武内 今日子
本分科会では、ノンバイナリーやXジェンダーなど、「女」「男」のいずれかには当てはまらない、非二元的な性を生きてきた人びとの経験についてお話しします。
ノンバイナリーという概念が可視化されている現在も、非二元的な性を生きる人びとは、性別二元論が当たり前とされやすい社会で多くの生きづらさを経験しています。
その中には、存在を否定されるような経験もあります。非二元的な性が、一時的な流行や一過性のアイデンティティ、二元的なジェンダー役割からの「逃げ」として否定的に捉えられることがあるのです。
しかし、非二元的な性を生きる人々は、少なくとも1990年代から自らの存在を語り、居場所づくりの実践を積み重ねてきました。そうであれば、排除的な見方に抗って、非二元的な性を生きてきた人たちの入り組んだ足どりをつぶさにたどることが必要とされています。
過去とのつながりを見出し、これから私たちがいかに生き抜いていけるかを考えていきましょう。
武内 今日子(たけうち きょうこ)
関西学院大学社会学部助教。長いあいだ北関東を転々としてきましたが、今年から関西に来ました。Xジェンダーやノンバイナリーなどの非二元的な性の概念や当事者運動、アイデンティティ形成について研究しています。最近は、トランス/ノンバイナリーの人々の語りのアーカイヴづくりにも関心を持っています。