会を担当することになりました。テーマはろうLGBTQと学校。
きこえる子どもを対象とした性教育やLGBTQ教育の例について発表はあるものの、ろう児を対象としたものはこれまでにありません。
昨年、センターが実施したろう教育関係者へのアンケート調査をもとに、ニーズや必要な支援について話します。ろうとして、LGBTQとして、その複合アイデンティティについても含めた、効果的な教材づくりにもつなげたいと考えています。2月1日(土)15時30分〜17時15分です。関心のある方、ご参加ください。お待ちしています。
ろう学校において、ろうの子どもたちは、ろう児のコミュニティに出会い、先輩や後輩との交流を通してアイデンティティを育んでいきます。しかしながら周囲の人々によって、聞こえないことをマイナスとして捉えさせられる状況も依然としてあります。そんな中で、LGBTQ+の経験を生きるろうの子どもたちも存在します。
学校教育では、多くの場面でLGBTQ+の子どもたちが想定されていないということがあります。LGBTQ+の子どもたちは、学校において、あらゆるところで自分のありようを否定されることが続きます。制服などのルールや、施設のつくり、周囲の仲間たちとの交流、教員のちょっとした言葉選びにいたるまで、自分が想定されていないのです。そのため安心して学ぶという権利が損なわれ、自分自身の価値を認めて育つことができないという状況を強いられています。
学校においてLGBTQ+としての経験を生きることと、ろうとしての経験を生きることは深く関係し結びつくことがあります。
ろうLGBTQ+という複合するアイデンティティの児童・生徒にとっての支援のニーズとはどのようなものでしょうか。
この分科会では、特に小・中・高等学校の児童・生徒に関わるおとなの皆さんにできること、ぜひ知って欲しいことをお伝えします。
山本 芙由美(やまもと ふゆみ)
シスジェンダーのクィア。兵庫教育大学大学院でろう幼児をもつ親の支援について研究。博士前期課程修了。日本財団の支援を得て2015-2017年ギャロデット大学(米国)で、ろうLGBTQ 学を専攻、修了。カナダのろうLGBTQ団体Ontario Rainbow Alliance of the Deafインターン。現在『ろう×LGBTQ+サポートブック』の発行や講演、執筆、ろうセクシュアルマイノリティ全国大会運営(第5回大会まで)、東南アジアろうLGBTQ会議等、インクルーシブな社会づくりをめざして活動。