曲げる技術
ちょっと専門的なお話です
ちょっと専門的なお話です
本技術の特長です
本技術が、従来の曲げ技術とどう違うのか、以下の表にまとめてみました。また、この表を元に、その詳細を1-1 〜12-1で、ご説明させていただきました。
"高温処理の必要がない,"木取り時の損失が少ない,"日本各地の成熟した大量のスギ材に高い付加価値をつけ,多くの消費を生む,“生物材料として木材本来の質、艶、手触り、色,匂い等を維持が,挙げられます。
それらに対応して,青色の列には 従来技術の 該当箇所 および 特徴(デメリット) を示しました。
まず1行目では,請求項1 で示す「高温処理の必要がない」ことでの メリットとして
1. 材料の長さは限定なし 2. 建築素材領域へ 曲げ技術を応用可能 3. 高温処理に使われるエネルギーが必要ない が挙げられます。これらは,比較的 短い部材を使う工芸利用ではなく,比較的長い部材を使う建築利用として,とても重要な メリット・進歩性です。
一方で,1.3.5の従来の技術では,高温処理が必要となるので,「選び抜かれた 材料」を 温浴漕や,高温水蒸気庫,マイクロ波照射庫の 内寸に合わせて ,短く切って 処理を行ないます。
その結果,部材が短くなるばかりか,「素材の香りが揮発」してしまうこと,「素材の色が変色」してしまうこと,「素材内の有効成分が溶出」されてしまうこと,等のデメリットが生じます。
つまり,木材本来の香りや色を失うばかりか,「抗菌・抗ウィルス、防虫、消臭効果のある 」 さらに,「リラックス効果,血圧,脈拍抑制効果もある」 フィトンチッド(揮発成分)も失われてしまいます。
図 A で,いま,お話させていただいた内容を,材温基準で,各技術の範囲を 可視化してみました。 本願発明(黄色)と いただいた引用文献1,2,3,5の従来技術における,含水率と 「材温」 の範囲 を示しています。
従来技術1.5.3 は,それぞれ,
1 → 高温蒸し曲げ,
3 → 煮込み処理,
5 → 水蒸気加熱を用い,木材内部の物質を軟化させて曲げています。
本願発明(黄色)は,特段,エネルギーを使わず,広範囲にわたって,木取りや長さに配慮なく,針葉樹材でも広葉樹材でも,木材の性質を失うことなく曲げることができます。本願発明が,従来技術に比べて,圧倒的に進歩 していることが 明白です。
次に,1.材料の長さは限定なし 2.建築素材領域へ曲げ技術を応用可能であることを実現した 本願発明の進歩性をお示しするために 本願発明(黄色)と 1235の従来技術における,加工可能な 「材長」 と 「品質」 の範囲を示しました。
従来技術1235は, 庫内,枠内 に収まるような「短い材料」で,かつ,「高品質な材料」 を用いる必要があります。
本願発明(黄色)なら, スギなどの人工林間伐材でも,均一な品質を心配しなくても,大規模な利用が,長さの制限なく 利用できます。このことはつまり,「安価」につくれることを意味していて,今後の建築材にも,大いに利用されることが じゅうぶん期待できるということです。
更に,本願発明(黄色)と 1235の従来技術における,加工可能な 材長 と 材厚 の範囲を示しました。本願発明は,現在のところ,手動での加工しか試されておらず,厚材への対応は 従来技術5 に劣ります。しかしながら,▼厚材は,集成加工技術で カバー可能であり,それ以上に 長い部材を安価に作れる点で 大きなアドバンテージがあります。
次に 2行目では,請求項1で示す「相対的 に帯状の板」を「製材」 できるメリットを示しています。
「木取り時の損失が少ない」点について。「木取り時の損失が少ない」 詳しくは,「柾目板 でも 板目板 でも」,「心材 でも 辺材 でも」,「節・あて・変色 が あっても」 曲げることが可能 であることは,これまでにない技術 です。 資源保全、有効利用を促進させることが可能 であることは,もちろんですが,製材業者においても,曲げ加工を行なう業者にも、帯状の板の木目方向に注意を払う必要が無いということは,大きなメリットです。
さらには,いちど,この技術を用いて,木材に新たな性質 が加わると,従来,乾燥の際に起こっていた「ソリ や まがり」を生じさせることがなくなります。(「ソリやまがり」が生じた材料は使えません。) 「二酸化炭素を固定した」 木材 を 住環境 にて,くまなく利用することが可能になる極めてエコにつながる技術 でもあります。一方で,従来技術1.2.3が, 「絶対的」 に 繊維方向に沿って木取りをした 柾目材 を用いている従来技術であることを示しています。 木取り時の 損失が大きい 技術です。
先ほど4-1から4-3の,加工可能な「材長」と「品質」の範囲の図です。
従来技術1235は,庫内,枠内に収まるような短い材料で,かつ,高品質な材料を用いる必要があります。
くりかえしになりますが, 本願発明(黄色)なら,
スギなどの人工林間伐材でも,均一な品質を心配しなくても, 大規模な利用が,長さの制限なくを利用できます。
このことはつまり,人件費でみても材料費でみても,安価につくれることを意味していて,大量利用が期待できる,今後の建築材にも,大いに活用されるとじゅうぶん考えられます。
柾目板の木取りは,ぜいたくに 行ないます。 まさに みかん割り です。
ナタで割りながら木取りをするということは,完全な柾目 を得られることを意味します。
一方で,円柱状の丸太から 合理的に 板材を製材しようとすると,
柾目の板,追柾の板,板目の板 が とれます。 板目の板が 最も多くとれます。
しかも,製材時には,丸太が,完全な円柱状ではなく, 円錐状 なので,「めぎれ(目切れ)」が生じます。 めぎれ:つまり 製材時には繊維が,斜め方向に断ち切られる ことになります。
よって,この時点で,柾目が採れても,「完全な柾目」 にするにはさらに製材が必要になります。 逆に言えば,こうして合理的に(ムリ,ムダなく)製材した板材の大半は,木目の方向が「相対的」な製材になります。
本願発明なら,品質にこだわることなく 長さにこだわることなく,湾曲加工ができます! 品質にこだわることなく 湾曲加工ができるということは,実にシンプルな視点から生まれた 目から鱗 の技術といえます。
◎ 板目板でも,節があっても、心材・辺材 心配なし! です。
◎ 板目板でも,未成熟材でも,節があっても心配なし! です。
さらに3行目では,請求項3で示す「仮道管で構成された樹木の利用が可能」であるメリットとして日本各地の成熟した大量の 人工林のスギ材,低質材であっても,高い付加価値をつけ,多くの消費を産めることを示しました。
一方で,従来技術1は,曲げやすい広葉樹材の中でも さらに比較的曲げやすい クリ材を利用し, 従来技術3は, 年輪が緻密で裂けにくい 樹齢約150年の 天然スギ材 を利用した技術です。しかも,ほぼ完全な柾目板 を使用します。
「仮道管で構成された樹木の利用が可能」であるという驚きの内容について,仮道管の配列を示した図で,もう少し詳しくご説明いたします。
針葉樹材は,仮道管全体で樹体を支える構造です。 針葉樹材は,メリットとしてもデメリットとしても,繊維に添って「パカーン」と 割れやすい性質を持っています。 さきいかのように 割いてもいける特徴です。
ただ,曲げる際には,大きなデメリットです。ちょっとでも,目切れ があると割けてしまいます。
一方で,広葉樹材は,樹体を支える組織と 水を運搬する道管は別々です。 よって,製材後も,割けにくく,粘りがあるのが特徴です。 従来技術1で使用されているクリ材は,広葉樹の中でも進化した環孔材です。重くて硬くて,粘りがあります。
この樹種であれば,生材をナタで板取り(柾目取り)し,そのまま,蒸して曲げれば,曲がることは,だれでもわかる技術といえます。
従来技術3で使用されているスギ材は,樹齢が150年以上の天然のスギ材です。
写真は,天然スギ と 人工林スギ の年輪幅の違いを示しています。
人による手入れなしに,過酷な条件で,ゆっくりと緻密に育てば育つほど,年輪密度が益し,強く粘りのある針葉樹材が生まれます。
天然スギの 柾目板 であれば,(薄ければ)冷間でも,熱間でも曲げられて 当然といえます。
本願発明であれば,請求項3で示す「仮道管で構成された樹木の利用が可能」であり,
日本各地の成熟した大量の 人工林のスギ材,低質材であっても,高い付加価値をつけ,多くの消費を産めることを示しました。
◎ 板目板でも,節があっても心配なし! です。
従来技術では,木材を プラや金属のような物質として捉えることで,できるだけ均一な 割れにくく避けにくい樹種・緻密な材を用い,さらにできるだけ均一な 柾目板を,高温処理によって軟化させて曲げています。
一方で,本願技術では,「樹木が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出す方法」を用いることによって,あたかも,ストレッチによってじゅうぶんにほぐされた人の身体が,柔軟にしなやかに躍るように変形させています。
右側の 人が曲げている図 がそれにあたります。いちどほぐされた細胞構造は,乾燥すなわち死後硬直する前に,生物的な変形特性を有した 中間体 として「曲がる木材」に仕上がります。「曲がる木材」は,元の状態へも変形できるし,固定した時の状態よりも大きく変形できるようになります。
8-1の右図のように 型に当てずに曲げても,8-2の右図のように 水色の 型に当てて曲げても, 本願発明の技術によって中間体に処理された木材は,折れずに,きれいに曲げられます。
乾燥材を 弾性の許容範囲内で曲げようとする 従来の技術と比較すると,本願発明の技術によって 中間体 に処理された木材は,これまでの木材とはちがった 性質を示す 木材に変化します。
いちど,この技術を用いて,中間体 木材に新たな性質を与えると,従来,乾燥の際に起こっていった「ソリやまがり」を生じさせることがなくなります。
しかも,もともとの樹種がもつ靭性よりも, おどろくべく靭性が備わるようになります。
節があるスギ材が バネのように伸び縮みする様子 は,木材を扱ってきた方々ならば さらに驚くことになるでしょう。
しかも,もともとの樹種がもつ靭性よりも, おどろくべく靭性が備わるようになります。
従来の方法ではいずれも不可能です!
写真は、本技術によってつくられた器です。
これまでの 伝統工芸を 新たな視点で 発展させられます。
驚くべきことに 厚さ6mmの 節あり 板目材 でも,直径27cm (半径13.5cm)の円弧 を 冷間で つくれます。
節がドーンとある材でも,屋外で割れずに形状や性質を維持します。
もともとの樹種がもつ靭性よりも, おどろくべく靭性が備わるようになります。
節があるスギ材が バネのように伸び縮みする様子 は,芸術家や建築デザインをされる方々の発想を大いに広げることになるでしょう。
このように,「曲がる木材」は,今後の木材の利用の流れに,新たな方向をつけるものとなると自負しています。
これまでは 「木材」と「木質材料」の2つの分類でしたが,
これからは,「木材」「木質材料」「曲がる木材」「湾曲木質材料」の 4分類になっていくと期待できます。
今後は,「曲がる木材」そして「曲がる木材」を利用した「湾曲木質材料」こそが,省エネのための建築構造にも変化を与えるものと思われます。
曲面をもつ住宅構造が屋内の表面積を減らし,柱の数が少ない耐震性のある住まいが創造できます。
そして,今後の湾曲木材の新たな年表に示され 新たな製造技術のスタート になると考えております。そのためにも
今後の課題として,現在手動で行なっている本願技術(GSCB)を機械で,自動で行なう設備の開発が急がれます。この技術をいちはやく権利化し,各分野の企業とともに この課題を解決していこうと思っています。
最後に 木材の細胞のつながり(幹,枝,根)がもっとも強度に満ちる姿は,アーチ構造です。
樹木が目指す最終変形 つまり,「樹木が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出す」ことになると思われます。
この不思議な「曲がるスギ材」にご興味のある、工芸作家さま、建築家さま、空間アーティストさま、お弁当屋さん、お菓子屋さん、DIY好きな方、等々、ご連絡いただければ幸いです。
✓ ほとんどの針葉樹材,イチョウでも曲げられます!
✓ 地元の新しい産業に!
✓ 陶芸の里のような、作家さんが集う「曲げスギ容器の里」に!
✓ 貴社の CSR 活動 の お手伝いに!
✓ 貴自治体のSDG'sへの取組に!
✓ 10mでも20mでも 製材できれば 曲げられます !
✓ 建築内装材,インテリアにも !
✓ 色も香りも 天然材のまま !
✓ 間伐材でも 節あり材でも !
✓ 大小の製材所や製造所,65歳以上の方々の労働力,老人ホームや授産施設 等を結びます。
拙技の導入をお考えいただける方、ご連絡お待ち申し上げます。
拙技に関するご質問・疑問等ございましたら、ご遠慮なくお寄せください。
ご教示、お力添えいただけましたら幸いです。