大阪公立大学教授
東 優子
SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)とは、「性と生殖に関する健康と権利」のこと。SDGsの目標5(ジェンダー平等を実現しよう)にも登場し、女児や女性の権利として語られることが多いのですが、SRHRは「すべての個人」に保障された基本的人権です。この分科会では、トランスやジェンダーの多様な人々のSRHRに関する話題を中心的に、SDGsが基本理念とする「誰ひとり取り残さない」社会のありようを考えてみたいと思います。
東 優子(ひがし ゆうこ)
大阪公立大学(現代システム科学研究科)教授。専門は、性科学、ジェンダー/セクシュアリティ研究、ソーシャルワーク。アジア・オセアニア性科学学会(AOFS)理事。日本GI(性別不合)学会理事。SEE(Sexuality Education and Empowerment)共同代表。
共著:Female Genital Mutilation/Cutting(2023)、『グローバルディスコースと女性の身体:アフリカの女性性器切除とローカル社会の多様性』(2021)、『トランスジェンダーと職場環境ハンドブック』(2018)、『セックスワーク・スタディーズ』(2018) など 。
この分科会では、 東優子さんにSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)=「性と生殖に関する健康と権利」について、とくにジェンダーの多様性に関連するトピックをとりあげながら、お話しいただきました。この人権がSDGsの中のどこに書かれているか? どのような経緯を経て、国際社会の中で合意されていったか? といったSRHRを巡っての歴史から、HIV/AIDSの影響が特定の集団に集中した背景を読み解く鍵が人権であること、近々の「私のからだ」デモに至るまで、多くのトピックスを例に、わたしたちの大事な権利についてお話しいただきました。
質疑応答では多くの質問に丁寧にお答えいただきました。
そして、交流会には東さんもご参加いただき、多くの交流が行われました。
東優子さん
ご参加いただいたみなさま、企画運営にご尽力いただいたスタッフのみなさま、ありがとうございました。SRHRはその歴史的経緯から「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」として紹介されることも多く、その弊害として「生殖」の陰に「性」が、「健康」の陰に「権利」が隠されてしまう傾向がいまも見られます。しかし、包摂関係は逆です。健康は基本的人権です。そして「性の権利」=人権が保障されることなく、望みうる最高の性の健康、生殖の健康に到達することはできません。連日のニュースに不安を感じずにはいられないわけですが、先人から受け継いだタスキを次世代に繋いでいく…そのために私に何かできることがあれば、ぜひお気軽にお声掛けください。
わたしのからだデモ大阪へは実際に参加していたので、開催に至る経緯そして今後の展望についてお話お聞きできたのがとてもよかったです。
東先生の大変密度の濃いお話を伺えて、とても勉強になりました。特に、質疑でも出ていた昨今のバックラッシュを考えると、国際的な政策文書に掲げられたことが形骸化しないよういかに取り組んでいくのか、ここもやはり駆け引きが必要になる部分だろうとも思いました。そうした意味では、教育の場でどのように取り組んでいけば良いのか悩ましいのですが、それでも声を上げたり取り組み続ける重要性を改めて認識した時間になりました。交流会には時間の都合があって参加できなかったのが残念でした。東先生、スタッフのみなさん、ありがとうございました。
「性の健康と権利」についての意識を向上させてくれる内容だったと思う。
参加できてよかったです
勉強になりました!
20代前半の私にとっては、生まれる前、幼少期くらいのときに性や生殖の健康が議論され、重要なことであるという認識が元々教育や身近な大人を通して学んできました。しかしこれらの認識は、あくまで先人が声をあげ、議論されてきた結果受けている恩恵であるということを今日の分科会を通して改めて理解できました。
今日トランプ政権に見られる、自らの利益のみを享受しようとする流れには、自分以外の他者が被る不利益が見えていない点や、正義に関してこれまでの積み上げがあったことが理解されていない状況があるのではないかと考えました。東先生のご発表は確かに情報量は多く、全てを理解しきれませんでしたが、逆に多くの宿題や今後考える材料をいただいと、私は思っています。配布資料を見返して、今後に役立てたいと思います。
東さん、とても大事なお話をありがとうございました。
SRHRという大事な人権が、どのように創られ、また、今、創られつつあるのかが、すごく現場が見えるようなリアルさで伝えていただいたことに感謝いたします。
ただ、世界中でその大事な人権が攻撃を受けている状況に、とてもつらい気持ちになっています。本日の分科会では、東さんから、状況を共有しつつ、共に闘っていこうというメッセージをいただいたと感じています。ありがとうございました。
SRHRという、大事な権利のお話を「基本のキ」からわかりやすくお話しいただきありがとうございました。
Q&Aの中で、バックラッシュに関して、過去のピンチをチャンスとして国際社会が権利を確立していった例を出していただいたことが、とてもエンパワーメントされました。
大まかには知っていたことでしたが、国際的・歴史的な経緯を聞けてよかったです。バックラッシュの中でどう捉えていくのがいいかわからなくなってしまうことが多いですが、視野を広く持ちつつ、できることを連携しながらやっていくことだな…と思いました。