精神障害者における就労継続支援B型事業実態調査報告書について

B型事業所への報酬が、工賃と連動するという至極マトモな方針になったので、業者が都合の良くなるように、記事を書かせたりデータ解析しているようだ

工賃連動は、業者にとって都合が悪いのでこの方針を否定する結論ありきで厚労省にアピールする目的の調査に見える

https://www.ami.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/84addcf911fd6e8cd4430d1685ca5496.pdf

https://www.ami.or.jp/chousa


大筋は

a)障害度(WHODAS)や満足度をアウトカムとする

b)工賃との関係を見る


a)に相当するのは、「就労」なので就職率、継続率、スキル、そもそものアウトカムである工賃などが入っていないのはマズい

就労移行支援の調査もそうだが、使わない人との比較がないので、到底エビデンスと言えるものでは無いです

RCTなどができない観察データであって、その中で価値のある解析をすべきという前提が染み付いていない。


自習室や内職、散歩でも各種指標の改善はするのです

また、障害改善度や満足度が高い人ほど残りやすいので、生存バイアスは相当あるはず


解析法について

・個人単位でデータをとっているのに、例によって事業所単位での相関を見ていたり不自然

・事前に業者への報酬が8000円/dayである事を伝えていない

・何故か有意のTFだけで効果量に関する議論が無い、これはコスパが関係するので重要。極論、WHODASが1年で1改善するのに200万円もかけるのであれば、他の税金の投資先を考えるべきです。


解析すべきモデル

満足度~工賃+健康度+スペック+(将来)稼ぎたい度

工賃と満足度(更に一般的な指標も含む)のバックドアを塞ぐ変数を用意しないと話にならない、工賃に50万円/月を追加したら面白い


障害(改善) 度~個別支援度+工賃+主な担当の保持資格

利用者スキルの増分~.

など

スペック、健康度などの共変量をうまく取れば脱落を予測でき、傾向スコアなどで補正できる


特に問題がある点

・p12の「差なし」は、直線回帰なら明らかに「差が出る」のでわざわざ群の間の比較にしたのでは?

・利用者の利用年数が平均4年となっているのに、2点間の時間間隔が「たまたま調査中の1ヶ月」でこの改善はあり得ない、相当作為的である。4年間大して変化がなかったのに、調査に選ばれたら急激に障害度や満足度が上がったという事。



障害福祉のマトモな請求システムにもつながる提案

評価はあくまで「個人」なので、個人の2点間でのアウトカムの改善度から、何もしない状態を引いたものが「価値」なので、それをメインに報酬を組み立てる、原因からではなく結果からの報酬にすると、補助金ビジネス的なものはやりにくくなるので相性が良いです

また、メインに介入した職員のユーザーアカウントを個体効果として組み込むと、職員の効果を直接的に評価する事ができ、B型だけでなく障害福祉一般の職員待遇改善につながります


一般には

アウトカムの差=f(ユーザーの変数+職員の変数+事業所の変数+資格加算+その他)

と、交絡を調整し、職員と事業者の介入分が価値となるので報酬に大幅に反映するだけで現状よりかなりマシになります。


スクラップ


・担当した者の資格の有無、障害福祉にしないモデルで調査


p57

effect(生産活動,生活支援)>effect(生活支援)は示していない


あと、WHODASなどのアウトカムは永久に改善するものではないので(たとえば 9,8,7,6,6,6)など。それに基づいた報酬にしないとマズいですね。収束した後に税金を出す必要は一切ないのです。



p31によると、個別直接で1時間半、全体で2.5時間も支援をしている事になっているらしい 自習室な就労移行支援とかどーなんだろう


主張は、WHODAS(障害度)、満足度などの「アウトカム」と、工賃の関係を見て、あまり関係がないので、「居場所」「人間関係」みたいなのをageていく方向にしたいらしい 1/4くらい目を通した所での問題点は ・そもそも工賃の方が成果


・脱落群、使わない人との比較が一切ない、数十人揃える事はできるハズ ・一人ずつのデータがあるのだから、アウトカムに対して、工賃と他の変数を突っ込んで多変量解析するのが普通、本来これに非利用者も入れる ・工賃は最大で3万円程度となっているが、ここに最低賃金が入ったらどうだろう?


P32 工賃が上がると個別対応の時間が減るという、事業所ごとの相関だが、これも逆に個別支援の時間をその他の全ての変数で、因果関係に注意して回帰モデリングする。業者ごとではなく個人で。