医院経営を安定・発展させるうえで、優秀な人材を確保することはとても重要です。募集活動は、面接や研修期間を考慮すれば、遅くとも開業予定日の3カ月前から始めましょう。特に、開業前はいろいろな雑務があり、多忙な時期ですので、余裕を持った計画が望まれます。
各種求人活動⇒書類選考・面接⇒採用⇒研修⇒開業日
募集には残念ながら近道はありません。成功の第一歩は片手間ではなく、必要な時間と費用を準備することから始まります。院長の理念・方針をしっかり伝えるようにしてください。
媒体は、口コミから縁故、ハローワーク、求人紙(誌)、インターネットまで多岐にわたります。それぞれの特徴や費用を考慮して、効果的に行ってください。
選考では、応募者の基本的人権を尊重し、職務遂行の適性や能力、意欲などを基準にして判断します。
応募者に説明すべき事項として、次のことがあります。
①仕事の内容・職種
②採用予定人数(常勤・パート別)
③資格の有無
④賃金
⑤勤務時間、休日・休暇
⑥勤務地⑦選考の方法と日時――などです。
履歴書には、応募者の意識が反映します。事前に提出してもらい、しっかり読み込む努力をして面接に臨んでください。
院長一人で対応せず、できるだけ奥様などに同席してもらいますが、採用については院長の責任で行います。口頭による質疑応答やその動作から、①ものの考え方や積極性、粘り強さ、明朗性といった個人的特性②一般教養や専門知識の有無などを把握し、評価します。
採用結果の通知は、なるべく早く行うことが重要です。
患者が多い時間帯への補充などを含めて、パートタイム労働者を雇い入れる場合があります。パートタイム労働者にも、通常の職員と同様、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法など、労働者保護のための労働関係法令が適用されます。また、要件を満たせば、育児・介護休業法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金法も適用の対象となります。
法定帳簿である「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」を始め、備え付けておかなければならない書類があります。
〈医院が備え付ける書類〉
①労働契約書(労働条件通知書)
②労働者名簿
③賃金台帳
④出勤簿
⑤住民票記載事項証明書
⑥健康保険・厚生年金被保険者資格取得届の控
⑦雇用保険の被保険者資格取得届の控
〈提出してもらう書類〉
①履歴書
②扶養控除等(異動)申告書
③健康診断書(中途採用時)
④前職の源泉徴収票
⑤年金手帳
⑥雇用保険被保険者証
⑦その他求めた方がよい書類=緊急時連絡先届、通勤経路届、個人情報保護に関する誓約書
①医療保険(健康保険または市町村国保か歯科医師国保)
②年金保険(厚生年金または国民年金)
③労災保険
④雇用保険
⑤介護保険(40歳以上が保険料徴収対象)
労災保険と雇用保険は、スタッフを一人でも雇用していれば加入しなければなりません(※保険医協会は、事務組合を設立し労災保険と雇用保険の事務代行をしています)。
人を雇用するには様々なルールがあります。働くルール作りが、スタッフとの信頼関係を築き、経営の安定にもつながります。ルール作りは、全国保険医団体連合会発行の書籍『医院経営と雇用管理』(下図)をお読みください。
志願動機
①今回の募集で一番関心を持ったことは何ですか?
②当院を志望した理由は?
〈パート職員には〉
③パートを希望する理由は?
④働きたい期間(長期か短期)、出勤可能な曜日と時間帯は?
職業意識
①仕事をする目的は何ですか?
②当院で働くうえで、大切なことは何だと思いますか?
③この業界をどのように見ていますか?
④院長の指示に納得できないときはどうしますか?
⑤健康を維持するためにどのような努力をしていますか?